シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

収入?子どもとの時間?シンママ究極の選択、優先順位のつけ方

ライター 辻寿子

フリーライター歴22年、シンママ歴6年。一卵性双生児の息子は、長男が脳性マヒで車椅子。日本化粧品検定1級、サプリメントアドバイザー取得。結婚歴3回、死別→離婚→離婚の経験あり。

Photo hisako tuji

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子育てと仕事を両立していく上での悩みのNo.1は、収入を得るために働く時間と子どもとの時間のバランスです。収入は増やしたいけれど、子どもたちと過ごす時間がなくなるという葛藤を、どうやって解決したらいいのか考えてみましょう。

収入増加とプライベートタイム減少の問題点

子どもを大学まで出すとなったら、数千万円という単位でお金が必要です。それを一人で稼ぎ出すシングルマザーは、時間と収入のバランスを賢くとりたいもの。できるだけ子どもとの時間を取りたいのに、収入のために泣く泣く長時間労働をしている人も多いことと思います。まずは問題点を洗い出してみましょう。




(出典)平成23年度全国母子世帯等調査
※上記は、母子又は父子以外の同居者がいる世帯を含めた全体の母子世帯、父子世帯の数。過去25年間で、母子世帯は1.5倍、父子世帯は1.3倍。
※母子のみにより構成される母子世帯数は約76万世帯、父子のみにより構成される父子世帯数は約9万世帯。(平成22年国勢調査)
※「平均年間収入」及び「平均年間就労収入」は、平成22年の1年間の収入。

出典元WEBサイト
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000098041.pdf

厚生労働省の調査によると、母子家庭の平均年間収入は223万円。この内、就労収入は181万円となっており、月収にすると15万前後です。しかし、就労形態がパートやアルバイトの場合は年収が平均で125万円となり、月収は10万円そこそこです。地方都市で母親と子どもが二人いる世帯で必要な月収は15万円(学費別途)と言われており、急な出費などがあれば対応できないことになります。
そこには収入を増やしたくても、増やせない事情が潜んでいるようです。どんな問題があるのでしょうか?

役職が上がると労働時間が増える?

一般的に、役職が上がると給料は上がります。しかしながら、早出や残業、部下の管理と言った責任の伴う仕事も増えます。やりがいのある仕事で収入も増えるのはありがたいですが、子どもとの時間が削られるばかりか、急なことがあっても仕事を抜けづらくなり、昇級の話も断るしかない場合もあります。
子どもが成長すれば、役職にも就けるかもしれませんが、企業の人事はそう個人の都合で動いてはくれません。子どもとの時間を取るか昇級を選択するかは、かなり難しい問題です。

パートか正社員か?

正社員の方が給料も良く、保険など福利厚生がきちんとしていますが、残業だってしなくてはなりません。その点、収入は下がっても、時間に融通のきく、決まった時間で帰れるパート勤務の方が子育て中には向いています。実際の所、小さい子どもがいると正社員採用はそもそも難しい場合が多々あります。
ただし、時給で働く生活はかなり厳しく、将来のことを考えると不安になることも。

60歳以降貯金0円では生活保護になる?

地方都市で母親と子ども二人が生活するには、平均的に月収15万円が必要と言われています。これに学費は含まれておらず、子どもの入学、進学や車検など、急な出費があると対応することすら難しくなります。
養育費はすべて前夫が出すという確約があればいいのですが、それも約束が守られるのは約20%と低い数字ですので、ないものとして収入を確保する必要があります。

子どもが成人するまでは何とか働いても、自分が60歳を迎えた時に貯金がゼロでは、即生活保護か子どもに養ってもらうことになってしまいます。
そうならないためにも、少しずつキャリアと収入を増やすことを考えましょう。

シンママの優先順位、どうつける?

シングルマザーでも、ずっと働いていた人、長く専業主婦だった人など、いろいろいるでしょう。自分の社会的な地位や子どもの人数、年齢でも優先順位は変わってくるため、それぞれに考えてみます。

子どもの人数と年齢

離婚した時の子どもの人数と年齢で、手当でもらえる金額が変わります。とはいっても、子どもが一人増えても5,000円〜1万円程度しか変わらないのが現状です。よほど養育費をもらわない限り、働かなければやっていけません。
しかも、子どもが小さければ小さいほど、フルタイムで働くことは難しく、残業や休日出勤ができないどころか、子どもの急な病気などにも対応できなくなってしまいます。
子どもが小さいうちは、比較的時間の自由がきく仕事に就いた方がいいでしょう。

周りの状況

しかしながら、実家に住んでいる、実家が近いなど、助けてくれる手がある場合は事情が違ってきます。祖父母などの手が借りられるなら、最初から正社員としての就職を目指すことをオススメします。
なぜなら、年齢が上がるほど再就職は難しく、正社員での雇用も減ってしまうからです。早い段階で正社員になっておくことで、将来の昇級や昇給も見込める可能性がでてきます。

やりがいのある仕事

シングルマザーといえど、一人の人間です。やりたいこと、したいこともあるでしょう。自分のやりたい仕事で稼げたら、それが一番です。周囲の協力を得たり、延長保育やベビーシッター、家事代行などを上手に利用してみましょう。子どもの成長につれて、ベビーシッター代などは軽減していきます。

やりがいのある仕事を選んだことで、子どもと過ごす時間が減るなどのマイナス面もでるでしょう。子どもに寂しい思いをさせているのでは? という不安もあると思いますが、ママがいつも笑顔で輝いているのは、子どもにとって何より嬉しいのではないでしょうか。

収入アップの方法

それでは、具体的な収入アップの方法を考えていきましょう。それぞれにメリットデメリットがありますので、自分に合った方法を見つけてください。

パートから正社員へ

求人情報を見てみると「正社員登用制度あり」という文言をよく見かけます。これは、「この募集はパート契約だけれども、働きぶりによっては将来正社員へ登用することもできますよ」という意味です。子どもが小さいうちはパートタイムで働いた方が融通がきくので、子どもが成長して急な呼び出しやイベントが減ってから正社員を目指すという働き方ができるのです。
この制度のメリットは、転職することなしに正社員になれる可能性があるということ。デメリットは、必ずしも正社員になれるとは限らない、またそのタイミングが自分では調整できないということです。

資格を取る

そもそも世の中には、資格がないとその職業に就けない仕事があります。医師や弁護士などがすぐ浮かぶと思いますが、今からそこを目指すのは現実的ではありません。
しかし、資格がなければ就けない職業は、一般的にも人気があります。その理由としては以下の点があげられます。

  • 就職率がいいこと
  • 収入に安定性があること
  • どこに行っても仕事があること

ひとり親のための「高等職業訓練促進給付金等事業」という制度もあり、資格取得のために修業している間の支援給付金が支給されます。20歳に満たない子どもを扶養し、児童扶養手当をもらっているひとり親家庭が対象です。養成機関で1年以上のカリキュラムを取り、対象の資格取得が見込まれることと、仕事や子育て、修業の両立が難しい場合となっています。

責任ある職につく

つまり、会社で出世することです。正社員ばかりでなくパートでも、リーダーや教育担当など責任ある仕事を任されるようになれば、時給も上がっていきます。
ただし、前述したように役職につけば責任も重くなり、思わぬところで時間を取られることも多くなります。
対外的にもお付き合いが増え、仕事後の会食なども増えるでしょう。しかし、仕事のやりがいが大きいことも事実です。リーダーになって収入を増やし、いつもハツラツとしているママもカッコイイですね!

収入or子どもとの時間、解決策は?

ここまで見てきましたが、収入を増やすことと子どもと過ごす時間の長さは反比例することが多いようです。収入を増やしながら子どもとの時間を確保できる仕事はないか、またうまく解決できる方法はないか、考えてみましょう。

子どもの年齢に合わせて転職

子どもはいつまでも手がかかるわけではありません。小学校就学前は病気で呼び出されることもしょっちゅうですし、送迎も必須ですが、小学校に入ると送迎はなくなり、学年が上がるごとにだんだんと手が離れるようになってきます。

離婚した時子どもが小さければ、まずはパートタイムで働き、小学校中学年あたりからフルタイムで働ける仕事を探してはどうでしょう。その際は、収入と時間的なメリットデメリット、福利厚生の利点などをしっかり比較検討してください。

フレックス制の企業で働く

フレックス制とは、変形労働時間制といい、自由に勤務時間帯を選べる制度のことです。2017年の厚生労働省の調査によると、フレックス制を採用している企業は52.8%と半分以上を占め、日本にも浸透してきた感があります。
下表で企業の規模別に見るとわかるように、1,000人以上規模の会社では60%以上が導入しており、大規模な会社ほどフレックス制のところが多いということが言えます。厚生労働省も積極的に導入を進めていて、それに関する制度や雇用形態を企業側が対応しているという段階です。

フレックス制は、1日の労働合計時間が守られていれば、出勤時間や退社時間を自由に、しかも毎日違った時間にもできるため、子育てをしているシングルマザーにはとてもありがたい制度です。しっかりとした自己管理は必要ですが、子育てとの両立はしやすいと言えます。




(単位:%)
注: 平成26年調査以前は、調査対象を「常用労働者が30人以上である会社組織の民営企業」としており、また、「複合サービス事業」を含まなかったが、平成27年調査から「常用労働者が30人以上である民営法人」とし、更に「複合サービス事業」を含めることとした。
1)「変形労働時間制を採用している企業」には、「1週間単位の非定型的変形労働時間制」を採用している企業を含む。
2)平成27年調査計は「常用労働者が30人以上である会社組織の民営企業」で、「複合サービス事業」を含まない集計であり、時系列で比較する場合には、こちらを参照ください

出典元WEBサイト
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/15/dl/gaikyou.pdf

個人事業主になる

ショップを出す、会社を興す、フリーでデザインやカメラ、ライティングの仕事をするなど、個人事業主として仕事をすれば、働く時間や場所を自分で決めることができます。
仕事の量も自分でコントロールできるため、子どもが小さいうちは生活費の分だけ仕事を入れ、成長とともに仕事を増やしていくことも可能です。

ただし、ショップや会社などで自分以外のスタッフがいる場合はいいのですが、まったくの個人で行っている場合、子どもが病気の時など、自分の代わりがおらず仕事に穴を開けてしまうという困った状況も起こりえます。いざという時は、ベビーシッターや実家などに頼りながら、賢く乗り越えていきましょう。

結局、収入と仕事どっちをとるべき?

子どものことや将来のことを考えても、収入は増やした方がいいですよね。でも、それによって大切な子どもとの時間が奪われてしまっては、何のために仕事をしているのだろうと虚しくなることもあります。
一方で、子どもに寂しい思いをさせたくない、必要な時にそばにいてあげたいという気持ちから仕事をセーブして、結果、収入が不足するのも問題です。毎月毎月支払いのことばかり考えていて、ちょっとしたことでイライラし子どもにあたっていては本末転倒です。
お金に余裕があれば、心に余裕ができます。時間は短くても、愛情豊かに子どもをハグしたり、毎日大好きだよと言ってあげることができるのではないでしょうか。

長い子育てのうち、本当に手がかかるのは小学校就学まで。それ以降は、ファミリーサポートやベビーシッターなどを利用して、仕事と子育ての両立を考えていきましょう。しかしそれにはやはりお金がかかるため、収入を得ること、増やすことは第一に考えていくべき課題です。
子育てが終われば人生が終わるわけではありません。その先のことも考えて、十分な収入を得て貯金をしていくことはシングルマザーにとって最優先なのではないでしょうか。