シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

子どもの認知 養育費との関係は?

ライター 加藤良子

小学生の一人娘と完全に自分のことを人間だと思っているワンコと気ままな二人+一匹暮らしを楽しんでいるシングルマザーです。将来は日本を飛び出して二人で暖かい所に住むのが夢!シングルマザーならではの喜びや悩みを皆様と共有していきたいと思います

Photo ryoko kato

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シングルマザーの中には、未婚のまま子どもを育てるという選択をする人もいます。その場合、子どもの将来や養育にかかわってくるのが、認知の問題です。

母親だけではなく子どもにとっても最善の形で解決するためにも、認知及び認知と養育費の関係について確認しておきましょう。

そもそも認知とは?

認知とは、婚姻関係を結んでいない男女の間に生まれた子どもを父又は母が自分の子であると認めることであり、一般的には、父が自分の子と認めることを言います。
母親の場合は、自分の子であることが明らかなので、子どもが産まれた時点で法的な親子関係が生じることになっています。

認知は子どもが産まれる前から、父親が生きている間はいつでもできます。
また、父親が認知せずに死亡した場合は、その死亡後3年以内であれば、裁判所に訴えを提起し、認知させることもできます(死後認知)。

認知の種類

任意認知

父親である男性がすべて了承の上自ら認知届を提出する、一番円満な形での認知です。
子どもが未成年の場合は子ども本人や母親の承諾を得なくても手続きを行うことができますが、成人している場合は子ども、母親の胎内にいる場合(胎児認知)は、母親の承諾が必要になります。

強制認知

父親である男性に認知の意志がなく「任意認知」の同意が得られなかった場合、裁判によって強制的に認知を請求することができます。
ただ、裁判費用や弁護士費用がかかるので、任意認知をしてもらえない時点で泣き寝入りしてしまう未婚のシングルマザーも多いようです。

審判認知

認知の場合も離婚と同じように、「強制認知」を訴える前に家庭裁判所に認知調停を申し出る必要があります。そこで調停委員会による仲裁が行われ、お互いの間で認知の話がまとまった場合は「審判認知」が認められます。

認知によって何が変わるの?

認知されると法律上の親子となります。子どもの戸籍の父親の欄には名前が記載され、父親の戸籍にも認知の記録が残ります。認知をしていない場合は両方とも空欄のままです。

法律上の親子になったことで、「親権」「相続権」の権利、「扶養義務」「養育費」の義務が発生します。

親権は、もし母親に何かあった場合には両者間の協議によって父親に移すことができます。この権利を与えることに抵抗を感じ認知を拒むシングルマザーもいるようです。

相続権は、子どもが父親側の財産を相続する権利です。以前は実子の半分であると定められていましたが、平成25年9月より実子と同額に改正されました。

扶養義務は、父親と子どもの両者に発生する義務です。
父親は母親から養育費を請求された場合は、子どもが成人するまで支払う義務があります。

子どもは、自分が成人した後に父親の生活が苦しい場合に生活を支える義務が生じます。
ただし、父親が子どもに対する養育費を払う義務とは違い、子どもの場合は「自分の生活に応じて余裕があれば」というニュアンスが含まれています。

未婚のシングルマザーにとって認知とは?

「子どもを産むなら別れる」「産んでもよいけど俺は知らない」などと平気で言ったり、「本当に自分の子どもなのか」と疑う男性もいます。
そのような相手を子どもの父親として認めることがどうしてもできず、認知を拒む女性も多いようです。

養育費を払う能力がなかったり相続という金銭的な権利が発生する可能性が少ない相手であれば、そもそも認知をしてもらわなくてもよいと思う場合もあるでしょう。

しかし、子どものことを考えたとき、本当に認知をしてもらわなくてもよいのでしょうか? 

子どもにとって認知とは?

どのような男性でも、子どもにとっては世界に一人だけの父親です。女性側が今後一切かかわりたくない相手だったとしても、認知を拒んでいいものでしょうか? 

「子どもが自分の戸籍を見た時に父親の欄が空白だった場合にどう思うか?」「捨てられたと思いショックを受けるだろうか?」と子どもの気持ちを考えて、認知をしてもらうケースも多いようです。
戸籍に父親の名前が記載されていれば、少なくとも自分の存在を認めてくれたという安心感を子どもに与えるのではないでしょうか? 

認知をしてもらわない場合は、子どもが自分の父親に興味を持った時に、「自分は望まれて生まれてきた」のだと理解してもらえるよう配慮する必要があります。

認知のメリット・デメリット

メリット

一番のメリットは養育費を請求できるようになる、ということでしょう。
子育てにはお金がかかります。「節約するから大丈夫」と思っていても、かなり厳しい現実が待っています。経済的に追い詰められれば精神的にも参ってまう危険性もあります。

デメリット

子どもが成人した後に父親を扶養しなければいけない義務が生じますが、「出来る範囲で」となっているので、そんなに大きなデメリットにならないでしょう。

なお、父親がギャンブルばかりしていたり、定職に就いていないといった場合は、子どもが成人したあとにお金を無心してくることも想定できるので、認知してもらうか考えた方がいいでしょう。

認知と養育費の関係

養育費請求の方法は、認知の種類によって異なります。

任意認知の場合

相手の男性が自分の子どもだということを認めてくれた場合は、役所に認知届を提出した時点で戸籍上の親子となり、同時に養育費の請求が可能になります。

金額については相手との話し合いになりますが、家庭裁判所で使用されている「養育費の算定表」を参考にしてください。

口約束だけでは心配なので「公正証書」を作成しておくことをおすすめします。養育費が未払いになった場合、公正証書があれば請求が可能になります。

審判認知・強制認知の場合

基本的に認知を拒否している相手に対しては、裁判によって認知が確定します。相手が「自分の子どもじゃない」などと主張した場合は、DNA鑑定などを行い「親子」という結果が出た時点で養育費の請求が可能になります。

この場合は相手が渋々認めるというケースが多いので、確実に養育費を確保するためにも「公正証書」を作成しておきましょう。

なお、認知後の話し合いで養育費を決めることができない場合は、弁護士など第三者に間に入ってもらう必要があります。決定した養育費を払ってもらえない時は再び裁判所に申し立てをすることができます。

公正証書とは

個人的に作成して署名をしてもらう合意書や覚書などの「私文書」では執行力がありませんが、公正証書は自分が住んでいる地域の法務局に所属している「公証人」が法令に従って作成する証書であり、法的な力を持っています。

公正証書に記載されている債務を行わない場合は、給料から天引きしたり預金や不動産、車、家財道具などを差し押さえたりすることも可能です。

公正証書を作成する場合は基本的に当事者二人で出廷する必要があります。それに応じてくれるかどうかもわかりませんし、また顔を合わせるのが気まずい場合もあるので、弁護士や行政書士などに手数料を払って仲介を頼むことも多いようです。

養育費が支払われない場合は?

養育費の支払いが滞った時、裁判で認知が確定している場合や公正証書を作成している場合は強制執行ができますが、時間も費用も掛かってしまいます。電話やメールなどで連絡をしたり、郵便局が証明してくれる「内容証明郵便」を利用してみましょう。

それでも何の連絡もない場合は、やはり強制執行するしか方法はありません。

強制執行の行い方

1.強制執行に必要な書類を揃える

債務名義
養育費の支払いが証明されている証書。
「公正証書」や「調停証書」のことですが、正本に執行文を付与してもらう必要があるので、作成をした公証役場(手数料1,700円)、裁判所(収入印紙代300円)への申請が必要になります。

送達証明書
「債務名義」が相手方に送達されたことを示す証明書。
公正証書の場合は公証役場へ(手数料1,600円)、調停証書の場合は裁判所へ(収入印紙代150円)申請します。

住民票と戸籍謄本
当事者の「住民票」(手数料200~400円)と「戸籍謄本」(手数料450円)が必要です。

資格証明書
相手方の勤務先の住所などが記載されている商業登記事項証明書。
法務局で取得します(手数料600円)。

2.必要書類を作成する

当事者目録
自分(債権者)と相手方(債務者)の住所などを記載します。給料の強制執行を希望する場合は、法務局で相手方の勤務先の登記簿謄本を取得して(手数料600円)記載します。

請求債権目録
請求金額を記載する書類。裁判所のWEBサイトからダウンロードできます。

差押債権目録
金額と相手方の勤務先を記載して、支払いを確実に行ってもらうための書類。
請求債権目録と同様に、裁判所のWEBサイトからダウンロードできます。

上記3書類に表紙を付けて本のような形にします。

3.裁判所に提出する

1と2を裁判所に提出しますが、手数料として収入印紙代4,000円が必要です。また郵送に必要な切手代も必要となりますが、これに関しては裁判所によって異なります。

自身で行う手続きはこれで完了です。その後「送達通知書」が届くのを確認して、無事養育費が支払われたら「取立完了届」を裁判所に提出します。

養育費の算定表
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf

債権執行に関する申立ての書式一覧表
http://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section21/mousitatesyosiki_saiken/index.html

養育費と税金の関係

養育費は基本的には月払いとなり、毎月の養育費に対しては取得税や贈与税はかかりません。また、月払いの養育費は原則として非課税となります。

相手方が一括で養育費を支払いたいと申し出ることもありますし、養育費をずっと払い続けてくれる保証がないと感じて一括で請求するシングルマザーもいます。

生活費や子どもの教育費として毎月もらう養育費は非課税ですが、一括で受け取って貯金しておく場合は、取得税、贈与税の対象となる可能性があるので注意が必要です。

信託銀行を利用する裏技

一括払いの養育費を非課税にしたい場合は、養育費を一旦信託銀行に預けて月々受け取るという方法があります。
この方法は毎月受け取る養育費と同じ扱いになるので贈与税は発生しません。無駄使いも防ぐことができますし、月々の受け取りをせずに預けておいて、全額を子どもに残しておくこともできますよね。

まとめ

未婚のまま子どもを育てることを選んだ場合、認知や養育費といった問題についてもよく調べて理解しておくことも大切になります。大切な子どもの幸せと将来のために、最善の道を選んでください!