シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

シングルマザーの介護職体験談 母親目線は介護職にも活かせる!

ライター リトルミー

20歳、18歳、16歳、16歳、3男1女のシングルマザー。介護福祉士・認知症ケア専門士・調理師。趣味はスキューバダイビング、クラウン活動。『クラウン・ワンJAPAN』というグループで、福祉施設やストリートでクラウニングを行なっています。

Photo mori michiko

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キツイ、汚い、給料が安い……、「介護=大変な仕事」と思っている方が多いのではないでしょうか?
介護職は敬遠されがちでが、実は働き方に多様性があり、生活に合わせて仕事ができる魅力ある職種の一つではないかと感じています。

多用な雇用状態

介護現場では、パート・アルバイト、契約社員、常勤と自分自身のライフスタイルと照らし合わせた上で、雇用形態を選ぶことができます。

子どもが小さい場合は、日中のみ稼働しているデイサービスや、指定された時間に利用者の自宅を訪問する訪問介護、夜勤のない施設や職場を選んで就業できます。

自分と子どもの生活を守るために働くシングルマザーは、貴重な人材。積極的に雇用している施設も多くあります。

42歳で正社員に

介護職の最大のメリットは、40歳を過ぎても、常勤、つまり正社員として雇用してもらえる職種、ということではないでしょうか?

私も週1回のパートで採用され、週3日、週4日、最終的にフルタイムで夜勤もし、常勤雇用となりました。当時42歳。この経緯については後でお話ししたいと思います。
リーダーや主任などの管理者に就く場合は別ですが、常勤になっても仕事の内容は夜勤をする以外ほとんど変わりません。

健康管理は必須

介護職は高齢の利用者さんの命に関わるので、インフルエンザやノロウイルスに感染してしまうなど健康な状態でない場合は出勤することはできません。

介護の仕事には限りませんが、健康管理はとても大切です。自分自身も子どもも健康でないと仕事を続けていくことは難しいでしょう。

子育てと介護職

子育てと高齢者のケアは全く同じではありませんが、似ているところも多いので、子育て中のシングルマザーに適した職種だとも思います。

一番似ていると感じるのは、母親目線です。

私の自論にはなりますが、母親は子どものちょっとした変化に気づける目を持っています。
声色ひとつで「学校で何かあったのかな?」、食欲がないと「熱があるのかな?お腹が痛いのかな?」と察しますよね。

そして、自分で話せる年齢の子どもからは丁寧に話を聴き、言葉で伝えることのできない幼児や乳児からは、非言語コミュニケーションを活用し、情報収集をして何が問題か探していきます。

非言語コミュニケーションは言葉以外のコミュニケーションのことで、表情・顔色・呼吸・視線・身振り手振り・姿勢・声のトーンや質などがが含まれます。

いつもと違うことに気づける目。そして、非言語コミュニケーション。
この二つは、介護現場でもっとも大切な視点と能力であり、磨けばどんどん研ぎ澄まされ洗練されていきます。

母親は子育てをしながら、この母親目線に日々磨きをかけています。
そして、この視点と能力を活かせる場が介護職です。介護現場では、高齢者との関わりの中で日々の変化に気付く能力を求められています。

資格取得の優遇制度

介護の資格を取得する場合、シングルマザーは優遇されています。

私は、求職者支援付きの基礎研修講座(※)を6ヶ月間受講し就職へと繋げました。
※現在は基礎研修講座はなくなっています

資格取得と就職支援をしてもらえるので、職業訓練校はお勧めします。
訓練校の先生方と繋がりが今もあり、その安心感が現場でのモチベーションを維持し、介護職員として働き続けられていることに感謝しています。

同じ境遇のシングルマザーとも励ましあいながら介護の仕事を続け、介護福祉士の資格も取得することができました。

なお、最近は初任者研修などの資格取得が無料になり就業支援を受けられる民間の学校も増えています。

介護の仕事に携わるまで

ここまで介護の仕事に就てからの話をしてきました。
ここからは介護の仕事に携わるまでのきっかけや経緯、働いてみて思うこともお伝えしたいと思います。

介護職への転職

前職はチャイルドマインダーの資格を取り、個人でベビーシッターを開業していました。

離婚協議中、5歳男、3歳男、1歳男、1歳女の4人の子どもを引き取り、「これからどうしていけばいいのか、働くことは果たしてできるのか、働くにはどうしたらいいか」と悩んでいました。

当時は実家暮らしでしたが、母は身体が弱く父はまだ現役で仕事をしていたので、子どもの面倒はみてもらえませんでした。週末の夜だけ、子どもを寝かしつけてからラーメン店でアルバイトをしていました。

子どもを預けられない、みてもらえない環境。「お子さんに家に来てもらって自分の子どもと一緒にみることができるチャイルドマインンダーの仕事をしよう」と考えたのです。

週末に受講できる講座に申し込んで資格を取り、在宅の審査をクリアし「在宅保育ルームあそびのもり」を開業しました。もう12年も前の話になります。懐かしいですね。

在宅よりも訪問でのニーズが多く、家を不在にする時間が結局増えることになりましたが、子どもの成長に助けられ、なんとか乗り越えてきました。

「急に熱が出て子どもが学校を休むことになっても、我が子を家に残して他人の子どもをみに行く」という不思議な状況にもなっていたので、今は「よく我慢してくれたな」と子どもへの感謝の気持ちしかないです。

ただ、保育の仕事を軌道に乗せるのは簡単なことではなく、保険料や年会費を協会に支払うのが精一杯。実質赤字でした。

赤字では暮らしていけないので、飲食店のアルバイトを掛け持ちし昼夜問わず休みなく働き続けました。

がむしゃらに働いていたそんな矢先に、東日本大震災が起こりました。

そこで働き方が一変したのです。というか、変えざるを得なくなりました。
飲食店の仕事はカットされ、保育の仕事もお子さんの成長や保護者の転勤などが重なり閉園することになったのです。

ベビーシッターは対人援助職。飲食店は接客業。
全くかけ離れている仕事ではなかったので、介護という仕事に抵抗はあありませんでした。むしろ、子育てを含め共通点があると思っていました。

資格と経験の壁、そして資格取得へ

近所の特別養護老人ホームの求人を見つけて応募、そして面接へ。

募集要項には「無資格・未経験歓迎・性別・年齢不問」と記載されていました。
介護の資格も経験もありませんでしたが、募集要項の説明を信じていたので、今までの経験を自らの資源とし面接に臨みました。保育の仕事をしていたことを評価してもらい、手応えさえ感じていました。

数日後、選考結果を見て愕然としました。
今後の貴方のご検討をお祈りいたします、そう、落とされてしまったのです。

「介護の資格も経験もないんですか……、良い人そうなんですけどね……」面接担当者の声が蘇ってきました。
介護の現場は職員不足、猫の手も借りたいくらいの忙しさ。でも、勉強して経験のある即戦力をやっぱり求めていたのです。

この経緯を経てハローワークに相談に行くと、介護の資格取得の講座の支援制度があることを教えてもらえました。
幾つかの条件がありましたが、受講料無料の求職者支援訓練の講座に申し込むことができたのです。

誰でも受講できるものではなく、面接を経て受講許可を得てからになりますが、基礎研修講座を半年間受講しました。受講中に介護付き有料老人ホームで週1回から働き始めました。

資格取得は就職への大きな一歩となりました。

厚生労働省 職業訓練受講給付金(求職者支援制度)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/safety_net/44.html

シングルマザーのデメリットと注意すべきこと

シングルマザーゆえに注意すべきことや克服を要することもありますが、皆それぞれの方法で上手にクリアしているようです。

子どもの行事などで土日の休みを希望することもあると思いますが、土日は休みの希望者が多く休みづらい、という現実があります。子どもを優先したい場合は、土日が休みの職場を最初から選ぶことをお勧めします。

デイサービスやデイケアなどは土日休みのところが多い職場です。
短時間勤務の訪問介護という選択もありますが、経験とスキルが求められます。

子育て中の女性が多く働いている職場であれば、より働きやすいと思います。面接時に、他の方々がどのような働き方をしているのか確認するのもよいでしょう。

また、自分の弱点と強みを確認しておきましょう。
強みは仕事においてのアピールポイントになります。
弱点を知ることで、デイサービスやデイケア、院内保育室付きの病院などを就業先に選びサポートを受けながらの就業が可能になってきます。このような職場はまだ少ないですが、子育てしやすい環境を整えている施設も徐々に増えてきています。

介護現場で働いて感じたこと、思ったこと

経験がないのを資格取得で補いつつ、介護現場に飛び込みました。
私が初めて在籍した施設は介護付き有料老人ホームでした。終の住処として暮らす利用者の尊厳を守りながら、その人らしい暮らしを支える場です。

子育てをしていたためか、世間で言われている3Kをさほど感じることはありませんでした。

3大介護の「食事、排泄、入浴」が大変と言われていますが、実際には生活の一部であり全てではありません。子育てもそうですよね?

世間ではこの部分がフォーカスされ、「介護=大変」と思われているのではないでしょうか?
繰り返しになりますが、食事、排泄、入浴は一日の生活の中のほんの一部です。

その後、ステップアップのために次の施設に転職しました。
現在は、認知症の方が共同で生活することをサポートするグループホームで高齢者の暮らしを見守り、支えています。

人生の最後をどのように迎えるかを支援する、とても尊く遣り甲斐のある職業です。

人生の先輩に教わることもたくさんあります。
子育てや世渡りの処世術など、たくさんの引き出しを持っている高齢者は私たちママ世代にとって素晴らしい先生です。

また、10~90代、100歳と他世代が同じ空間にいるのも介護現場ならではの醍醐味です。こんな職場、他にあるでしょうか?

紆余曲折ありましたが、介護の仕事を始めてあっという間に5年が経ちました。
でも、まだまだこれから。健康でさえあれば、70歳でも働けるのですから。