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シングルマザーが再婚する時、子どもの戸籍や苗字はどうなるの?

ライター 辻寿子

フリーライター歴22年、シンママ歴6年。一卵性双生児の息子は、長男が脳性マヒで車椅子。日本化粧品検定1級、サプリメントアドバイザー取得。結婚歴3回、死別→離婚→離婚の経験あり。

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シングルマザーとして子育てをがんばってきたけど、再婚することになった! とてもおめでたいことですね。ところが、いざ再婚となると、法律上の手続きや名前のことで、わからないことばかり。子どもの気持ちを第一に考るためにも、しっかりと法律を理解しておきましょう。

再婚したら、戸籍はどうなる?

シングルマザーが再婚する時、子どもの戸籍が大きな問題となってきます。戸籍上、子どもをどうするのか? 苗字はどうなってしまうのか? 再婚相手と子どもが養子縁組するのか? など、考えなければならないことはたくさんあります。

まずは基本的な点から見ていきましょう。シングルマザーが再婚のために婚姻届を提出すると、「夫と妻だけの戸籍」が新しく作られ、子どもは「母親が除籍された戸籍にそのまま残る」ことになります。
つまり、この状態では子どもの苗字だけが違っているのです。

そこで、離婚の時のことを思い出してください。いろいろなパターンがありますが、離婚した時点ではどちらに親権があろうと、子どもの戸籍は前夫の戸籍にそのまま残っていたはずです。自分は旧姓に戻ったとしても、子どもの姓を自分と一緒にするには、家庭裁判所で「子の氏の変更許可の申立」をしなければなりません。その後、自分の戸籍に入籍するという手続きも必要です。
自分も子どもも、前夫の姓のままという人もいますし、この時点でもパターンはそれぞれなのです。
再婚の場合も子どもの戸籍はそのまま残ってしまうので(戸籍筆頭者は除籍となり×が付きます)、再婚相手や子どもと相談して、いろんなことを選択し決定しなければならないのです。

再婚した時の戸籍のパターン

では実際に、再婚した際の戸籍パターンを見ていきましょう。4パターンありますが、どれを選ぶにしても自分だけでは決められない重要なことです。

全員同じ戸籍で新姓

再婚相手と自分が婚姻届を出し、子どもと再婚相手が養子縁組をした場合は、再婚相手と自分、子ども全員が同じ戸籍に入り、再婚相手の苗字になります。
戸籍上の続柄は男の子なら「養子」女の子なら「養女」となり、正式に親子関係が発生します。ただし、子どもが15歳以上の場合は届け人が子ども自身となります。

再婚相手と自分が同じ戸籍で新姓、子どもは旧姓のまま

再婚相手と自分は婚姻届を出しても、子どもと再婚相手が養子縁組をしない場合は、子どもと母親の姓が違うということになります。子どもの戸籍は、母親が除籍された状態でそのまま残っていることになりますが、法律的に何も問題はありません。
この場合に、子どもの姓を同じにしたければ家庭裁判所で「子の氏の変更許可の申立」をして、入籍届を提出します。苗字は全員同じになりますが、再婚相手と子どもの親子関係は発生しません。再婚相手との続柄は「継子」または「妻の子」となります。

全員同じ戸籍で同じ苗字だが自分の旧姓

戸籍の筆頭者を自分にすれば、再婚相手が妻の戸籍に入ってくる形になり、子どもと母親の苗字が違うということにはなりません。ただし、再婚相手が姓を変えることになるので十分な話し合いが必要です。

全員同じ姓になるが、再婚相手と親子関係はない

再婚相手と子どもの養子縁組をせずに婚姻届を出した場合、子どもの戸籍も苗字もそのままになりますが、家庭裁判所で「母の氏を称する入籍届」をすることで、同じ姓になることができます。
ただし、再婚相手と子どもに親子関係も養育の義務もありません。

養子縁組について

前述したように、シングルマザーが再婚する時に一番の焦点となるのは、再婚相手と子どもが養子縁組をするかどうか? ではないでしょうか。養子縁組をした方がいいのか、しない方がいいのか、また前夫との親子関係などがどうなるのか、詳しく見て行きましょう。

養子縁組の手続きとは?

シングルマザーが再婚すると、母親は再婚相手と新しい戸籍に入り姓も変わりますが、子どもの戸籍はそのままです。そして、婚姻届を出しただけでは再婚相手と子どもは他人のままで、当然ながら養育義務もありません。
そこで再婚相手と子どもが正式の親子となるために必要となるのが「養子縁組」なのです。これにより、法律上の親子関係が結ばれ、実子として認められます。養育義務も発生し、子どもは再婚相手の法定相続人となります。一方で、子どもにも扶養義務が発生し、養父(再婚相手)が年老いて介護が必要になった場合には扶養しなければなりません。

養子縁組しないとどうなる?

子どもが養子縁組しなくても、再婚相手と結婚することはできます。その際、子どもは母親が除籍された戸籍にそのまま残ることになり、母親と子どもが違う苗字になります。
養子縁組は、婚姻届と同じタイミングでなく、後からでもできます。再婚相手にとっても子どもにとってもデリケートで重大な問題なので、よく相談してから決めることが大切です。

養子縁組しないでも姓は同じにできるの?

家庭裁判所で「母の氏を称する入籍届」をすれば、再婚相手と子どもが養子縁組をしなくても同じ姓を名乗ることはできます。ただし、この場合でも再婚相手との親子関係は発生しておらず、再婚相手に養育の義務はないことを覚えておきましょう。

養子縁組すると、養育費はもらえないの?

離婚時の約束にもよりますが、母親の再婚によって子どもが再婚相手の戸籍に入っても、前夫の子どもに対する養育費の負担義務がなくなることはありません。
子どもが再婚相手と養子縁組した場合には、再婚相手、前夫ともに扶養義務者となります。再婚後の経済状態や再婚相手の経済力などを考慮しながら、前夫と協議して負担額を決めることになります。
その際、養育費が再婚前より減額されることはあるようです。また、再婚相手が前夫からの養育費を受け取りたくないと、拒否するパターンもあります。

養子縁組しないと、扶養や健康保険に入れない?

答えは、扶養に入れます。ただし、養子縁組をしていても、していなくても、子どもが18歳未満であることが条件。また、養子縁組していない場合は、同居していることが条件となります。将来何らかの理由で別居することになると、扶養から外れることになります。
自分が再婚相手の扶養に入れるかどうかは、最初の結婚と同じで、自分の仕事や収入によります。

養子縁組すると、前夫の財産相続はどうなる?

母親が再婚して、その再婚相手と養子縁組をしたとしても、実父は実父として養育費の負担義務は継続しています。前夫の実子であることは変わることはないので、母親が再婚しても子どもは実父の財産相続の権利があります。

戸籍や養子縁組、どうしたらいいの?

このように、法律的なことはわかってきても、人の気持ちのことまで解決してくれるわけではありません。以下のような場合は、どうするべきなのか、また、法律上方法があるのかも含めてご説明していきます。

再婚相手が養子縁組を嫌がったら

養子縁組をするということは、前夫との子どもを自分の子どもとして受け入れ、扶養義務を背負うことになります。養子縁組をしなくても結婚はできるのですから、嫌だと思う人もいるでしょう。
しかし、養子縁組は子どもにも扶養義務が生じることも忘れてはなりません。もし仮に、母親が先に亡くなってしまったら、養父の面倒は子どもが見なくてはなりません。
子どもの利益ばかりを見ず、背負わなければならないこともあることをよく考えて、再婚相手が嫌がるようなら強制しないようにしましょう。
前述したように、養子縁組はいつでもできるので、財産を子どもに残したいなど必要がある場合にまた考えてもいいのではないでしょうか。

子どもが養子縁組を嫌がったら

法律的に子どもが自分で養子縁組をするかしないかを決められるのは15歳以上です。それ未満は親権者が決めることができますが、子どもの気持ちが「ノー」であれば、無理に親子関係を結ぶ必要はありません。
苗字が別になってしまうという問題なら「母の氏を称する入籍届」をするか、戸籍筆頭者を自分にすれば解決できます。将来養子縁組をしたい、した方がよいという時に、手続きすることはできるので、無理強いして子どもの心を傷つけるのはよくありません。

再婚相手との間に子どもができたら

子どもと養子縁組をして、全員が同じ戸籍、同じ苗字であっても、再婚相手との間に子どもが生まれたら、戸籍上ちょっと複雑になります。
自分から見たら2人目の子どもでも、再婚相手にしたら1人目。この場合、戸籍ではどのように記されるかというと「長男(または長女)」となります。あくまでも、現在の戸籍上で父母から見て何にあたるかということになるのです。
では、前夫の子どもはどうなるのかというと、養子縁組をしていれば「養子(または養女)」、養子縁組をしていなければ「継子(または妻の子)」となります。
もし養子縁組をしておらず、子どもだけ前夫の姓を名乗って居た場合、夫婦の間に子どもが生まれたら、前夫の子どもだけが違う苗字になるということです。
このタイミングでも、養子縁組や「母の氏を称する入籍届」の考慮をした方がいいでしょう。

子どもが新姓を嫌がったら

子どもがどういう意味で新姓を嫌がっているのか、よく話をして聞いておく必要があります。名前が変わると、学校でお友だちにいろいろ言われそうだから嫌なのか、前夫との関係を断つことになるから嫌なのか、理由はいろいろでしょうが、その上で解決策を見つけていきましょう。

例えば、養子縁組をして戸籍上の姓は変わっても、学校ではそのまま旧姓を名乗っていることもよくあるようです。もちろん学校側も配慮してくれますし、何の問題もないそうです。
しばらくは旧姓を名乗り、小学校から中学校へ上がるタイミングなどで新姓を名乗るようにするというのも一つの方法です。

また、母親が再婚相手と入籍するだけで、子どもの戸籍をそのままにした場合は、戸籍上は子どもだけ旧姓のままということになりますが、母親と名前が違っても、学校では母親の方が旧姓を名乗っても問題ないということです。

自分にとっては前夫の姓というだけで、何の思い入れもなくても、子どもにとっては生まれながらの名前です。名前が変わるという一大事を受け入れられないこともあるでしょうから、子どもの気持ちを第一に、できる限りの方法を考えてあげてください。

子どもの続柄が「養子」にならない方法は?

ここまで書いてきた「養子縁組」は、いわゆる「普通養子縁組」と呼ばれるものです。実は「特別養子縁組」という方法があり、戸籍上の続柄として「養子(または養女)」と記載されなくなります。
普通養子縁組との違いは、子どもと実父の縁が切れ、実父には養育義務がなくなると共に、実父の遺産ももらえなくなります。
子どもと再婚相手が限りなく本当の親子関係に近くなるというのがこの「特別養子縁組」ということです。
しかし、条件はかなり厳しく

  • 養親(再婚相手)が25歳以上
  • 子どもが6歳未満(同居していたなど理由があれば8歳未満)
  • 子どもの実父の同意が必要

となっており、期間も1年ほどかかるということです。
実父に問題があって縁を切りたい場合や、子どもが将来「養子(養女)」ということに傷つかない配慮から行うのなら、根気よく申立をしましょう。

まとめ

子どもは親の離婚・再婚で大きく揺れ動いています。いろんな手続きや方法がありますので、子どもにとってよりよい解決策を見つけてくださいね。

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