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養育費に所得税はかかるの?知っておきたい養育費と税金の関係

ライター 加藤良子

小学生の一人娘と完全に自分のことを人間だと思っているワンコと気ままな二人+一匹暮らしを楽しんでいるシングルマザーです。将来は日本を飛び出して二人で暖かい所に住むのが夢!シングルマザーならではの喜びや悩みを皆様と共有していきたいと思います

Photo ryoko kato

No56s

「養育費に税金はかかるの?」と疑問に思うシングルマザーもいらっしゃると思います。
今回は、養育費と所得税の関係についてまとめました。「税金のことは難しい……」と避けずに、仕組みをきちんと理解しましょう(弁護士監修済)。

養育費とは?

両親が離婚をした場合、子どもはどちらかと一緒に生活をすることになります。ただ、母親が親権者になった場合など、離婚前と同じ水準で経済的に安定した生活ができるとは限りません。

家庭内の収入が減ることによって子どもが辛い思いをすることがないようやり取りされるものが「養育費」です。

養育費の定義

養育費の定義は「子どもを育てていくうえで必要な経費」となります。

養育費には、子どもの食費、医療費など、衣食住全てに関する費用が含まれます。
注意しなければいけないのは、子どもに関しての必要経費以外、例えば、シングルマザーが自分の欲しい洋服の購入や自分の趣味に関することに使用してはいけないということです。

養育費の支払義務は子どもが最低限の生活ができるための「生活扶助義務」ではなく、それ以上の内容を含む「生活保持義務」とされています。生活保持義務は、自分の生活を保持するのと同じ程度の生活を扶養を受ける者にも保持させる義務のことです。

つまり、養育費は非監護親が暮らしている水準と同様の生活水準を保てるように支払っていくべきものであるということです。「生活が苦しいから払えない」という理由で支払義務を免れるものではなく生活水準を落としてでも払う必要があります。

養育費
子どもの養育(衣食住や教育)に要する費用。特に、実際に子どもを育てる者が、扶養義務のある法律上の親に対して請求するものや、離婚した父母のうち子どもを育てる者が、もう一方の親に対して請求するものをいう。

出典元:
https://kotobank.jp/word/%E9%A4%8A%E8%82%B2%E8%B2%BB-186668

養育費はどうやって取り決めるの?

養育費は、未成年の子どもが社会人として自立するまでに必要となる費用です。一般的には「○○歳○○月まで毎月○○円支払う」というような取り決めをします。

養育費の取り決めは通常は離婚時に行いますが、状況によっては養育費の話し合いが行われないまま離婚が成立することもあります。

ただ、養育費は子どもがお金を必要とする限りいつでも請求することができます。離婚時に取り決めをしなかった場合も、諦めずに請求しましょう。

取り決めの方法は3通りあります。

1.お互いの話し合いで取り決める

面倒な手続きが必要ないという点では、話し合いがベストな方法です。

離婚届には親権者の記入欄があるので、離婚の話し合いの時に親権を持つ人物を決めます。親権者を決める流れで養育費についても取り決めを行うとよいでしょう。

月々の金額だけではなく、いつまで支払い続けるのか? 支払方法は? 支払いの時期は? など細かく決めておきます。

ただ、口約束の養育費はきちんと支払われていないケースが非常に多いのが現実です。取り決め通りに養育費が支払われるよう、しっかりと書面に残しておくか、「公正証書」を作成することをお薦めします。

2.調停で取り決める

お互いの話合いで決まらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。離婚届を提出した後でも申し立てはできるので安心してください。

3.審判で取り決める

調停でも決まらない場合は、同じく家庭裁判所にて審判が行われます。

調停にしろ審判にしろ、決定した場合は執行力があるので、相手が養育費を支払わない場合には給料などを「差し押さえ」することができます。

なお、離婚自体が裁判までもつれ込むケースの場合は、離婚の判決と同時に養育費についても判決で決定してもらうことも可能です。

養育費に所得税はかかるの?

養育費は給料と同じように毎月受け取ることが多いので、シングルマザーの「収入」として課税対象になるのではないか? と心配している方もいます。

月々受け取る養育費については、原則として所得税課税対象にはならないので、安心してください。

なぜ所得税課税対象にはならないの?

所得税は個人の所得に対してかかる税金ですが、養育費はあくまでも「子どもが生活していくために必要なお金」であり、シングルマザー個人の所得ではないからです。

簡単に言えば、養育費は結婚生活において夫からもらっていた生活費と同じであり、確定申告をする必要ももちろんありません。

つまり、扶養義務を果たすためのお金には所得税はかかりません。

次に掲げる所得については、所得税を課さない

学資に充てるため給付される金品(給与その他対価の性質を有するものを除く。)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品(所法第9条第1項15より)

出典元:
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%89%80%E5%BE%97%E7%A8%8E%E6%B3%95%E7%AC%AC9%E6%9D%A1

高額の養育費でも所得税課税対象にはならないの?

芸能人やプロ野球選手などが離婚すると高額な慰謝料や養育費の額が話題になることがあります。基本的に養育費は税務署から「適正な金額」と判断されれば課税対象にはなりません。

収入や財産は人それぞれ異なるので、「○○円以上の養育費は課税対象である」と一律金額が税法に記載されているわけでもありません。各自の経済状況を元に適正な金額であるかどうかで判断されます。

ちなみに「慰謝料」にも税金はかかりません。慰謝料はいわば「損害賠償金」のような扱いです。離婚の原因となるような精神的、肉体的苦痛に対する見返りとして受け取るお金なので非課税となります。

児童扶養手当の場合は所得とみなされる

離婚後に収入が減少したシングルマザーは、児童扶養手当を申請する場合があります。児童扶養手当の審査では、養育費の取り扱いは税金の場合と異なります。

児童扶養手当は低所得のひとり親に対して支払われる支援金であり、所得制限があります。

児童扶養手当は「収入-給与所得控除-各控除(障碍者控除など)-8万円+養育費の8割」という計算法で算出されます。

児童扶養手当では、「養育費の8割」が所得とみなされます

養育費の8割は所得とみなされますが、慰謝料は全く関係ありません。月々高額な養育費を受け取るよりも、一括で高額な慰謝料を受け取った方が、児童扶養手当に関して言えば得をすることもあります。

養育費に贈与税はかかるの?

養育費を負担することは、自分の子どもに対する扶養義務です。
子どもの教育費や食費に充てるためのお金なので、認められる範囲の金額であれば贈与税課税対象外になります

なぜ贈与税課税対象にならないの?

離婚によって子どもを引き取らなかった方の親側から、子どもを引き取って育てる方の親側に対して渡されるのが養育費です。なんとなく贈与税がかかりそうな気がしますが、あくまでも「扶養義務」があるので贈与税課税の対象外となります。

月々受け取る養育費に関しては「日々の生活費に贈与税はかからない」という考え方でよいですが、養育費の受け取り方によっては贈与税課税対象となる場合もあります。

次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない
「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」(相続税法21の3第1項2号より)

出典元:
http://www.houko.com/00/01/S25/073.HTM#s2.2

贈与税課税対象となる場合

相続税法において養育費は「通常必要と認められるもの」であれば課税対象ではありません。ただ、「通常必要と認められるもの」以外に関しては、贈与税の課税対象になるとされています。

では、「通常必要と認められるもの」以外というとどんなケースが考えられるのでしょうか? 「一括で受け取った養育費」があてはまります。

養育費の支払いが滞るのを心配し一括請求するパターンの場合、すぐに使い切らず預貯金にあてると思います。預貯金に回すことが「通常必要と認められるもの」という条件を満たさない理由となります。

つまり、養育費は子どもの生活費や教育費として使用するものなので、それを将来のために貯蓄すると、贈与税の対象になるということです。

[例]
月々5万円の養育費を10年分一括で受け取った場合
5万円×12カ月×10年=600万円
600万円-110万円(基礎控除額)=490万円
贈与税額算出計算 490万円×30%-65万円=82万円
→82万円の贈与税が発生!

また、養育費で株や住宅を購入した場合にも贈与税が発生します。

法第21条の3第1項の規定により生活費又は教育費に充てるためのものとして贈与税の課税価格に算入しない財産は、生活費又は教育費として必要な都度直接これらの用に充てるために贈与によって取得した財産をいうものとする。したがって、生活費又は教育費の名義で取得した財産を預貯金した場合又は株式の買入代金若しくは家屋の買入代金に充当したような場合における当該預貯金又は買入代金等の金額は、通常必要と認められるもの以外のものとして取り扱うものとする。(相続税基本通達21‐3の5)

出典元:
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/10.htm#a-2136

課税対象にしないようにする方法はある?

一括で養育費を受け取った場合は、養育費を預貯金ではなく、月々受け取るという形に変更することで、課税対象外にすることができます。

つまり、受け取った養育費を信託銀行に全額預けて月々受け取るようにすると(養育信託)、通常の養育費と同じ扱いになります。

なお、「一括で支払われた養育料を金銭信託契約で運用する場合、毎年支払を受ける信託の分配金の内、収益からなる部分は所得税の課税対象になる」という審判が出ています。他の運用方法を検討する場合は弁護士などに相談しましょう。

認知されていない子どもの養育費は課税対象になる場合も

養育費は「子どもに対する扶養義務」として扱われるため基本的に課税対象にはなりませんが、認知されていない子どもに対する養育費の場合、課税対象となる場合もあります。

法律上では「他人から養育費を受け取った」とみなされ、さらに金額によっては「通常必要とみなされるもの」の範囲を超えていると判断される可能性もあります。

結婚という形式を取らずに子どもを出産する女性も増えていますが、養育費にかかる税金については弁護士さんや税務署に相談することをお薦めします。

養育費にかかる税金のまとめ

養育費は子どもに対する扶養義務として履行されるので、通常必要と認められる範囲内であれば基本的に税金は一切かかりません。

養育費は月々受け取る方法が一般的ですが、養育費が滞るリスクを心配して養育費を一括請求するパターンもあります。

一括で受け取った場合には、将来のための貯蓄とみなされ「贈与税」がかかることもありますが、養育信託として月々受け取る形に変更するという回避策もあります。

最後に

離婚する時は「養育費なんて要らないからとにかく別れてください!」という気持ちになるかもしれません。

ただ、自分のためではなく子どものために必要なお金として養育費はきちんともらうべきです。大切な子どもの生活のためにも正しい知識を身に付けておきましょう。

この記事が参考になった場合は、同じように頑張っているシングルマザーの皆さんのご意見をお聞かせいただけると嬉しいです。