シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

シングルマザー(母子家庭)の医療費 助成制度があるから保険は必要ない?

ライター 辻寿子

フリーライター歴22年、シンママ歴6年。一卵性双生児の息子は、長男が脳性マヒで車椅子。日本化粧品検定1級、サプリメントアドバイザー取得。結婚歴3回、死別→離婚→離婚の経験あり。

Photo hisako tuji

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「ひとり親家族等医療費助成制度」によって、シングルマザー(母子家庭)では医療費はあまりかかりませんよね。だからといって、保険をおろそかにしていたら、いざという時困ったことになりかねません。優先すべき保険やその目的について紹介します。

「ひとり親家族等医療費助成制度」について

母子家庭ならほとんどの家庭がお世話になっているであろう医療費助成制度。自治体によって多少の違いはありますが、子どもが病院などで診察や治療を受けた際の医療費、または薬代がかからず、親の医療費も助成されることもあり、実際の医療費はほとんどかかりません。
それなのに、本当にシングルマザーに保険が必要なのか、もう一度自治体が行っている「ひとり親家族等医療費助成制度」について復習してみましょう。

今回は「福岡県福岡市の助成」を例にご紹介します。
※2017年度の福岡県福岡市の情報を元にしています。制度改正等に伴い変更になる場合があります。また、助成内容は自治体によって異なるので、詳細はお住まいの市区町村でご確認ください。

[助成を受けられる条件]

  • 母子家庭の母と児童
  • 父子家庭の父と児童
  • 父母のいない児童

※児童は18歳の誕生日の前日からその後最初の3月31日までが対象
※その他、生活保護の受給、子ども医療を受けているなど助成を受けられない場合があります。

[助成内容]

  • 通院→800円/月(ただし、1医療機関あたり)
  • 入院→500円/月(月7日まで。小・中学生はなし)
  • 薬局での自己負担なし

同じ病院に限っては、何度受診しても月に800円以上はかかりませんし、7日以内の入院なら500円が上限です。小・中学生の入院は全額助成してもらえるし、薬も無料となるため、本当にありがたい制度です。
「お金がない」という理由で病院に子どもを連れていけないということもなくなり、自分の医療費もほとんどかからないのです。

それでも、保険に入った方がいいのは、どういう理由からでしょうか? その理由を見ていきましょう。

どうしてシングルマザーには保険が必要か?

自治体の医療助成制度で手厚く保護されているのに、どうしてわざわざお金を払ってまで保険に入らないといけないの? と思う方も多いでしょう。また、保険代を支払う余裕がないと思っている人もいると思います。
そんなシンママに、保険がどうして必要で、なぜ重要なのか、その理由をご説明していきます。

保険は入院した時の生活費

ケガや病気で思いもよらぬ入院が必要となったら、その間の費用はどうしますか? もちろん、ひとり親医療助成によって入院費も薬代もほとんどかかりませんが、ちょっと待って。正社員なら有給を使ったり傷病手当金の給付を受けたりできますが、パートやアルバイト、自営業であったなら入院している間の収入はゼロになってしまいます。

いくら医療費がかからなかったとしても、働けない期間の収入がゼロになってしまうことを補填しなくてはなりません。生命保険や医療保険の入院保障があれば、当面の収入の心配をせずにすみ、安心して治療に専念できます。

意外にある! 保険適用外になる入院費用

入院してみてわかることですが、案外保険適用にならない入院費用というものは無視できません。入院中の食事代も1日数百円とはいえ実費です。たとえば、差額ベッド代というものがありますが、平均すると1日5,829円(平成24年調べ)で、1週間入院すると4万円を超えてしまいます。
また、保険会社に提出するための証明書などを書いてもらうためにも数千円かかります。
入院日数にもよりますが、これらを合計するとかなりな金額になることがあるため、保険で補うことができれば楽です。

病気してから、年齢が上がってからでは高くなる!

「自分に限って」と思っていても、病気やケガはいつ襲ってくるかわかりません。どんな病気にかかるかもわかりません。だからこそ、保険に加入しておくことを検討するのもよいでしょう。
なぜなら、病気をしてからでは保険に入れなくなったり、入れたとしても保険料が割高になったりするからです。また、年齢が上がると保険料も高くなってしまいます。シングルマザーになってから、保険の見直しを全くしていないならば、なるべく早くとりまとめて見直してみてください。

すべては子どもの将来のため

考えたくはなくても、自分にもしものことがあったら、子どもたちはどうなりますか? 自分以外に子どもたちの将来を見てくれる人がいないシングルマザーだからこそ、保険に加入していると安心です。
子どもたちの学費のことも併せて、どんな保険に入ったらいいのかしっかり計算してみましょう。

シングルマザーが入っておきたい保険ベスト3

それでは、一体どんな保険に入ればいいのか見ていきましょう。特にシングルマザーだからこそ持っておきたい保険があるので、今入っている保険や、独身時代・結婚していた時期からそのままにしている保険があれば、保障内容と保険料を見直してみましょう。
また、生命保険と医療保険の違いがわからないという人にとっても、参考にしていただくことができます。

第1位「生命保険」

保険対象者が死亡した場合に支払われるのが「生命保険」です。一家の大黒柱にかけることがほとんどで、結婚しているなら夫にかけるのが普通ですが、シンママの場合は自分にかけます。万が一の時、子どもたちが路頭に迷うことなく、しっかりお金を残せる方法です。
生命保険には大きく分けて3タイプあります。

  1. 定期保険
    保険期間を決め、その間に亡くなった場合だけ死亡保険金が支払われます。シンママの場合は、子どもが成人するまでを保険期間にすることが多く、終身保険に比べ保険料が安くなります。
  2. 終身保険
    保障は一生続き、死亡した場合に保険が受け取れます。貯蓄性が高いですが、定期保険より保険料が高くなります。
  3. 養老保険
    保険期間を決め、その間に亡くなった場合は死亡保険金を、満期の時には満期保険金を受け取れます。死亡保険金と満期保険金は同額なので、貯金のような感覚に近いです。

シンママにおすすめなのは、保険料が安くなる定期保険。また、自分が死亡した時点から契約期間が終わるまで、毎月定額で支払われる「収入保障保険」も保険料がかなり安いので、検討する場合は候補に挙げてみてください。

第2位「医療保険」

生命保険が「死亡」の時の保障なら、医療保険は「病気やケガ」の時の保障です。生命保険の中に医療保険に似た保障が受けられるものもありますが、最近では入院保障を重視したものが多く「特約」というものをよく目にします。自分に合うものをしっかり選びましょう。
また、医療保険の特長として生命保険会社でも、損保会社でも入ることができます。そのため、混乱してしまうこともありますが、生命保険では保障されないものを医療保険でさらに補うという風に考えて商品を選びましょう。

医療保険で特に見てもらいたいのは、

  • 入院日額
  • 入院何日まで保障か
  • 手術給付金がいくらか
  • 通院特約はあるか
  • 日帰り入院でも保障されるか

というところです。その他の病名特約は、保険料と自分の心配な病気と相談して決めていきましょう。

第3位「学資保険」

学資保険とは、子どもの進学に合わせて教育資金が支払われるように設定することで、毎月保険料を支払っていく保険のことです。満期をいつに設定するかは決めることができ、自分が死亡した場合でも子どもは学資保険を満額受け取れる商品もあります。
「だったら貯金でもいいのでは?」と思うかもしれませんが、普通貯金よりも金利が良く、ある意味で強制的な貯金ともいえるため、貯蓄が苦手という方にはおすすめです。
ただし、換金性が低く、保障を付けすぎたり途中解約したりすると元本割れすることもあるので、注意しましょう。

学資保険の加入は、子どもの年齢が低い方が月々の保険料は安くなります。例えば、18歳の大学入学時点までに300万円の積み立てをする場合、0歳からかけるのと、5歳からかけるのでは、5歳からかける方が月々5,000円以上高くなることがあります。また、この例で0歳からかけたとしても月々の保険料は約13,000円程度となり、子どもが二人以上いる場合は、かなりの負担額になります。

子どもにいくら残せばいいのか算出してみよう!

子どもが何人で、シングルマザーになった時何歳だったかにもよりますが、母子家庭で一番心配なのは、自分に万が一のことがあった時、残された子どもがどうなるかということでしょう。日々の生活にも困るくらいなのに、蓄えなんてあるわけない! という人もいることでしょうが、そのために保険というものがあります。とりあえず、子どもが成人するまでに一体いくら必要なのかを計算してみましょう。

シンママなので、子どもが保育園に通い、小中学校は公立に行ったと仮定します。高校からは、それぞれの学力などにもよりますので、公立・私立両方の場合で試算してみましょう。

保育園は母子家庭でも収入によって保育料が変わりますが、ここでは全国平均での2万円ということにしてみます。

20,000×12ヶ月×5年=120万円

  • 小学校(6年間)
    約190万円
  • 中学校(3年間)
    約140万円
  • 高校(3年間)
    公立:約120万円、私立:約300万円
  • 大学(4年間)
    国公立:約520万円、私立文系:約700万円、私立理系:約820万円

すべて公立で大学まで行ったとしても、大学卒業までに約1,090万円もかかり、もちろんこれは学費だけなので生活費も考慮しなければなりません。

家賃や食費、光熱費など月15万円としても、18年間で3,240万円かかります。学費と合わせると、4,330万円!

子どもが二人だとしたら、生活費は二人いても同額でいいですが、学費は倍かかりますから5,420万円になります。

これだけのお金を残すためには、やはり生命保険にちゃんと入り、病気やケガをした時のための医療保険も入っておくべきでしょう。

生命保険の終身と定期はどっちがいい?

保険料が安くなるのは間違いなく「定期」です。ただし、定期の場合は保険に期限があり、その期間に亡くなった場合にだけ保険料が支払われます。保険料は基本的に掛け捨てとなり、満期になってもお金は受け取れません。
一方、終身保険は一生涯保障されます。つまり、何歳で亡くなっても保険金が支払われるのです。保険料は定期より割高ですが、途中解約した場合でも返戻金があります。

シンママの場合、毎月の保険料の安さをとるなら、子どもが成人するまでを期限とした「定期」にすることがおすすめです。掛け捨ては嫌、解約したら戻ってくる方がいいなら、終身にした方がいいでしょう。

女性特約は必要?

婦人科系の病気など、女性特有の疾患が特約として付いている保険があります。例えば乳ガンになったらお得ですが、正直、いつどんな病気をするかは誰にもわからないものです。
特約がたくさん付いたものを選ぶよりは、入院保障の日額が高く、長期間であること、手術給付金がいくらなのかなど、保障内容をじっくり検討しましょう。

後見人がいない場合は収入保障保険が安心

子どもたちを残して逝ったら、面倒を見てくれる人はいますか? 実家の両親が引き取ってくれるとしても、そろそろ年金暮らしをしているのでは? 子どもたちがまだ小さいのに、何千万という多額な保険金を残しても、管理してくれる人がいないかもしれないという場合は、毎月一定額の保険金が支給される「収入保障保険」がおすすめです。

一例ですが、33歳で加入したとして、22年間を保障期間とします。もしその期間に自分が亡くなった場合、子どもたちに毎月10万円が給付されます。しかも毎月の保険料が約1,500円なのです(保険会社により上下します)。これなら、他の生命保険と合わせて複数加入することも可能ですね。先ほど算出した子どもが成人するまでに足りない分を補うこともできそうです。

まとめ

「私に限って」と思っていても、ケガや病気がいつ襲ってくるかわかりません。すべては子どもたちのために、今一度保険の見直しをしてみてはいかがでしょうか?