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母子家庭、学資保険で本当に子どもを大学まで出せる?

ライター 辻寿子

フリーライター歴22年、シンママ歴6年。一卵性双生児の息子は、長男が脳性マヒで車椅子。日本化粧品検定1級、サプリメントアドバイザー取得。結婚歴3回、死別→離婚→離婚の経験あり。

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No.43 s

教育費のことを心配しているシンママは多いのではないでしょうか? 今回は、子どもが大学まで進学するといくら必要なのか、また、学資保険が必要なのかどうかについて考えてみましょう。

子どもの教育費、いくらかかる?

幼稚園から高校まで公立、国立の大学に進学した場合、約1,000万円になるようです(授業料などの学校教育費や学校給食費、学校外活動費を含んだ金額)。

大学卒業までにかかる費用

区分 学習費等(※1)総額 合計
幼稚園 小学校 中学校 高等学校 大学(※2)
ケース1
高校まで公立,
大学のみ国立
669,925 1,845,467 1,443,927 1,545,853 4,366,400
(平均)
9,871,572
2,876,000
(自宅)
8,381,172
5,332,000
(下宿・アパート)
10,837,172
ケース2
すべて公立
669,925 1,845,467 1,443,927 1,545,853 3,920,000
(平均)
9,425,172
2,680,400
(自宅)
8,185,572
4,870,000
(下宿・アパート)
10,375,172
ケース3
幼稚園及び大学は私立,
他は公立
1,625,592 1,845,467 1,443,927 1,545,853 6,239,600
(平均)
12,700,439
5,175,200
(自宅)
11,636,039
7,905,600
(下宿・アパート)
14,366,439
ケース4
小学校及び中学校は公立,
他は私立
1,625,592 1,845,467 1,443,927 2,929,077 6,239,600
(平均)
14,083,663
5,175,200
(自宅)
13,019,263
7,905,600
(下宿・アパート)
15,749,663
ケース5
小学校だけ公立
1,625,592 1,845,467 3,709,312 2,929,077 6,239,600
(平均)
16,349,048
5,175,200
(自宅)
15,284,648
7,905,600
(下宿・アパート)
18,015,048
ケース6
すべて私立
1,625,592 8,362,451 3,709,312 2,929,077 6,239,600
(平均)
22,866,032
5,175,200
(自宅)
21,801,632
7,905,600
(下宿・アパート)
24,532,032

幼稚園~高等学校の教育費は文部科学省「平成20年度子どもの学習費調査結果」に基づいて作成(単位:円)
大学の教育費については独立行政法人日本学生支援機構「平成20年度学生生活調査報告」に基づいて作成
※1「学習費等」には授業料などの学校教育費や学校給食費,学校外活動費が含まれる
※2家庭から学生への給付額を使用

Ⅱ調査結果の概要
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2014/01/10/1343235_3.pdf

第1章 家計負担の現状と教育投資の水準
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpab200901/detail/1296707.htm

学資保険とは?

学費を準備するための方法として、学資保険に加入するという方法があります。

学資保険はその名の通り、教育資金を確保するための保険で、通常は親や祖父母が子どものためにかけます。

保険料を支払うことで、入学祝い金や満期学資金などの給付金が受け取れます。

学資保険のメリット

貯金ではなく、学資保険を選択するメリットは何でしょうか?

  • 貯蓄性が高い(金利は状況によって変化します)
  • 貯蓄が苦手でもOK
  • 子どもの怪我や病気の保障も付けられる
  • 子どもの成長に合わせた給付金が受け取れる
  • 税金控除の対象になる
  • 契約者が死亡しても給付金が受け取れる

ということが挙げられます。

学資保険の大きな特徴は、「子どものための保険」ということです。

契約者は親か祖父母の場合がほとんどで、契約者に万が一のことがあっても、給付金が受け取れる商品もあります。その際は、以後の保険料を支払う必要はありません。

学資保険に入る主な目的は、「貯蓄」と「保護者に万が一のことがあっても教育資金が準備できる」の2点です。

学資保険のデメリット

デメリットとしては

  • 中途解約したら年数によっては元本割れする
  • 保障のつけすぎに注意
  • 月々の保険料が高い
  • 保険会社が倒産などするリスク
  • 持病によって加入できないこともある

などがあります。

学資保険は、一番お金のかかる入学のタイミングで給付金が出る商品がほとんどです。

貯金ができずにまとまったお金を作ることができそうにないなら、加入する必要性は高いと言えるでしょう。

学資保険の選び方

それでは、実際に学資保険を選ぶ際、何を比較すればいいのでしょうか。

貯蓄型と保障型

学資保険に限らず、保険には「貯蓄型」と「保障型」があります。

「貯蓄型」は、月々の保険料を貯めて増やすことを目的にしています。

一方で、「保障型」とは医療保障など万が一の保障を目的としていて、掛け捨てや元本割れする保険は、この保障型の商品になります。

学資保険は、オプションで保障が付けられる商品もありますが、あまり保障を付けすぎると元本割れをしてしまうことがあります。

また、契約者の保障が厚いと満期の時の給付金が少なくなる傾向にあります。

返戻率に注目!

返戻率とは、支払った保険料の総額に対して「どのくらい給付金が受け取れるのか」という数字です。

100%より少なければ支払った金額の方が多く、100%を越えれば支払った金額より多い給付金が受け取れるということになります。

学資保険の場合、保障を付けすぎなければ満期時の返戻率が100%を越えることが多いようです。

祝金と満期給付金の受け取り方

学資保険は中学、高校、大学の入学時に給付金を受け取れるように設定することができます。

祝い金や満期の給付金を受け取るタイミングは、契約時に設定することが多く学資保険を選ぶポイントになります

その都度祝い金をもらうプランは、保険料が高くなる傾向があります。つまり、満期の時だけ給付される方がお得な場合が多いようです。

中学や高校で私立に行く可能性も考慮するなら、その都度受け取るプランを選択するのもよいでしょう。

ただし、希望の給付パターンが必ずしも可能とは限りません。保険会社の商品によるので、しっかり比較してチェックしましょう。

払込期間を考える

学資保険に加入する人の75%以上が、子どもが1歳になる前に加入しているようです。

大学入学まで18年も保険料を支払うことになるのですね! 学資保険は、途中解約をすると支払った額の方が大きくなるのが一般的です。

払込期間を高校入学までにするのか大学入学までにするのかについては、じっくり検討する必要があります。

月々の保険料の目安

子どもの将来のための保険料とはいえ、あまりに高額だと家計を圧迫し結局は途中解約ということにもなりかねません。

収入や家計から考えて、「月々いくらまでなら保険料として支払えるか」上限の目安を自分で決めておくといいでしょう。

ちなみに、貯蓄型で受取総額を200〜300万円に設定した場合、月々の支払い額の相場は1〜2万円になります。

賢い学資保険の入り方

シンママ家庭なら、「貯蓄型」を選ぶのがベターでしょう。ここからは、よりお得になる学資保険の加入方法をみていきましょう。

子どもに医療特約は不要

学資保険には、子どもに医療特約を付けることができるケースがあります。

子どもの怪我や病気、入院や手術にも給付金が出ますが、本来の目的である満期時の給付金が元本割れになることもあります。

子どもの医療手当は手厚く、各自治体が「義務教育就学児医療費助成制度」や「乳幼児医療助成制度」などを設けているため、ほとんど医療費について実費がかかりません。

また、ひとり親家族等医療費助成制度もあるため、シンママ家庭は子どもの医療費に困ることはほとんどないでしょう。

つまり、学資保険に子どもの医療特約を付ける必要はない、ということになります。

学資保険加入は5歳までに!

学資保険は子どもの学費のための費用なので、満期に受け取る額と保険をかけている期間で月々の支払い金額が大きく違ってきます。

例えば、満期300万円の給付金を受けるとしましょう。

子どもが0歳で学資保険に加入した場合と5歳で加入した場合とは、月々の保険料が5,000円以上も変わるようです。

5年間支払ってきていないのですから当然といえば当然ですが、学資保険に加入するなら5歳までに入ると月々の負担が軽くなります。

保険金の受け取りは1回に!

前述したように、「祝い金」として中学、高校に入学する際に給付金を受け取れるよう設定することもできます。

しかし、ほとんどの場合、給付金は満期時にまとめて受け取る方が給付額がアップします。

保険金の受け取りは、できれば1回に設定し、高校入学時より大学入学時にした方がお得になるようです。

離婚前にかけていた学資保険はどうなる?

離婚前に前夫が契約者で学資保険をかけていても、保険を継続したいならば保険料を支払い続けなければなりません。

離婚して親権が自分になり保険料を自分が支払う場合も、契約時の契約者が前夫ならば、契約者変更の手続きをしましょう。

学資保険は、契約者に万が一のことがあった場合の保障がありますし、何より給付金の受け取りは、契約者もしくは被保険者になってしまいます。

このため、せっかく支払ってきた給付金が前夫に行ってしまう可能性もあります。離婚時には学資保険の契約者も自分に変更しておきましょう。

学資保険以外に費用を準備するには?

月々1.5〜2万円の保険料を支払うと「満期時200〜300万円を受け取れる」ということがわかりましたが、大学入学時に必要な費用は(授業料と入学料)、国公立で約80〜90万円、私立で約130万円と言われています。大学入学時だけで100万円前後の費用がかかるため、平均的な学資保険だけで賄うのは難しいでしょう。

他の方法も確認しておきましょう。

母子父子寡婦福祉資金(修学資金、就学支度資金)

母子父子寡婦福祉資金は、ひとり親家庭を支援する制度で自治体から資金を無利子もしくは低金利で借りることができます。
母子父子寡婦福祉資金には12種類あり、教育関係では修学資金と就学支度資金が利用することができます。
自治体によって内容が異なるので、お住まいの市区町村で確認してください。

奨学金制度を利用する

奨学金には返済不要の給付型と返済義務のある貸与型(無利子、有利子)があります。
最近は給付型奨学金も増えてきています。早めに情報収集をしましょう。

母子家庭でも子どもの大学進学は可能!

まとまったお金が必要になる大学入学時は「学資保険」と「母子・父子寡婦福祉資金貸付」で乗り越え、自分の収入だけで不足ならば、奨学金や「母子・父子寡婦福祉資金貸付」制度の「修学資金」を利用しましょう。

不安はたくさんあると思いますが、将来いくら必要なのかを把握し、しっかり計画を立てていけば、決して無理なことではありません。

子どもがどんな道を歩むにしても、備えだけはしてあげたいですよね。

貯金が得意! という人は、必ずしも学資保険である必要はありません。メリットとデメリットをよく比較して検討してください。

まとめ

「学資保険は大学入学時の貯金」と考え、その他の資金の確保もしっかり計画していきましょう。諦めなければきっと実現できます!