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弁護士が教える離婚に関する法律のこと4 離婚するときの法律のルール|親権・養育費・面会

ライター 押見和彦

2009年弁護士登録。宮城県仙台市で4年3ヵ月間「ひかり法律事務所」で経験を積んだ後、目黒総合法律事務所に移転。現在は主に家庭のトラブルの予防と安全・円満な解決のため離婚案件を多く取り扱い、その他セミナー等の活動をしている。

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皆様、こんにちは。弁護士の押見和彦です。
今回のテーマは、離婚のときに関係する法律のルールのうち子どもに関することです。親権養育費面会という3つのルールを順番にお伝えいたしますので、未成年のお子さんがいて離婚で悩まれている方に届くといいなと思います。

親権はどのように決まるの?

未成年の子どものいる夫婦が離婚を考えたときに、避けては通れない問題が親権です。
離婚届にも記入欄がありますし、調停でも裁判でも離婚する以上は必ず決めなければなりません。「親権については別れた後で改めて話し合おう」とすることはできないのです。親権が決まらない限り離婚は成立しない、という超重要事項です。

では、親権はどのようにして決まるのでしょうか?
法律には、「親権は母親にしなさい」とも「親権は父親にしなさい」とも書かれていません。夫婦で話し合ってどちらかに決めることができればいいのですが、お互いに親権が欲しいと言ってもめると厄介な問題になります。

  • お前の収入じゃ生活できないから親権は俺が取る
  • 母親が優先だから私が親権者になる
  • 子どもに選ばせたら良い

など……、親権に関しては色々な言い分を聞きますが、ポイントはたった一つ。今、子どもと一緒に生活しているかどうかです。実際のところ、これで99%は決着がつきます。

金銭的事情も確かに影響しますが、収入が多い方から十分な養育費をいただければ解決します。

母親優先というのは、子どもが幼いときには(男性は母乳は出ないので)特に意味を持ちますが、子どもの成長に連れて徐々に下がるので決定打にはなりません。

子どもの希望も、成長とともに重みは増しますが、希望だけでは決まらないというのが実際のところです。

お互いが親権を主張して争いになった場合、大きな問題が起こっていないのに子どもの環境をわざわざ変える、という判断を裁判所はしないので、「一緒に住んでいること」が本当に決め手になります。

DV被害などで、一刻も早く別居するために子どもを残して家を出ようと考える方もいらっしゃるかもしれません。一緒に住んでいなくても親権は取れるという話を聞くこともあるかもしれません……。それでも、声を大にして言います。親権を譲りたくないと考えている方は、別居するときは必ず子どもと一緒に家を出てください

99%決着するくらいの最重要ポイントといいましたが、一緒に暮らしていない方の親御さんを親権者にすべきという判断が出ることがあります。それは、「虐待」がある場合です。
この場合、一刻も早く助けないと子どもの命にかかわるので、一緒に暮らしていたとしても、親権者は相手の方になると思います。

ご飯を一切あげない、アザだらけになるほど叩く、というようなことがなければ、慎ましい生活しかできなくても、一緒に暮らしている方がほぼ確実に親権者になります。「子どもと一緒に暮らす」ことの重要性を覚えておいていただけたらと思います。

養育費は、いくら? いつまで?

親権者となった場合、養育費の問題が発生します。

『弁護士が教える離婚に関する法律のこと3 離婚する前の法律のルール|婚姻費用』

養育費は前回の「婚姻費用」とよく似ています。法律上は、あまり何も決まっていませんが、今までの裁判所の考え方や統計資料をもとにした「相場」は存在します。WEBサイトで「養育費算定表」や「簡易算定表」で検索して調べることができます。

一覧表までたどり着いたら、「子ども1人(0~14歳)」「子ども2人(第1子0~14歳、第2子15歳以上)」など、自身の家族構成にあわせた表を探してください。
そして、収入資料(給料明細・源泉徴収票・課税証明書・確定申告)を利用して、年収をチェックしましょう。下の数字が妻の年収、左の数字が夫の年収としてクロスした部分の「○~△万円」という幅が毎月の養育費の相場になります。

収入を確認できる書類を準備して電話もしくは法律事務所に行き質問すれば、弁護士であれば2~3分で教えてもらえます。分からない場合はお気軽にご利用くださいね。

裁判所|養育費算定表
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf

金額の次に気になるのが、「いつまで貰えるか」だと思います。
法律では20歳までは「未成年」ということになっていますから、養育費も20歳までは貰える、というのが大原則になります。

「子どもを大学まで行かせてあげたい」と強く希望する家庭もあり、「学生の間は養育費を支払って欲しい」という要望をよく聞きます。

この場合、法律では「20歳」が基準となっているので何とも言えないのですが……、二人が「22歳の3月までは支払う」ということで約束する分には自由なので、交渉次第という感じになります。

交渉が決裂してしまうと「20歳」までとなる可能性が高いのですが、「子どものためなので、20歳の時点でまだ学生だった場合は延長して欲しい」というように条件付きの延長をお願いすると話し合いがスムーズになることが多いようです。参考にしていただけたら嬉しいです。

なお、養育費には特別な出費は含まれていません。「養育費はあくまで普段の生活費」と思ってください。
また、交通事故に遭ってしまった、重い病気にかかってしまった、私立の受験などで学費が大きくなってしまったなどの事情が生じた場合は、養育費とは別に援助して欲しいと要請することは法律的にも特に問題ありません。

面会の頻度は?

最後に、面会に関してお話します。

・養育費も払わない相手に会わせたくありません!
・養育費を払っているんだから会わせないのはおかしい!

という意見を本当によく聞きますが、両方とも法律的には間違いです。調停などでこういうセリフを言ってしまうと、印象がとても悪くなってしまいます。養育費と面会は全く別の制度なので、条件みたいにしてしまうのはご法度なのです。

では、実際にはどうなるか? というと、子どもの希望を第一に回数や方法を決めていきます。
子どもが「会いたくない」と言っているのに無理やり会わせてはダメですし、子どもが「会いたい」と言っているのにそれを許可しないのもNGです。

二人で話ができず調停に行くほどギクシャクしている場合、「月1回1~2時間程度」になることが多いと思います。慣れてきて子どもとの関係が良くなっていれば、時間が延びたり宿泊があったりということもあるかもしれません。

そして、親権者が協力しない限り幼い子どもは面会できない、ということが重要になります。
ある程度大きくなっていると子どもだけでやり取りができますが、子どもが幼いときはどんなに父親が「面会したい」と求めても、親権者の協力がなければ面会の実現は困難です。

DVなどで怖い(=協力できない)場合は、写真だけ送る「間接面会」という方法や、「第三者機関」という面会用のサポート機関もあるので、「絶対に会わせなきゃいけない」などと無理をせずに、専門家に相談してみてくださいね。

さて、今回は離婚の場合の法律について、メインとなる親権・養育費・面会という子ども関係の法律のことをご説明しました。
次回は、財産の分け方や慰謝料といったお金の関係の法律のことをお話いたしますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。最後まで読んでいただいた読者の方、本当にありがとうございました。

弁護士が教える離婚に関する法律のこと5 離婚するときの法律のルール|財産分与・慰謝料・年金分割



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― 弁護士が教える離婚に関する法律のこと ―
1回目: 離婚を焦らないために知っておくこと
2回目: 離婚を悩んだときに準備すること
3回目: 離婚する前の法律のルール|婚姻費用
4回目: 離婚するときの法律のルール|親権・養育費・面会
5回目: 離婚するときの法律のルール|財産分与・慰謝料・年金分割