シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

シングルマザー目線で考える保険1 生命保険|公的制度の正しい知識も踏まえての選び方のポイント

ライター 加藤葉子

女性とシングルマザーのお金の専門家として、全国の女性よりお金の相談を受けているファイナンシャルプランナー。行政主催のマネー講座や女性ファイナンシャルプランナーの養成などでも活動中。シングルマザーで一児の母。

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シングルマザーにとって一番の気がかりは「自分の身に何かあったら、子どもが心配……」ということ。万が一の備えとして頭に浮かぶのは、保険ではないでしょうか。

しかし、一口に保険といっても、たくさんの種類があります。シングルマザー目線で保険について基本的なことから具体例含めてご説明したいと思います。

保険のキホン

保険を大きくわけると「生命保険」「損害保険」「医療保険」に分類されます。何らかの保険に加入している場合は、保険証券を見ながら、確認してくださいね。

保険に加入する時には「加入する目的」があると思います。例えば、医療保険は「万が一、私が入院したら色々と心配なことがあるので保険でカバーしたい」、個人賠償責任保険は「子どもが自転車事故を起こしてしまったら損害賠償が心配」などですね。

今回は、シングルマザーの加入数も多い生命保険を確認していきましょう。


保険の主な種類

生命保険を考える3つの重要ポイント

「保険のことは色々相談しましたが、シングルマザー目線で納得のいく答えを得られませんでした。どうすればいいですか?」
パートで働いている保険未加入、2歳のお子さんを持つシングルマザーからのからの質問です。

私はご相談を受けた時「もしママが死亡した時は、どなたがお子さんを育てますか?」と確認しています。

その理由は、シングルマザーの場合「誰が子どもを育てるか」によって保険の検討内容が大きく変わるためです。

保険を考える時は、「私に何かあったら……」の視点が大切になります。既に加入されている方も本当に今の保険で大丈夫なのかチェックしてみてくださいね。

3の重要ポイント

1.私に万一のことがあったら、誰が子どもを育てるか
2.子どもが独立するまで、教育費はいくら必要? 
3.公的な援助、遺族年金とは?

シングルマザー目線での重要ポイントです。具体的にみていきましょう。

1. 誰が子どもを育てるか

誰が子どもを引き取り育てることになるかは、ご家庭の事情によりさまざまです。
子どもの父親が存命の場合は父親が、ご両親がいらっしゃるのであればご両親が、そのほか兄弟姉妹などが候補になります。

ただ、お願いしたい方がいても、いろいろな事情から難しい場合もあります。頼れる人がいなければ、児童養護施設も候補の一つになります。

誰に子どもを託すかを決められたら、必要な保険額を検討することになります。

2. 教育費はいくら必要?

「子どものためにどのくらいの金額を残せばいい?」「保障額はいくら必要?」など具体的な金額が気になると思います。

子どもには生活費と教育費が必要になります。
生活費は今の生活を振り返るとなんとなくは想像できると思いますが、「子どもの成長によって変わる教育費」は幼いお子さんを持つママは、少しイメージしづらいかもしれません。

大学に進学するかしないかにもよりますが、小学校1年生から高校卒業まですべて国公立に入った場合は、全国平均で約460万円の学費が必要になると言われています。

保育園~大学までの教育費に関しては、「シングルマザーの気になる子どもの教育費1」をご覧ください。

3. 遺族年金とは?

さて、次は公的制度について正しく理解しましょう。
シングルマザーが不慮の事故や病気で亡くなってしまった場合、子どもは遺族年金(遺族基礎年金と遺族厚生年金)を受給できます。

対象者と受給額をまとめました。

遺族年金をもらうための主な要件

保険料納付要件 保険料納付済期間(免除の期間を含む)が加入期間の3分の2以上あること
※平成38年4月1日までは、死亡日に65歳未満であれば、死亡月の前々月までの1年間に保険料の滞納がなければ受給可。
対象者(子どもの場合) 死亡した者によって生計を維持されていた、
・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
・20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
受給額 ↓遺族基礎年金の場合
子の数 1人 779,300円
2人 1,003,600円(501,800円/人)
3人 1,078,400円(約359,467円/人)
4人目以降 各74,800円を加算
↓遺族厚生年金の場合
死亡者の支払保険料の総額によって異なる

※条件は、遺族基礎年金と遺族厚生年金とで細かいところで異なる点があります。

遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類

勤務先の社会保険未加入の方や自営業者の方は、死亡した場合、お子さんには国民年金から遺族基礎年金が支給されます。

パート勤務でも勤務先の社会保険に加入している、またはフルタイムで会社にお勤めのシングルマザーの場合は、厚生年金から遺族厚生年金が、遺族基礎年金に上乗せされます。

遺族基礎年金の支給額は一定ですが、遺族厚生年金は支給金額が人によって異なります。厚生年金は、長く加入してたくさん保険料を支払った人ほど、多くもらえる仕組みになっています。

国民年金保険料の納付が条件

国民年金保険料を滞納していないか確認しておきましょう。
国民年金保険料の支払いが厳しい場合には、減免の手続きをしておけば滞納の扱いにはなりません。自治体の窓口で手続きしてくださいね。

厚生年金保険料は給与から天引きされますので、滞納はほとんど問題にならないでしょう。
ただ、社会保険に加入されたばかりの場合は、以前の国民年金保険料が滞納になっていないか確認しておきましょう。

支給は高校卒業まで

また、遺族基礎年金も遺族厚生年金も、高校卒業まで、つまり18歳になった年度の末までしか支給対象になりません(障害のある子どもは20歳まで)。
残された子どもが大学進学を希望する場合は、大学時代は遺族年金の給付がないことに注意しましょう。

遺族年金は必ずもらえるとは限らない

遺族基礎年金は、シングルマザーの死亡により子どもの父親が子どもを育てる場合、支給停止になってしまいます(遺族厚生年金のみ支給されます)。

また、遺族基礎年金も遺族厚生年金も、養育してくださる方の養子になる場合も支給対象から外れます(失権または支給停止)。

遺族年金が支給されるとされないのでは、かなりの差が出てきます。
子どもをお願いする方によって変わるので、日本年金機構に遺族年金がもらえるケースなのかどうかを必ず確認しておきましょう。

生命保険の種類と選び方

子どもの生活費と教育費が、貯金や遺族年金でカバーできるようであれば生命保険は必要ありませんが、貯金ができていない場合は加入を検討した方がいいでしょう。

今は生命保険にも色々な種類があります。どの商品を選べばいいのかということも難しいところですね

生命保険は、掛け捨てタイプと貯蓄タイプがあります。基本から確認していきましょう。


生命保険の主な種類と特徴

掛け捨てタイプのメリットは、やはり保険料が安いことです。
貯金額が少なく、保障額をしっかり確保したいシングルマザーは「収入保障保険」を選ぶ方が多いようです。

貯蓄型タイプのメリットは、満期金や解約返戻金があることです。
保険という形で貯蓄をしながら保障があるので、貯金をしたいシングルマザーに人気です。ただ、途中で解約すると支払った保険料より受け取る金額が減ってしまうデメリットもあるので注意しましょう。

逆に、現金が手元にあると使ってしまうというシングルマザーは、貯蓄タイプの保険で「先取り貯金」をするのも有効です。

シングルマザーAさんの生命保険の保険料比較

それでは、保険料がどのくらい違うのか一例をみていきましょう。

5歳と2歳の子どもがいる30歳のシングルマザーAさん。貯金は少ししかないので、何かあった場合を心配しています。

まず、必要な保障額を下のお子さんが大学を順調に卒業するまで20年、月15万円必要と考えた場合

月15万円×12ヶ月×20年で3,600万円

が必要になります。

次に、Aさんに万一のことがあれば、Aさんのご両親が子どもを育て(養子縁組なし)、遺族基礎年金がもらえるとします。
子どもの高校卒業まで16年、年間約100万円、総額で約1,600万円が支給されるので、

大学卒業までの生活費3,600万円のうち2,000万円を用意すれ大丈夫

ということになります。

保険期間は浪人や大学院進学などもあるので余裕をみて25年とし、それぞれ保険料を比較しましょう。

契約例:Aさん(30歳女性)の場合

掛捨てタイプ 貯蓄タイプ
定期保険 収入保障保険 終身保険(低解約返戻金型)
保険期間 55歳満了 55歳満了 終身(55歳払込満了)
保険金額 2,000万円 月10万円 2,000万円
保険料 月3,360円 月1,590円 月49,380円
保険料総額 1,008,000円 477,000円 14,814,000円
解約返戻金 なし なし 55歳時満期前:11,439,600円
55歳満期経過後:16,350,000円
以降、経過年数に応じて増加

保険料が大きく変わることがわかります。
貯蓄を重視するか、少ない保険料を重視するかに正解はありませんが、同じ保障額で保険商品を見積もっていくことで、具体的に検討できます。

既に生命保険に加入している場合は、保障額と解約返戻金を確認してみてくださいね。

保険料を安くする方法

保険料を月払いにする方が多いのですが、年払いという方法もあります。年払いにすると保険料が少し安くなります。

また、保険料はそのままですが、クレジットカードで支払うとポイントも付きますね。
支払い方法やクレジットカード払いの有無は保険商品によって違うので保険会社に確認し、少しでもお得に支払いましょう。

保険期間に注意! 

下記はシングルマザーBさんの保険証券の一部です。死亡保障や入院時の保障と色々な保障が付いている保険です。

「若いときに加入し、とてもいい保険だと思っています」とご本人はおっしゃっていたのですが……、実は注意点があります。

この保険の保険期間に注目しましょう。
2018年1月31日までの保険期間がほとんどですね。実は、2018年1月31日から保険料が上がってしまう保険だったのです。

今の保険料は月8,864円ですが、2018年2月からは月2万2,295円、その後10年毎に保険料が上がり、月4万1,116円まで上がってしまう保険ということがわかります。

Bさんは保険料が引き上げられることがわかってから、すぐ保険を見直しました。
皆さんも保険証券の「保険期間」を必ずチェックしてくださいね。

離婚前から保険に加入している場合は、元夫が契約者になっていないかということも確認しておいたほうがよいでしょう。
元夫が契約者のままだと、学資保険などの満期の支払いは元夫(契約者)になるので注意してくださいね。


終わりに

想像したくはないと思いますが、「もしもの場合にどうするのか」と考えることはとても大切です。

今回は生命保険を中心にご紹介しましたが、万が一のことを考えてすべて保険でまかなおうとすると、保険料ばかりがかさんでしまいます。

貯金でまかなえない分を保険でカバーすること、少しでも家計にやさしい保険料にすること、そして何よりも「万が一」の時に頼れる人の確保も重要になります。