シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

道端カレンや椎名林檎も!未婚のシングルマザーは法律で守られてないの?

ライター 辻寿子

フリーライター歴22年、シンママ歴6年。一卵性双生児の息子は、長男が脳性マヒで車椅子。日本化粧品検定1級、サプリメントアドバイザー取得。結婚歴3回、死別→離婚→離婚の経験あり。

Photo hisako tuji

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離婚、死別、未婚での出産と、シングルマザーにもいろいろありますが「未婚のシングルマザー」はこの数年で急増しています。未婚で子どもを生んだ場合、出生届や戸籍、子どもの将来はどうなるのでしょうか?

未婚のシングルマザーはどのくらいいる?

2010年の総務省による国勢調査の結果によると、未婚のシングルマザーは13万2千人という数字があります。これは、シングルマザー全体の約108万人に対して12.2%の割合を占めています。未婚の母はその5年前に比べて急増しており、シングルマザー全体の数が少ししか増えていないのに対し、未婚は明らかに増えているのです。その背景に何があるのか、統計から見てみましょう。

未婚の母はなぜ増えた?

未婚で子どもを生む女性が、どうして増えたのでしょうか? 2010年のデータをいくつか見てみると、その傾向がわかってきます。

このように、シングルマザー全体の数に対して、未婚の母は13万人で12.2%となります。意外に多いと感じるのではないでしょうか。その理由として、次の2つの表を見てみると見えてくることがあります。

この2つの表から、未婚の母の年齢が上がってきていることがわかります。【図11】を見ると、2000年には未婚の母自体も少なく、年齢のピークも30〜34歳が最も多かったのに対し、2010年には数が増え、最も多い年齢が35〜39歳になっていますね。

また、【図4】では、離別や死別のシングルマザーに対して、未婚の母は20代が多く、年齢のピークは35〜39歳と、離別と同じ年代になっています。40代で未婚の母になる人も20代と同じくらいいて、女性の経済的自立をうかがわせます。
シングルマザーへの公的支援制度の充実も、未婚で子どもを育てる後押しになっているのではないでしょうか。
婚外子の法的な改正も今後行われる見通しがあり、以前にあったような差別もなくなっていく傾向にあります。

未婚の母になる?その決断

未婚で子どもを生むには、いろんな事情があることでしょうが、その事情も多様化してきました。
モデルの道端カレンさんは25歳で長男を、28歳で二男を出産していますが、いずれも未婚での出産です。
また、歌手の椎名林檎さんも当初既婚者だった彼との間に子どもがおり、現在は前妻と離婚はしているものの、入籍はしていないようです。2013年に「父親のことは一切話さない」と発表したスケートの安藤美姫さんも世間を騒がせました。
未婚の母になるのは、どんな決断からなのでしょうか?

結婚前に妊娠した

お付き合いしている彼がいて妊娠した場合、結婚を選択する人がほとんどでしょう。ところが、未成年である、彼が逃げ腰になった、妊娠はしたがその前に関係が破綻していたなどの理由で、未婚の母にならざるを得なかった人もいます。
また、最近の傾向としては、結婚という選択肢を選ばない女性も増えており、それは前述の表にもあったように、未婚の母の年齢が上がっていることも理由のひとつと考えられます。つまり、社会的地位や収入があり、自分ひとりでも育てられるという決断です。
実際に欧米では未婚の母率は50%近くもあり、3%にも満たない日本は、極端に少ないといえるでしょう。

結婚できない理由がある

つまり、相手が結婚していて不倫関係にある場合です。相手が離婚してこちらと結婚するというのは、かなり時間がかかるもので、その間の不安はどうしようもなく大きくなってしまいます。
相手の家族のこともあり、すべて丸く収まる解決法は非常に難しくなります。しかしこの場合でも、認知はしてもらうようにしましょう。

未婚で生んだらどうなる?

未婚で生むことを決めたら、次は現実的なことを考えて行動しなければなりません。法的な手続きについてのことも詳しく説明していきます。

医・職・住の確保

本来なら「衣・食・住」ですが、未婚の母になるには「医(健康の維持、産院)・職(仕事)・住(家)」が最優先事項です。まずは子どもを安全に生むための産婦人科を決めましょう。未婚の母は、実家に帰る率も高いので、両親とよく相談してどこにするか決めるといいですね。
職は仕事ですが、子どもを育てるためにはどうしても必要なことです。正社員であるなら産休も育休も未婚既婚関わりなく取ることができます。もし無職であるなら、子どもの父親とも生活費や養育費の相談をしながら、できる時から仕事を見つけましょう。
住居も今現在ひとり暮らしであるなら、しばらくはそのまま住むことができるでしょうが、いずれ手狭になったりすることも考えておく必要があります。

出生届

子どもが生まれたら役所に提出する出生届。婚外子の場合は、非嫡出子として受理されます。民法900条による相続の決まりがあるため、このように出生届でも婚外子を区別しているのです。
非嫡出子は父親とは法律上親子ではありませんし、父親の名前も空欄になります。認知されていない子どもは、父親の法定相続人にはなれません。

認知届

では、認知していればどうでしょうか。意外に勘違いしている人も多いので詳しく説明していきます。
まず、認知届を出すと子どもの戸籍の父親欄に父の名前が書かれます。最初から名前が記されるのは、胎児認知の場合です。
認知届を出しても、子どもは母親の戸籍に入り、母の姓を名乗り、親権も母にあります。父親とは法律上の親子関係になりますが、法定相続の権利はあるものの、実の子の1/2となってしまいます。ただし、認知しても、父と母が婚姻していなければ「非嫡出子」であることに変わりはありません。
認知をすると子どもはもちろん、父親の方の戸籍にもその事項が記載されるため、戸籍に載せたくない男性は本籍を移すことも多いようです。なぜなら、本籍を移せば認知事項の記載がなくなるからです。
いずれにしても、実子とは区別されているということがわかりますね。しかし、認知されれば養育費を支払う義務が生じるので、よく話し合って決めていきましょう。

戸籍

前述したように、婚姻外の子どもは母親の戸籍に入り、母の姓を名乗ります。しかし、父親の姓を名乗りたい場合は認知をし、家庭裁判所で「子の氏の変更許可申立」をし、許可を受けた上で父の戸籍へ入籍します。
続柄について、以前は婚外子であると「男」「女」と記されていました。婚姻での子の続柄は「長男」「長女」と書かれるので、戸籍を見ただけで婚外子であることがわかってしまい、裁判でプライバシー侵害であると認められたため、2004年以降はすべて「長男、二男」と書くことに統一されました。それ以前に生まれた婚外子の戸籍も、申し出れば改めることができます。

未婚の子は法律で守られない?

戸籍では「非嫡出子」にチェックが入り、認知されていてもそれは変わらないという区別があります。その他に、法律上どのような不利益があるのでしょうか?

認知を受けていないと相続できない

認知を受けていても半分になる法定相続。認知を受けていなければ、父親は法律上の親子ではないため、相続の権利がまったくありません。子どもが生まれる時に、まさか遺産のことまで考えることは少ないでしょうが、それでも、認知を受けない不利益や法律で守られないことは知っておきましょう。

入園や入学はどうなる?

現在は一部の私立校を除いて受験の際に戸籍謄本の提出を求めるところはほぼないようです。ただし認可保育園に入れるには、マイナンバーや家庭現況届を提出しなければなりません。しかしながら、マイナンバーはいわゆる住民票の代わりなので、これによってシングルマザーであることはわかりますが、婚外子であることまではわかることはありません。家庭の事情を話す場合でも、わざわざ「未婚」であることを言う必要はなく「母子家庭」と言えばいいでしょう。

社会的な差別はある?

一番気になるのは、子どもが社会的に差別を受けるのではないかということではないでしょうか。どんな場合は考えられるのか、見ていきましょう。

学校

学校ではひとり親家庭であることはわかりますが、婚外子であることまでは本人が言わない限りわかりません。教師もそこまでは把握していないそうです。戸籍の提出を求めるような私立の学校でもない限りは、未婚の母であることを他人が知り得ることはないので安心してください。

就職

企業へ就職する際も、戸籍まで調べられることはありませんので、自分から言わない限りは婚外子であることはわかりません。また、会社では本人の能力を優先するのであって、その母親が未婚で子どもを生んだかどうかという問題は、まったく関係がありません。就職に影響するということはほぼないと言っていいでしょう。

近所の目

実家に戻った場合など、近所の方たちは未婚の母であることを知っている可能性が高いでしょう。未だに日本では婚外子に対する差別意識が強く、特に年配の方たちには受けが悪いこともあります。しかし、子どもにはまったく罪のないことです。口さがない人たちが、後ろ指をさすようなことがあっても、子どもにはきちんと「どうして父親がいないのか」「どんなにあなたを愛しているか」を伝え、堂々と胸を張って生きていけるようにくり返し話してあげてください。

父親の責任

結婚していない二人の子どもでも、父親であるからには養育の責任があります。結婚はしないまでも、認知までしぶるようでしたら、調停にかけるという方法があります。

強制認知と審判認知

結婚していない状態で出生し、さらに父親が認知をしない時には調停で争うことになります。
審判認知は、家庭裁判所に対して調停を申し立てて行いますが、双方の合意に基づいて成立するため、父親・母親どちらも出席しなければなりません。父親の住所がわからない、出席を拒否されたなどの場合は審判認知が成り立たないので、強制認知となります。
強制認知とは、まず家庭裁判所に認知の訴えを起こします。父親は被告となり、基本的には子どもが訴えます。母親は法定代理人ということになります。ただし、男性の住所や公示送達、場合によってはDNA鑑定といったことも必要となるため、かなり労力も時間もかかります。相手の収入や状況、性格などから判断して、そこまでして認知させなければならないかどうか、よく考えてください。

相手の妻から訴えられた

相手が妻子ある人で、未婚の母になることもあるでしょう。認知してもらうと相手の戸籍に「○○の子□□を認知」と記載されるため、相手の妻が不貞の事実を知る可能性があります。
もしかすると、相手の妻が自分に対して損害賠償を求めてくることもあるので、どうすべきかは関係者一同でよく話し合いましょう。
話し合いの末、認知はしないけれど養育費は支払うという結果に落ち着く場合も多いようです。その際は、確実に養育費がもらえるように、きちんと公正証書にしておきましょう。

不倫と子どもに対する責任は別

不倫の末に相手方の妻に訴えられるということもありますが、不倫の責任と子どもに対する責任は別です。子どもに対する認知や養育費の責任は、子どもの権利として請求することをおすすめします。

まとめ

ひとりで子どもを育てることは並大抵のことではありません。それを最初からやろうと決めた未婚の母は、相当な覚悟が必要でしょう。知識があれば、不安も軽減されますので周囲の助けを借りながら強く生きていきましょう!

資料出所WEBサイト
総務省統計研修所「シングル・マザーの最近の状況(2010 年)」
http://www.stat.go.jp/training/2kenkyu/pdf/zuhyou/single4.pdf