シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

シンママのやっててよかった!養育費のこと 公正証書とは?

ライター 辻寿子

フリーライター歴22年、シンママ歴6年。一卵性双生児の息子は、長男が脳性マヒで車椅子。日本化粧品検定1級、サプリメントアドバイザー取得。結婚歴3回、死別→離婚→離婚の経験あり。

Photo hisako tuji

No11 1700309 s

日本では調停や裁判による離婚より、協議離婚が圧倒的に多いです。しかし、養育費のことはキッチリ決めていたはずなのに、80%は不払いになるのが現実! どうすれば養育費を払ってもらうことができるのでしょうか?

養育費の不払いを防ぐためには?

離婚する時に夫婦で話し合って養育費や慰謝料、財産分与など取り決め、離婚協議書まで作ったのに、数ヶ月で不払いになるのは珍しくありません。きちんと支払ってくれるのは、全体のわずか2割なのです。では、離婚協議書は効力がないの? と思われるでしょうが、残念ながら法的に養育費を支払わせる能力がないのが実情です。

だからこそ「公正証書」として契約をし、公証役場でしっかり作成提出することが大切なのです。

公正証書とは

公正証書とは、公証人という法律の専門家が、法律に則って作成する公文書です。社会的に高い証明力を持ち、公正証書で契約した内容に違反した場合、強制的に約束を守らせることができます。
協議離婚の場合も利用されることが多く、公証役場で提出しておくことで、養育費の不払いなどに対処することができます。

口約束はもとより、自分で作成した離婚協議書などは、いざという時何の効力も持ちません。協議離婚とはいえ、きちんと養育費について取り決めた公正証書を作成しておくことで、もしも不払いが起こった場合に裁判所の判決を待つことなく「強制執行」という形で支払ってもらえるようになります。
強制執行とは、具体的には給料差し押さえや、不動産、それ以外の財産を取り上げることです。
離婚協議書などでの約束の場合は、裁判を起こして支払いの判決が出るまでは強制執行はできないので、公正証書を作っておくことはかなり有利になります。

公正証書の作成方法

行政書士や弁護士など、専門家に頼むと7万円以上かかってしまうため、できる限り自分で行うことをおすすめします。難しそうあるいは、面倒そうというイメージを持つかもしれませんが、ここでなおざりにしてしまうと、もしもの不払い時に泣き寝入りすることになってしまいます。がんばって公正証書を作成しておきましょう。

夫婦で話し合って取り決めをする

公正証書はいつでも出せますが、離婚届を出す前に作成するのがベストです。離婚が成立してしまった後では、夫が養育費の支払いに応じない場合も考えられるからです。
養育費や慰謝料、財産分与について、支払う金額やペース、期間などを決めます。親権や子どもとの面会交流についても決めておきましょう。取り決めたことをまとめて、覚書(離婚協議書、契約書)を作成します。
書き方は下記を参考にしてください。

【例:離婚の覚書】
夫……A本B男
妻……A本C代
子……A本D美(生年月日)、A本E介(生年月日)

  • 夫(A本B男と)妻(A本C代)は協議離婚する
  • 子ども2人の親権は妻がもち、離婚後は妻が引き取って養育する
  • 子どもの養育費として1人につき毎月○万円、夫が妻の口座に振り込む(口座名、口座番号、離婚後の名前の場合はその名前も)
  • 養育費を支払う期間は離婚届を出す○月○日から、それぞれの子どもが22歳になる月まで
  • 養育費は、夫と妻それぞれの事情が変わった時や、子どもの進学のときに相談可能とする
  • 子どもは月1回程度父親と会う。場所、時間はその都度相談する
  • 夫は妻に慰謝料として○万円を、毎月○万円ずつ分割で支払う(○年○月から○年○月まで、養育費と一緒に毎月同口座に振込)
  • 養育費、慰謝料ともに振込手数料は夫が負担する
  • 貯金○○万円は夫婦で分ける(夫○○万円、妻○○万円)
  • お互い住所が変わる、電話番号が変わる際には知らせる
  • 以上の内容で「執行認諾文言付き公正証書」をつくる

もちろん、この通りでなくてもOKです。また、家やマンションがある場合、離婚前の別居中の費用請求がある場合など、必要事項があれば書き加えておきます。

公証役場で証書を完成

夫婦で取り決めた「離婚の覚書」を持って、公証役場へ行きます。公証役場は全国に約300カ所ありますが、どこでも利用可能で、遠方の場合はFAXなどでも対応してもらえます。この際夫婦それぞれの印鑑証明が必要なので忘れずに。覚書と印鑑証明を提出したら、2~10日ほどで公正証書の案が出るので、間違いがないか確認して証書を完成させます。

公正証書を受け取る

原則として夫婦二人で公証役場へ行きますが、代理人を立てることもできます。その場合も夫婦それぞれの代理人が必要です。必要なものは

  • 印鑑証明書
  • 実印
  • 身分証明書(顔写真の付いたもの)

ここで、完成した公正証書の内容を確認し、夫婦で署名捺印します。原本は役場に保存、夫婦にはそれぞれ正本か謄本というものが渡されます。

ただし、証書の完成と受け取りは、公証役場で待つ時間があるのならその場で受け取ることも可能です。公証役場によって違うので、事前に電話などで確認しましょう。

公正証書作成の費用

受け取る金額が大きいほど、証書の作成にお金がかかります。

【目的の価額:手数料】

  • 0~100万円:5,000円
  • 100~200万円:7,000円
  • 200~500万円:11,000円
  • 500~1,000万円:17,000円
  • 1,000~3,000万円:23,000円
  • 3,000~5,000万円:29,000円
  • 5,000~1億円:43,000円

1億円以上は省略しますが、養育費の計算は、実際に支払われるのが10年以上でも、合計金額である10年分の金額で計算します。
この他に、正本と謄本の作成費が各1,500円かかります。

まとめ

思っているほど難しくはないので、将来の子どものため、生活費に困らないためにも離婚する際は、公正証書を作成した方がよいでしょう。

― 関連記事 ―
未婚の母、シングルマザーになる前に、知っておくべきこと
児童扶養手当だけじゃない!シングルマザー(母子家庭)が頼れる支援制度をまとめてご紹介