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弁護士が教える離婚に関する法律のこと2 離婚を悩んだときに準備すること

ライター 押見和彦

2009年弁護士登録。宮城県仙台市で4年3ヵ月間「ひかり法律事務所」で経験を積んだ後、目黒総合法律事務所に移転。現在は主に家庭のトラブルの予防と安全・円満な解決のため離婚案件を多く取り扱い、その他セミナー等の活動をしている。

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皆さん、ご無沙汰しております。弁護士の押見和彦です。

前回の記事から少し間が空いてしまいましたが、今回は「離婚で悩んだときに準備すること」というテーマで、準備段階の詳しいお話をいたします。あとで「ああ……、あの準備をし忘れた!!」とならないために、しっかりと事前準備のポイントを押さえていただけたらと思います。

さて、「離婚するかどうしようか悩んだら、まずは落ち着いて焦らないでくださいね」ということを前回の記事ではお話ししました。深呼吸して落ち着いていただいたところで、本当に離婚すべきかどうか決めるためにも準備をしましょう。

『弁護士が教える離婚に関する法律のこと1 離婚を焦らないために知っておくこと』

離婚をするにしても一緒に暮らしていくにしても、必ず「生活費」というものがかかります。食費、光熱費、日用品、携帯電話や保険料、そして未成年の子どもさんがいたら学費のことも考えなければなりません。
この家計の状況をしっかり把握することが最重要になります。もちろん、後々の法律の制度でもとても役に立ちますので、この準備からスタートしましょう。

収入を知る

皆さんは、家計の管理はどのようにされているでしょうか?
この記事を読んでいらっしゃる方が、夫の給料振込口座の通帳を預かっていて家計の管理を一手に引き受けている ― という場合は百点満点です。必要な情報はほとんど手に入っている状況と言えます。
給料振込口座の通帳が手元にあれば、それをすぐに開いてください。表紙か裏表紙に「○○銀行」「○○支店」が記載されていると思いますので、この部分を書き留めるかスマートフォンで写真に撮りましょう。
通帳ではなくキャッシュカードしか持っていない方は、カードに印字されている数字を全部メモしてください。「店コード」と呼ばれる支店ごとの数字が印字されているはずなので、このコード番号から「○○支店」を調べます。

次に、毎月の給料の金額を確認します。ボーナスがあればその額も合わせて確認しておいてください。毎月の給与明細や、年1回発行される源泉徴収票をコピーするか写真に撮ることができたら完璧です。

通帳は持っていない、給与明細も見たことない……、という方は、役所に夫の分の「課税証明書」というものを取りに行ったことはありませんか? 保育園の入園申込時や、ローンを組む際に家族の収入を届け出るために役所で発行してもらうものです。この証明書に年収が載っています。
夫が自営業者さんである場合は、確定申告をしているはずなので、その控えを見つけていただいても大丈夫です。

実は、離婚した後の「養育費」や、離婚する前に請求する生活費というのは、お互いの収入である程度の相場が決まります。そのため、相手の収入が「給料」なのか「自営業」なのかと、その金額がわかることが第一歩なのです。そして、もしも最後の最後に交渉が決裂して、無理やりお金を取らなくてはいけなくなったときにも備えておきたいですよね。
裁判所は、夫がどこに財産を持っているのかまでは普通は調べてくれないので、こちらから「この口座の預金から取ってください!」、「この会社のお給料から取り上げてください!」と言わなければなりません。そのために、口座情報や勤務先のデータもとても大切になってきます。

支出を知る

相手の収入が分かって、いざというときのための口座や勤務先の情報が手に入ったら、次は家計の支出をチェックしてみましょう。家計簿みたいなものがあればベストですが、なければ普段の光熱費や電話代など案内が届く分だけでも確認しておくと良いと思います。
保険料の支払いがある場合は、必ず「保険証券」をチェックしてください。今は貯蓄機能がある保険も多いですから、お別れして財産を分けるという段階になったときに、損をしないようにしましょうね。

いざ離婚をするとなったとき毎月どのくらいのお金を確保しないといけないのか、ということを一度は考えておいて損はありません。
トラブルが悪化した場合、相手から荒探しをされることもあります。「浪費癖がある」とか「家計もろくに管理しない」なんて言いがかりをつけられないように備えましょう。
少し専門家の助けが欲しいという場合は、FPさんなどに相談してライフプランニングをしていただくのも良いと思います。

浮気の疑いがあったら、黙ってスマホチェック

「俺は浮気をしている」と正直に告白する夫はいません。ギリギリまで隠そうとするでしょうし、質問してもはぐらかします。浮気を認めるのは最後に開き直ったときくらいです。

裁判所は「証拠」がとにかく大切になります。一度は認めていても、あとで「そう言わなきゃおさまらなかったから認めたけど本当はやっていない」なんて言い出されることもあって、そのときに証拠がないと分が悪くなってしまいます。

そこで、浮気かな……、と思ったら黙ってスマートフォンを確認してみましょう。間違っても「スマホ見せて」なんて正面から言ってはいけません。相手の方だって浮気を疑われてると察知したら、ばれないように隠そうとします。隠そうとしている人から証拠を取るのはとても難しいですから、油断して脇が甘いうちに、ささっと確認してください。

そして、法律の世界では、浮気は「肉体関係があるかないか」でほぼ決まります。メールやLINEを確認してみて、関係を持ったことがうかがわれる内容のもの(例:一緒にお泊りしている、とか)があれば、それを自分のスマートフォンで写真に撮ってください。
「これって使えるかな?」と悩んだら、とりあえず写真に撮っておく、というくらいでちょうど良いです。

DVは写真と病院

DVの場合は、とにかく身の安全を確保して欲しいのですが、ケガをしたら我慢せずに早めに病院に行きましょう。診断書まで準備できるのが理想ですが、とにもかくにも受診して適切な治療を受けるのが先決です。そして「早めに」というのが重要で、暴力を振るわれたからケガをした(=他の理由でケガしたわけじゃない)と言えるのが大切です。

病院になかなか行けない場合は、写真を残しましょう。必ず日付とセットで、アザや傷がわかるように撮るのが良いです。直接暴力は振るってこないけど物に当たったりする方の場合は、壊れたものなどを片付ける前に写真に撮りましょうね。
これもやっぱり、揉めたときへの備えになります。DV事件の場合「私は暴力を振るっていない」という反論は本当によく出てきますので、しっかりと備えておきましょうね。

事前準備は同居している間に

ここまで準備できたら、一般的な事前準備はほぼ完了です。そして、事前準備の最大のポイントは「同居しているうち」に実行することです。
別居してしまうとなかなか証拠は手に入らなくなりますし、詳しくは次回以降の法律制度でも出てきますが、別居の時点は色々な法律制度の基準になります。特に、財産の関係では大切になってきますので、今回の記事で書いた事前準備が完了したら「これでもう大丈夫ですか? 別居に踏み切って大丈夫でしょうか?」と専門の弁護士に相談して確認するのが一番です。

さて、今回は弁護士から見た事前準備のお話をしました。最後まで読んでいただいた方、本当にありがとうございます。
次回からは、いよいよ法律の制度のことを順番にご紹介いたしますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。

弁護士が教える離婚に関する法律のこと3 離婚する前の法律のルール|婚姻費用



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― 弁護士が教える離婚に関する法律のこと ―
1回目: 離婚を焦らないために知っておくこと
2回目: 離婚を悩んだときに準備すること
3回目: 離婚する前の法律のルール|婚姻費用
4回目: 離婚するときの法律のルール|親権・養育費・面会
5回目: 離婚するときの法律のルール|財産分与・慰謝料・年金分割