シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

離婚・再婚 体験談シリーズ1 離婚後の住む場所は? 

ライター 辻寿子

フリーライター歴22年、シンママ歴6年。一卵性双生児の息子は、長男が脳性マヒで車椅子。日本化粧品検定1級、サプリメントアドバイザー取得。結婚歴3回、死別→離婚→離婚の経験あり。

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結婚当初の住まいや離婚した状況にもよりますが、真っ先に困るのは住む場所の確保ではないでしょうか。

今回は実際に離婚した私の体験談を交えつつ、離婚後の住まいについて考えていきたいと思います。

離婚後、引っ越す?引っ越さない? 

離婚に関する話し合いをする中で、今住んでいる家をどうするか議論したと思います。住んでいた家が持ち家なのか、賃貸なのかでも話は変わってきますが、考慮したほうがよいポイントをご説明します。

子どもの転校

子どもが保育園や学校にすでに通っているのであれば、転園や転校のことも考えなければなりません。

小学校以上で公立なら、引っ越し先での学校探しに困ることはあまりないと思います。

しかし、保育園の場合は、すぐに受け入れ先が見つかるとは限りませんし、私立の学校に通っていると、転校に抵抗がある人が多いのではないでしょうか。

また、自分が働いている場合には、引っ越し先のエリアをよく考えてから決めなければなりません。

元夫との距離

元夫の住まいとの距離も考慮に入れたほうがいいでしょう。離婚した状況にもよりますが、子どもと定期的に会わせる約束をしている場合、家が離れていると、交通費がかさんでしまいます。

なお、離婚時に子どもと面会する場合にかかる費用についても、離婚する前に決めておいたほうがよいでしょう。

実家との距離

離婚後、実家を頼りにする人も多いと思います。実家との距離も、引っ越し先を考えるうえで重要なポイントとなります。

夫がいなくなる分、運動会などのイベントがある時に、実家に応援を頼む機会が増えると思います。また、子どもが急に病気にかかった場合、実家は大切な子どもの預け先です。離婚後は頼れる人が近くにいる方が、何かと安心でしょう。

ただ、子どもの学校や、自分の仕事の関係で、実家の近くへ引っ越すことが難しいケースもあります。そのような場合は、両親とよく話し合い、遠くに住んでいても協力してもらえるような体制を整えておきましょう。

自治体の子育て支援制度

子育て支援制度は、自治体によって大きく異なるので、引っ越しを考えているのであれば、自治体のひとり親や子育て支援制度をしっかりチェックしておくことをおすすめします。

ケース別 住む家の決め方・探し方

婚姻中に住んでいた家に住み続けるのか、引っ越すのかによって、やらなければならない手続きが大きく異なります。



表のように、母子世帯のうち、持ち家に住んでいるのは29.8%、賃貸が32.6%、同居が11%となっています。
ここでは、それぞれのケースについてみていきましょう。

厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-katei/boshi-setai_h23/dl/h23_06.pdf

ケース1 婚姻中の持ち家に住む場合

離婚後も同じ家に住み続けたい場合、問題となるのが、「離婚前に住んでいた家が誰の名義になっているか」ということと、「ローンの名義変更をどうするのか」ということです。どちらも専門的な知識が必要になるため、司法書士や税理士などの専門家に相談しましょう。

財産分与で家を譲り受ける
家の名義が元夫になっている場合は、離婚時の財産分与として不動産の所有名義の変更をしなければなりません。その場合は、離婚時の取り決めや不動産評価額によって「不動産取得税」や「贈与税」が課されることがあります。

また、不動産所有者の名義変更により登記を書きかえる場合は、「登録免許税」がかかります。さらに、年をまたぐ場合は「固定資産税」がかかる場合もあるため、どのように支払いを行うのか協議しておく必要があります。

婚姻中、家の名義が夫と妻の共同名義になっていた場合は、さらに複雑な手続きが必要になります。お金はかかっても、専門家に任せたほうがよいでしょう。

ローンの名義は? 
一般的には、離婚した時点でローンがまだ残っている状態であることが多いと思います。婚姻中から自分名義でローンを組んでいれば問題ありませんが、夫名義でローンを組んでいる場合には、名義変更する際、支払い能力が専門機関によって確認されます。

離婚して自分ひとりになった時、返済能力が問題となり、債務者変更の承諾を得られない場合もあるようです。そのため、ローンの名義は前夫のままで養育費や慰謝料などの代わりに返済を行ってもらうというケースも考えられます。

「住宅ローン名義人」と「所有名義人」は同じではないので、家をもらってローンは夫が支払い続けるということも可能です。事前に元夫とよく話し合い、専門家とも相談したうえで、今後の支払い計画を立てておきましょう。

ケース2 実家へ戻る

血のつながった家族であっても、頼ることには変わりないため、しっかりと話し合ってルールを作っておきましょう。また、児童扶養手当の受給資格にも影響が出ます。

同居のルールを作ろう
実家へ戻ると、家賃や食費など、経済的にも助かり、何より、精神的な支えがあり、安心できることでしょう。しかし、一番近い存在であるために、衝突も起こりえます。

家族であっても、お金をいくら入れるのか、家事は誰が担当するのか、子どもの世話は誰がどのようにするのかなど、きちんと話し合ってルールを決めておきましょう。

児童扶養手当
実家に戻ると児童扶養手当が支給されにくくなります。

児童扶養手当は、両親が働いていない場合は支給される可能性が高いですが、同居する家族の誰かが所得の限度額を越えてしまうと、支給対象から外れます。

所得制限限度額は、全部支給で扶養親族一人→57万円、二人→95万円、三人→133万円、四人→171万円となっていますが、扶養人数などによっても変わってくるで詳細はお住まいの自治体で確認しましょう。

ケース3 婚姻中の賃貸物件に住む

婚姻中の賃貸物件に住み続けるということが、一番お金のかからない方法ですが、賃貸契約の名義が元夫になっている場合は、きちんと申し出て変更する必要があります。

賃貸契約者の名義変更
結婚している時に住んでいた賃貸物件に住み続ける場合も、賃貸契約をした人の名義が問題になるようです。契約上の名義が元夫の場合は、「妻の名義での再契約」が必要になります。

自分名義で再契約を結ばないと、大家さんに知られた時に問題になることもあるようです。面倒でも手続きを済ませておきましょう。

ケース4 新しく部屋を借りる

シングルマザーの半数が離婚時に新しく家を借りるというデータがありますが、新しく賃貸の契約を結ぶのはかなり大変なようです。

婚姻中も正社員として働いていたという場合は特に問題がなさそうですが、アルバイトやパートとして働いており、安定した収入がなかった場合は、信用度の高い連帯保証人を探すことが必要になる場合もあります。

家賃の目安 
家賃の目安は、一般的に手取りの四分の一程度といわれています。この目安を守らないとかなり厳しい生活になるでしょう。

月収が10万円程度という場合は、限られた物件しか借りられないこともあります。どうしても新たな賃貸物件を探す必要がある場合は、公営住宅に申し込んだり、ひとり親家庭のための住宅支援を利用しましょう。住宅支援については詳しく後述します。

連帯保証人
シングルマザーが新しく部屋を借りる場合のポイントは、連帯保証人を誰にするかということです。しっかりとした安定した収入がある親族を連帯保証人として立てるのが理想でしょう。

また、借りたい物件の近くに連帯保証人となる親族の持ち家があると、万が一トラブルが起こった場合に対処しやすくなるので、さらによいと判断されるようです。

連帯保証人を経済的信用度が高い人に任せる理由は、万が一、家賃の滞納があったとき、連帯保証人から補填してもらえるためです。親が高齢で仕事もしていない場合は保証人として認められないこともあるため、注意が必要です。

校区のチェック
新しく家を借りる場合は、そのエリアのことをよく調べておきましょう。前述したように、ひとり親家庭への支援は自治体によって大きく異なります。

また、子どもが将来通う小学校や中学校がどこになるのか、職場への通勤時間は長くなるのか、移動手段は確保できるのかなど、細かなポイントもチェックしておきましょう。

母子家庭の住宅優遇制度とは? 

公営住宅の優遇制度を設けている自治体もあります。

母子家庭に有利なポイント

一般的に公営住宅の入居者希望抽選会は年に2回程度です。しかし、一般向けの抽選会とは別に、年に一度、母子家庭のみの特別抽選がある場合があります。

このほか、一般向けの抽選会において、シングルマザーの当選確率が有利になるシステムをとっているところもあります。

母子家庭への優遇制度がある公営住宅は、シングルマザーにとっては狙い目です。なかなか入れないからと諦めずに、申し込んでみましょう。

公営住宅とは

公営住宅とは、地方公共団体が公営住宅法に基づいて建設した、低所得者に向けた賃貸住宅のことです。募集期間中に申込み、審査が行われ、申込み多数の場合は抽選となります。

審査の基準は

  • 同居家族がいる
  • 所得が基準内である
  • 住居に困っている
  • 住む人が暴力団員でない

となっています。

ただ、公営住宅は、住宅に困っている度合いの高い順に登録されるというシステムになっています。母子家庭という理由だけでは優先順位が上がらない場合もあるので注意が必要です。

公営住宅の特徴は、一般の賃貸物件より家賃が安いことです。その分、物件によっては建物が古い、エレベーターがない、エアコンがついていない、インターネット環境がよくないなど、問題がある場合もあります。

しかし、家計の中で一番大きな割合を占める家賃が安いことは、大きなポイントでしょう。

公営住宅に住む人は、ひとり親家庭も多く、近所づきあいも密な場合が多いようです。

自治会役員の仕事も、母子家庭だからといって特別扱いされることなく回ってきます。
掃除やイベントなど自治会のお付き合いもありますが、負担に思わず楽しく参加してみましょう。

筆者の体験談

私の場合、自分の分譲マンションに元夫が引っ越してきて、結婚生活が始まりました。名義もそのままにしていたため、離婚の時も夫が出て行くということで、問題はまったくありませんでした。

特殊なケースかと思いますが、独身時代に家を自分名義で購入しておくと、結婚しても離婚しても住居に関する心配だけはしなくていいということになります。

自分所有のマンションを人に貸していて、離婚後はそのマンションに住みたいという場合は、「離婚したからすぐ出て欲しい」とは言えないため、契約更新の際にあらかじめ借主に更新しない旨を伝えて手続きを進めましょう。解約手続きが済み、居住者が退去すれば、また自分が住むことができます。



住む場所は親子の大きな問題です。支援制度なども上手に利用して素敵な住居を探してくださいね!