シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

日本とはどこが違う?海外のシングルマザー事情

ライター 加藤良子

小学生の一人娘と完全に自分のことを人間だと思っているワンコと気ままな二人+一匹暮らしを楽しんでいるシングルマザーです。将来は日本を飛び出して二人で暖かい所に住むのが夢!シングルマザーならではの喜びや悩みを皆様と共有していきたいと思います

Photo ryoko kato

No51s

欧米では日本よりも前からシングルマザーに対する認知度が高く、シングルマザーへの理解や政府の対応、子どもの環境においても日本とは違いがあるようです。

今回は、日本と海外のシングルマザーの違いと現状についてお伝えしたいと思います。

海外で感じた環境の違い

私が妊娠中に海外旅行をした時に感じたのは、海外では妊婦や子どもを持つ女性への対応が日本に比べて非常に優しい、ということです。

アメリカでは、見ず知らずの人が私の大きなお腹を見て「今、何ヵ月?楽しみだね」「階段に気を付けて」と声をかけてくれました。

イタリアではホテルの従業員が「ベッドは小さくないか?」と気にかけてくれたり、タクシーの運転手さんが、特に訪ねたわけでもないのに人気のあるベビー用品のお店を教えてくれたりしました。

極めつけは、イギリスの紳士。ベビーカーを押して歩いていた女性が階段に差し掛かると、通りがかりのビジネスマンが何も言わずベビーカーごと持ち上げて階段を上がりニコッと笑顔で去って行く、その一部始終を目撃して胸が温かくなりました。

海外では、周りの人が子連れの人に親切にすることは特別なことではないようです。

一方、日本では……。私が日本で階段を前にベビーカーをどうしようかと悩んでいても声をかけてくれる人は一人もいなく、自ら駅員さんのところへ行き手伝ってもらった覚えがあります。

日本では時折「ベビーカー問題」が取り上げられますが、電車やバスにベビーカー専用スペースがある海外のママたちには全く理解できないようです。

子どもを持つ女性を優先的に考える風潮が定着していない日本では、シングルマザーに対する考え方もポジティブではないのが現状なのでしょう。

日本のシングルマザーを悩ませる貧困問題

日本のシングルマザーが抱える問題のうち、海外のシングルマザーに比べて深刻なのが貧困問題です。

フランスやイギリスでは「事実婚」が多く、結婚せず子どもを設けるカップルもいます。法律上は結婚をしなくても出産後も事実婚の相手が経済的に支えてくれる場合が多いようです。事実婚でも法的に結婚している夫婦と変わらず適応される制度も多数あります。

日本の場合、離婚や死別によりシングルマザーになり一人で子どもを育てるケースが多くなります。
また、女性の社会進出が進んでいるとはいえ、男女間の賃金格差が依然としてあり、経済的に自立するのが難しい、という現実も貧困を引き起こす原因の一つではないでしょうか。

教育制度と補助金は海外と日本でどう違う?

政府からの補助金や子どもの教育に関する考え方も国によって異なるようです。

アメリカの場合

アメリカで感じた印象ですが……、アメリカではシングルマザーということで周りから偏見を持たれることはほとんどなく、ごく当たり前の存在と認識されているようです。

アメリカのドラマで見た仕事の面接のシーンでは、「家族は?」「シングルで子どもが二人います」「あっそう。で、週に何回希望?」のようにサラッと流されていました。

アメリカでは離婚してシングルマザーになったときは、親権も財産も折半になるケースがほとんどのようです。

「子どもの権利」を守る法律は日本よりも優れていて、子育てをするのが母親なら経済的な面倒を見るのは父親というように、それぞれの役割が定められています。

「旦那のことは愛せないけれど、子どもがいるから生活のために離婚はできない」という考え方は、アメリカ人女性にはないようです。

「自分が幸せではないなら、子どもがいても離婚」を選び、「離婚後の経済的な問題は法が守ってくれる」という考えの人が多いといいます。

シングルマザーの多いアメリカでは、児童手当はありません。特別に給付される手当もないようです。低所得者には収入に応じて補助金やフードスタンプ(食料品の無料クーポン)が支給されます。

ただ、日本と同じように深刻な貧困問題を抱えているシングルマザーがいることも事実です。
特に若くして出産した場合やパートナーの収入が少ないシングルマザーは、子どもを両親や親戚に預けて働かないと生活できないという場合もあります。

カナダの場合

カナダでは日本よりもシングルマザーに対する偏見は少なく環境もよいため、日本のシングルマザーの移住先として注目している人もいます。

ひとり親家庭の子どもは、高校卒業までの授業料や公的施設の利用料が無料になるだけでなく健康保険料は免除になります。さらに、日本の児童福祉手当のような手当も受給することができるため、非常に好待遇と言えるでしょう。

スウェーデンの場合

スウェーデンはシングルマザーに対する待遇がよいことで有名ですね。

法定労働時間や残業時間が短く制定されているほか、正規社員と非正規社員の給料の差も少ないなど、働くママにとって嬉しい制度も整っています。

12歳未満の子どもが病気になった場合の休暇が120日分認められる「看護休暇」もあるため、急な休みを申請する時も肩身の狭い思いをする必要はないようです。

12歳までの子どもには、就学前保育と学童保育が義務付けられているため、働くママは助かるでしょう。生活保護といってもお金の問題だけでなく、休暇や子どもの教育のことまで考慮されている点が日本と異なりますね。

給付金の面でも手厚く、16歳までは児童手当が受給されるほか教育手当として月1万円以上が支給されるようです。

フランスの場合

フランスでは離婚する際の手続きが大変ということもあり、法的な結婚ではなく「事実婚」で子どもを育てているカップルが多くなっています。

結婚しているのとおなじだけの権利を得られる制度「PACS(連帯市民協約)」が制定されています。
親権も法的な夫婦と同じように扱われるため、子どもができたからといって籍を入れる必要性はあまり感じないようです。

キャリア志向が強い女性が多いフランスでは、保育園やベビーシッター制度が充実しており日本よりも安く利用することができます。

また、フランスでは少子化問題をストップさせるため、二人以上の子どもがいる家庭には「家族手当」が支給されています。

ひとり親家庭の子どもが受給できる給付金もいくつかあり、3~21歳の子どもがいて定められた所得を下回っている場合は「低所得者手当」として約2万円、両親が健在の場合でも離婚していれば「孤児手当」として月額約1万4000円が支給されるようです。

イタリアの場合

イタリアの場合、シングルマザーの割合はフランスやアメリカと変わりないようですが、比較的伝統的な「家庭」というスタイルを重んじる傾向があります。

自ら進んでシングルマザーになるのは少数派で、離婚によってシングルマザーになるケースや予定外に子どもができて出産をするなどが大半で、その点では日本と似ているようです。

ひとり親家庭には国から手当てがもらえますが、それまでに社会保障費を3ヵ月以上納めていることが条件になります。また、市からは一定収入に満たないひとり親家庭に対し、子どもの人数に応じた助成金が支給されるようです。

オーストラリアの場合

オーストラリアは日本との時差がない点や気候が似ていることから、留学先として定番であり、移住する日本人も多くいます。

子育て支援が手厚い国でもあります。基本的に16歳以下の子どもがいて、所得が$46,355以下の家庭には、年間約35~45万円の支給+住宅補助手当が支給されます。さらに、ひとり親家庭の場合は、子どもの年齢によって金額が異なるものの、年間約20~30万円の補助金が支給されるようです。

支給額が多いのは非常に嬉しいことですが、このことに甘えて全く働こうとせず生活保護で一般家庭の主婦よりもよい暮らしをしているシングルマザーの存在が問題ともなっているようです。

仕事に関しても子ども優先になっており、「週35時間程度仕事をするなら時間帯はお任せ」という条件で働ける企業もあるようです。月曜から木曜までは8時間勤務にして金曜日に足りない分だけ働く、というシフトを組むことも可能です。

一般家庭の主婦も子ども優先の働き方をしているので、早く退社するからといって周りの視線が気になることもなく、堂々と帰ることができる点が日本との大きな違いですね。

日本と海外のシングルマザー事情から感じたこと

国によって違いはあるものの日本より補助金も多く子育てしやすい環境が整っているのでは? と感じました。

私は娘を連れて海外移住したいと考えています。どの国にするかはまだ未定ですが、今回ご紹介したそれぞれの国のメリットやデメリットを踏まえ、一番合う国を見つけて移住したい、と思っています。

「海外移住もありかな」と思っているシングルマザーの皆さん、ぜひ参考にしてみてください。