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大人のいじめ?弁護士からみたセクシャルハラスメント

ライター 押見和彦

2009年弁護士登録。宮城県仙台市で4年3ヵ月間「ひかり法律事務所」で経験を積んだ後、目黒総合法律事務所に移転。現在は主に家庭のトラブルの予防と安全・円満な解決のため離婚案件を多く取り扱い、その他セミナー等の活動をしている。

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皆様、こんにちは。弁護士の押見和彦です。
今回は職場のセクハラ(セクシャルハラスメント)についてのお話したいと思います。

気持ちの良い職場環境であれば申し分ないのですが、ストレスフルな職場でお悩みの方がいらっしゃいましたら、今後のためにも読んでいただけたら嬉しいです。

セクハラとは?

突然ですが、質問です。
次の1~8のうち、セクハラになるのはどの行為だと思いますか?

  1. A男(男性)がXさん(女性)の更衣室を覗き見した
  2. Xさん(女性)が具合悪そうにしていたときにB男(男性)が「今日は生理か?」と言った
  3. 会話の中で、C(女性)女がYさん(男性)に性的な経験を質問してからかった
  4. D女(女性)がYさん(男性)を何度もデートに誘った
  5. E男(男性)が冗談で下ネタをXさん(女性)に言ってきた
  6. Yさん(男性)が落ち込んでいたときにF女(女性)が「男のくせに根性がない」と言った
  7. G男(男性)がじーっとXさん(女性)のことを見つめていた
  8. H女(女性)とI男(男性)がXさん(女性)やYさん(男性)の身体や容姿を話題にして話していた

どうでしょうか?
1はもはや犯罪ではないかと思いますが、7,8は微妙な感じがしませんか?

実は、この1~8は全てセクハラになるかもしれない危険な行動です。
8の例など「この程度のことでもセクハラになるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、男女雇用機会均等法という法律で定義されています。

法律の条文では難解な言葉で記載されているのですが……、

  • 性的な話で嫌だなと感じ会話を拒否したら不当な扱いを受けた
  • その性的な言動で職場環境が不快になるなど仕事に悪影響が出た

などはセクハラにあたります。

1~8を読んで「嫌だけど、このくらいは我慢しなきゃ……」と思っていた方は、法律の世界では決してそんなことはないんだ、ということを最初に知っていただけたら嬉しいです。

セクハラを受けたら絶対に我慢をし過ぎないこと

皆さん大人なので、多少のことは上手にかわしたり、さらりと流したりして、大事にならずに状況が改善できることもあると思います。

それでも、

声を大にしてお伝えしたいのが「絶対に我慢をし過ぎないでください」ということです。
法律相談でセクハラの悩みを受けることがありますが、「このくらいは我慢しなければならないのかなと思っていた」と皆さんとおっしゃいます。

徐々にエスカレートして、本当は嫌なのに体を触られたり、性的な被害に遭ってしまったり、精神的に不安定になってしまうと手遅れです。

セクハラは、「段々とエスカレートしていく危険がある」というのが厄介なのです。

例えば、「妄想恋愛型」と呼ばれるセクハラがあります。
この場合

  1. 仕事の打ち合わせをしていたところ
  2. 次第に食事を伴うようになって
  3. 遂にはプレゼントを持参して

と、段階的にあたかも恋人かのような関係になっていくものです。
お互いに本当に仲良くなって恋愛に発展しているのであれば問題ないのですが、そうではなくて一方通行の場合は非常に面倒なことになります。

その気がない方の立場としては、「どの段階で拒絶すればよいか」わからなくなってしまったり、「自分も気を持たせるような態度を取ったのではないか」と後ろめたさを感じるなど、断るタイミングを失い思い悩むことになります。

もう一度言いますが、我慢のし過ぎは厳禁です。
「こういう性格の人なのかな?」「自分が気にしすぎなのかも」と思っている間に、セクハラ加害者の方は自分が受け入れられていると勘違いしエスカレートする危険がある、ということを忘れないでください。

「勘違いさせてしまった自分が悪い」なんて思う必要は全くありませんし、早いうちに(エスカレートする前に)「困ります」「嫌です」と言って、ストップさせましょう。

「自分だけが我慢しなきゃいけない」という状況は明らかにおかしいのだ、と思ってください。

相談が解決への第一歩

そうは言っても……、「拒絶してもっと嫌がらせされたらどうしよう」「給料を下げられるかも」「嫌な部署に配転されるかも」と悩まれる方もいらっしゃると思います。

生活するためには仕事をしてお金を稼がないといけないので、「多少のことは我慢しなきゃ……」と考えることもあるかもしれません。

でも、仕事とは関係のない性的な言動で嫌な思いをし、一人で悩んで体調も崩して仕事もできなくなってしまったら取り返しがつきません。

相手に「嫌です」と直接言えない方は、その他の人に相談する方法を是非是非取って下さい。

「どうして相談しないの?」と特に第三者の方は不思議に思うかもしれませんが、セクハラの場合は、内容が内容だけに恥ずかしいとか、他の人に知られて広まったらもっと嫌だという理由で相談が遅れてしまうことが多いのです。

辛い思いをして悩んでいることを相談することは何も恥ずかしいことではありません。
また、余計に広く知られてしまうかもしれないという不安がある場合は専用の相談窓口を利用しましょう。弁護士でもよいですし、会社の「セクハラ相談窓口」など基本的には秘密厳守で対応してもらえます。
   
「セクハラ」という呼び方がついていますが、片方が嫌がっているのに性的なことで嫌がらせをすることは、弁護士からすれば「いじめや犯罪と何も変わらない、決して許されないことなのだ」ということが伝われば嬉しいです。

他にも「パワハラ」「マタハラ」「アルハラ」などなど色々なハラスメントがありますが、嫌な思いを一人で抱えないで勇気を出して相談してくださいね。