シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

母子家庭の生活費ってどうなってるの?子どもの貧困の現実とは?

ライター 辻寿子

フリーライター歴22年、シンママ歴6年。一卵性双生児の息子は、長男が脳性マヒで車椅子。日本化粧品検定1級、サプリメントアドバイザー取得。結婚歴3回、死別→離婚→離婚の経験あり。

Photo hisako tuji

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昨今よく耳にする貧困率。日本の貧困率は、15.8%という統計が出ています。そんなに貧乏そうな人は見当たらないのに……、不思議だと思いませんか? そもそも貧困とは何か、そこから抜け出すための方法についても考えていきましょう。

日本の貧困問題

シングルマザー(母子家庭)の貧困について考える前に、日本全体の問題について触れておきたいと思います。そもそも貧困率とは何で、どうしてそれが問題なのかを知っておきましょう。

貧困率とは?

ここでいう貧困率は、相対的貧困率のことで、簡単に言うと「所得が国民の平均値より半分以下の人の割合」です。

2009年のデータでは国民の平均所得は250万円なので、その半分の125万円以下の所得の人がどれくらいいるか、ということですね。つまり、年収が125万円を下回る日本人が6人に1人いる、ということなのです。

先進国で第4位!

世界的に見ても、日本の貧困率は高く、先進国30カ国中なんと第4位。特に問題なのは、子どもの貧困率が上昇しており、ひとり親世帯の相対的貧困率は54.6%(2015年)という、驚くべき数値であることです。

貧困率が高いということは、格差が大きいということを表していて、「今日食べるものがない」という絶対的貧困と同レベルのダメージがあると言われています。

「子どもの貧困」が社会的問題に!

貧困率が高いということは、貧困家庭で育つ子どもが多いということですね。しかも、子どもの貧困は連鎖すると言われています。どうして子どもの貧困は次世代にまで影響してしまうのでしょうか?

低学力・低学歴で就業が不安定に

所得の低い家庭で育った子どもは十分な教育が受けられないため、低学力となり、必然的に低学歴になってしまう傾向にあります。
すると安定した職業に就くことが難しく、結婚して子どもが生まれても十分な教育ができない、という貧困ゆえの連鎖に陥ってしまうのです。

格差が子どもに与えるダメージ

義務教育である小中学校の間は、家が貧しくても学校には通えます。ただ、格差は子ども同士でも感じています。
周りのみんなが当たり前に持っているもの・やっていることが、自分だけない・できないという環境にあると、子どもは「なんで自分だけ?」と心に破壊的なダメージを受けます。
もしお子さんが「どうせ私なんて」という言葉を使ったとしたら、傷ついた経験があるのかもしれません。

どうして連鎖するの?

昔はハングリー精神というものがありました。ところが格差社会では差が圧倒的すぎて、「勝負しよう」「見返してやろう」という気持ちにさえならないというのです。
将来に夢が持てず、仕事をすればいい方で、ニートや生活保護という方向にいく人も多くなります。子どもの貧困は、このように次の世代にまで連鎖していきます。

なぜ母子家庭は貧困率が高いの?

誰だって好きで貧困に陥る訳ではありませんよね。一生懸命働いているのに豊かにならないワーキングプアや、働きたくても働けない状況もあるでしょう。では、シングルマザーがどうして貧困になってしまうのかを見ていきましょう。

働けない事情がある

自身が病弱だったり家族に介護が必要な人がいたりすると、働きたくても働けません。在宅でできるような仕事を持っていればいいのですが、そうでない場合は厳しい状況になります。このような場合は、市町村に生活保護が受けられるか相談してみましょう。

→こんな場合は[生活保護]
シングルマザーで就学前の子どもが二人いる場合は、条件によって変わりますが、約15〜17万円ほどもらえる計算になります。ただ、実際に支給を受けるにはかなり高いハードルがあります。

働いても収入が増えない

時給や給料がアップする見込みのない仕事をしていて、他の仕事では条件が合わないこともあると思います。資格を取ったり、勉強するための支援制度があります。

→こんな場合は[高等職業訓練促進給付金]
ひとり親家庭の親が、資格を取得するために1年以上養成機関に通う場合に支給される制度です。
看護師や介護福祉士など、資格を取るのに1年以上学校に通わないといけない場合は、非課税世帯で月額10万円が3年間を上限に、修業期間の全期間支給されます(自治体によって異なる)。

給料が上がらず、資格を取りたいと思ったら、自治体に相談してみましょう。

前夫から養育費がもらえない

離婚する際に養育費の支払いを取り決めても、20%以下の支払い率しかないのが現実です。
なお、「きちんと取り決めた」という人は少なく、後で不払いが発生しても取り立てる方法がない、という人も多くいます。
小額のお金のことで前夫とまた揉めたくない、と思い不払いをそのままにしているケースもあります。

養育費が月々入れば、少しでも家計の足しになります。そのままにせずに支払ってもらえる方法を考えましょう。

→こんな場合は[調停をするか公正証書を作成する]
離婚時に作って決めていれば問題なく取り立てられるのですが、口約束や自分たちで約束書きにしたものは、残念ながら法律的に取り立てることができません。
また嫌な思いをする可能性もありますが、前夫と連絡を取り、改めて養育費の取り決めに関する調停を行うか公正証書を作成しましょう。
自分でもできますが、不備があり執行能力がなければ意味がありません。7〜10万円程度の料金はかかりますが、行政書士など専門家に頼むのがベターです。

生活のためにできること

さて、ここまで貧困について見てきましたが、抜け出せる道はあるでしょうか? まずは生活のためにできることを、できるだけ具体的に行っていきましょう。

全体的に把握することと、ひとつずつ細かく見ていくことの両方が必要です。

全収入を書き出してみる

現在の全収入を書き出します。

自分と子ども二人(8歳と5歳)がいる下記のケースでは

  • 給料:107,000円
  • 養育費:30,000円
  • 児童扶養手当:52,330円
  • 児童手当:10,000円
  • 就学援助:4,628円

合計:203,958円、年収:2,447,496万円となるので、日本の平均収入に並びます。この場合、給料が10万円でも収入自体は貧困とは言えませんね。

支出を書き出してみる

次に、月々必要な支出を書き出します。

  • 家賃
  • 光熱費
  • 通信費(携帯電話、インターネットなど)
  • 食費
  • 生命保険
  • 教育費
  • ローン
  • 衣服費
  • 美容費
  • 娯楽費
  • 交通費
  • その他の雑費

さて、いくらになりましたか? この金額が収入を上回るなら、収入が足りていないか、どこかを削らなければなりません。本当に必要なことにはきちんとお金を使い、削れる部分がないか探していきましょう。

無駄の削り方

支出の項目と実際の数字をよく見つめてください。飛び抜けて多い項目がありませんか? また、無駄だなと思うものはありませんか?

節約を子どもにまで強要すると、自分自身がストレスを感じてしまいますし、子どもも窮屈な思いをしてしまいます。収支のバランスをみて、特に電話代、光熱費、美容費に無駄がないか確認しましょう。

母子家庭は優遇!公営アパート

家計で大きな割合を占めるのは、なんといっても家賃です。実家に戻っていたり、すでに結婚時に購入しローンも終わっているならいいのですが、そうでない限りは定収入で部屋を借りることも難しくなります。

住居で困ったら、公営アパートを狙いましょう。母子家庭限定の特別抽選があったり、当選確率を優遇する制度もあります。全国の各自治体で行っていますが、いずれにしてもチャンスは年に1〜2回です。見逃さないようにチェックしましょう! 民間の賃貸物件より家賃がかなり安いので、入居できれば家計が一段と楽になります。

賢く生命保険に入るには?

一家の大黒柱であるシングルマザーは、いざという時のことも考えておく必要があります。
健康ならしっかり働くことができますが、病気やケガをすることも考えられます。「まさか私に限って……」とは思っても、不慮の事故や大病ということもあります。

子どもの将来を守るためにも生命保険に賢く入っていたいですね。

まずは医療保険

第一に入っておきたいのは「医療保険」です。給料が入らなくても、ある程度の期間は入院給付金が支給され、月々の保険料も3,000円代とお手頃なものがあります。
医師の診査もなく、健康状態の告知だけで加入でき面倒もありません。WEBサイトから資料請求したり申し込みができるものもあるので、忙しいシンママでも便利に利用できます。

次に死亡保険

医療保険の次に入っておきたいのは「死亡保険」です。万が一の時、子どもが路頭に迷わないように備えておきましょう。おすすめは掛け捨てで10年で満期になる定期保険です。
WEBサイトやスマートフォンからも申し込めて、月の保険料も1,000円を切るものもあります。

いずれにしても大切なことは、家計を圧迫しない保険料であること。途中で解約すると戻ってこないばかりか、損をする場合もあるので注意しましょう。

まとまった出費はどうする?

月々の生活費はなんとか成り立っても、入学や卒業、子どもの結婚など大きな出費がある時はどうすればいいのでしょうか?
月々生活するのが精一杯で貯金をする余裕がない人にとっては、子どもの成長とともにかかるお金のことを思うと、嬉しい反面頭が痛いのではないでしょうか? 

そのような場合に、シングルマザーが利用できる「母子・父子寡婦福祉資金貸付金」という公的支援も準備されています。

就学支援資金

子どもの就学や修学のために必要な衣服などの購入に必要な資金を借りられます。小学校で40,600円、中学校47,400円、国公立高校160,000円、私立高校420,000円、国公立大学・短大など380,000円など。無利子なので一般の金融機関から借り入れるよりは返済が楽になります。

修学資金

子どもの高校、大学、高等専門学校または専修学校に就学させるための授業料や書籍代、交通費などに必要な資金を借りられます。公立か私立、学校によっても違いますが、例えば国公立の大学で、自宅通学なら月額45,000円が借りられます。こちらも無利子です。

修業資金

子どもが事業を開始したり就職するために必要な知識や技能を習得するために必要な資金(月額68,000円)を借りられます。ただし、技能習得中の子どもが18歳となった最初の3月31日が終了し、児童扶養手当などが支給されなくなると、68,000円に児童扶養手当の額を加算して借りられます。

結婚資金

母子家庭の母が対象ですが、母子家庭の母が扶養した子どもが結婚する場合には資金を借りることができます。子どもが20歳以上であることが条件で、逆に未成年のうちの結婚では借りることはできません。貸付限度額は30万円。

結局シンママはいくら稼げばいいの?

貧困率から家計の収支などを見ていくと、月収は15万円以上は欲しいところです。

ただ、アルバイトやパートで15万円以上稼ぐのはかなり難しいので、まずは月収10万円をキープして、養育費をもらえていないなら、前夫に支払ってもらう方法を考えましょう。
その上で、正社員での就職を探すか、資格取得の支援制度を利用してキャリアアップを図ります。

将来のことを考えると、生命保険や貯金も必要なので、今現在生活がギリギリという人は、キッチリと自分の収入と支出を書きだして見直してみましょう。
そこから逆算すれば、いくら稼げばいいのかわかってくると思います。決して贅沢をさせるという意味ではありませんが、子どもの貧困は今そこにある現実です。お金がないことで子どもに辛い思いをさせないよう、資金支援の制度も上手に利用していきましょう。

まとめ

日本全体の貧困率が高い中、シンママの苦労は絶えません。支援やお得な情報を知り、子どもの笑顔のために賢く上手に利用していきたいですね!

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