シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

他のシングルマザーはどうしているの?夜勤仕事中の子どもの預け先

ライター 野崎陽子

大学生の娘がいるシングルマザーです。フリーのライター・編集者として出版広告分野で20年以上活動し、子育てや遊び場などのテーマで著書も10数冊。フリーランスを目指すママたちのお手伝いをしています。

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No60s

時給の高い夜の仕事は、シングルマザーにとって効率よく稼げる手段の一つ。昼間に自由な時間を持てるなどメリットもいくつもあります。
ただし、自分に適した業種や職場を選んで、子どもへの負担を軽減させることが重要になります。

今回は、夜間の仕事に就く場合の注意点と対処法についてお伝えしたいと思います。

シングルマザーの夜勤仕事に対する印象は?

パートやアルバイトなど非正規雇用の割合が高いシングルマザー。
多くの場合、自分一人で家事や育児をこなすため、非正規の方が勤務時間や休日などの調整がしやすいといった理由もあるでしょう。

その反面、安定した収入が望めず賞与(ボーナス)も出ない状態では生活が厳しく、昼間と夜間にダブルワークをする人も少なくありません。

「昼間、子どもとの時間を大切にしたい」「夜勤の方が時給がよい」などの理由から、あえて夜勤専従を選んでいるシングルマザーもいます。

いずれの場合も夜間に母親が仕事で家を空けることになるため、わが子と離れなければならず大きなリスクが伴います。

子どもを家族や施設に預けたとしても、きちんと寝ているかどうか気がかりです。子どもだけで留守番できる年齢であっても、生活習慣の乱れや不審者の侵入など心配は尽きません。

さらに「子どもを置いて夜働くなんて母親失格」といった周囲の偏見や世間体が、夜勤をするシングルマザーを苦しめることもあるでしょう。

ただ、寂しい思いをさせるかもしれないわが子に対して、どこか後ろめたさを感じながらも「夜働きたい」と希望するシングルマザーは増えています。

そのようなニーズに応えるかたちで24時間保育所なども整備され、母親が夜間に安心して働ける環境も徐々に整いつつあります。

シングルマザーが夜勤で働くメリット、デメリット

シングルマザーが夜勤で働くメリット、デメリットを日勤と比較しながら確認しましょう。

※ 夜勤のメリット・デメリットについては、子どもの年齢や人数によって状況が異なることをご理解ください。

夜勤のメリット

待機期間中も働ける

保育園に応募して落ちてしまった場合、待機期間中は子どもが寝てから働くという選択肢があります。
ただし、夜間に子どもをみてくれる人が必要になるので家族と同居しているシングルマザーが望ましいでしょう。

⇒日勤の場合は?
保育園に入れなければ、働くことができません。

日中、母と子で過ごす時間が持てる

子どもが乳幼児の場合、一緒にいる時間をたっぷり作って愛情を注ぎたいと思う人も多いでしょう。
「昼間は育児に専念したい」という母親の中には、積極的に夜勤を選ぶケースも珍しくありません。

⇒日勤の場合は?
昼間働いていると、子どもとの時間をあまり持てません。

子どもの行事やママ友ランチに参加できる

昼間の時間を有効に使えるので、子どもの行事への参加やママ友とのお付き合いなども可能です。

⇒日勤の場合は?
昼間の時間は自由になりません。

夜勤は収入がいい

深夜の時給は昼間に比べて25%ほど割高になる、と言われています。
時給はそうそう変わらないため、最初から時給が高い深夜帯を希望する人も多くいます。また、勤務時間も長いので、その分稼ぐことができます。

⇒日勤の場合は?
夜勤よりも時給は安めです。

人間関係に悩む心配が少ない

多くの方が悩む職場での人間関係。夜勤の仕事は主に少人数で行うため人間関係の煩わしさは少ないでしょう。

⇒日勤の場合は?
特に女性の多い職場では派閥など人間関係が複雑になります。

夜勤のデメリット

急なシフト変更が難しい

夜間の仕事は基本的に働く人数が少ないので、子どもの病気など急に休みたくても対応が難しくなります。シフトを代わってくれる人もなかなか見つかりません。

⇒日勤の場合は?
人数がいる職場は、シフトの変更が比較的容易です。

体力的にきつい

家事や育児など昼間に活動した後で仕事をするため、体力的なしんどさがあります。特に深夜パートは睡魔と闘わなければなりません。生活リズムが逆転するため体調を崩しやすい傾向もあります。

⇒日勤の場合は?
昼間忙しくても、夜に睡眠を取れると疲労回復しやすくなります。

夜または夕方の団らんの時間帯が慌ただしくなる

夕方から夜間にかけては、一日の終わりに家族で食卓を囲みゆっくりと過ごす団らんの時間帯といえます。
夜間勤務の場合、出勤までに子どもを寝かしつけなければならないという時間の制約上、夜または夕方の時間が慌ただしく、ストレスフルになることが考えられます。子どもの勉強をゆっくりみてあげることも難しいでしょう。

⇒日勤の場合は?
夜または夕方、家族で比較的ゆっくりと過ごすことができます。

子どもに寂しい思いをさせてしまう

母親が夜不在だと、子どもに「寂しい思いをさせているのではないか」と心配になるものです。
昼間、一緒にいられる時間を大切にすれば子どもは環境に順応しますが、母親の「後ろめたさ」が自分自身を追い詰めることもあります。

⇒日勤の場合は?
忙しく働くにしても、夜勤よりは負い目が少ないでしょう。

夜に外出する危険性がある

通勤の際、特に女性にとっては夜道の一人歩きには危険が伴います。
昼間は人通りの多い場所であっても、夜間は不審者に後を付けられるなどの被害に遭うことも珍しくありません。車通勤の場合も、視界の悪さや飲酒運転の車との遭遇など、昼間よりは危険性が高くなります。

⇒日勤の場合は?
通勤の際の危険性は、夜の外出に比べて少ないでしょう。

シングルマザー向き夜間勤務の仕事一覧

次にどのような仕事があるのかみていきましょう。

看護職員

国家資格が必要な職種です。おもには日勤(朝~夕方)・準夜勤(夕方~深夜)・深夜勤(深夜~朝)のシフト制です。
人の命に関わるため、「仕事がラクな時間帯」はありませんが、専門職なので収入は高く、「人のために働く」やりがいもあります。

介護職員

一般的にはシフト制ですが、夜勤専従の職員も多くいます。夜間は少ない人数での業務になるため有資格者が求められます。
勤務時間がおおむね14~16時間(うち休憩が1~2時間)と長く、パートでも1勤務あたり20,000~25,000円の収入を得られます。その分、夜間に容態が急変した入所者への対応など、重い責任が伴います。

カラオケ店の受付

24時間営業のカラオケ店は繁閑の差が激しく、特に金曜日と土曜日の深夜帯は忙しくなります。また、受付業務といっても飲み物や食べ物のオーダー、店内清掃なども付随することがあります。
迷惑客への対処も求められることが予測されます。WEBサイトの口コミ情報などで、事前に働きやすさを調べてみるのもよいでしょう。

ファミリーレストランのキッチン・ホール

24時間営業のファミリーレストランでは、深夜の時間帯はお客さまも少ないことからキッチンに一人、ホールには一人か二人で業務を行っているところが多いようです。
勤務人数が少ないため、一旦シフトに入ると、急なことで休めないというデメリットがあります。
動きまわるので体力的にハードですが、深夜のコンビニよりは危険性が少ないといえるでしょう。

コンビニのレジ打ち

コンビニの深夜業務では一人勤務のところも珍しくありません。強盗などの犯罪に巻き込まれる可能性もあるため、多くの場合、男性を希望するようです。
体力的には楽ですが、最近ではコンビニ業務の項目が多岐に渡り覚えることが多く、簡単な仕事ではなくなりました。

宅配便の仕分け

宅配業者は、倉庫内での荷物・商品の仕分け業務を深夜に行うことがあります。仕分け業務では、台車に乗せてある荷物を所定の場所へ移動させていきます。
男性が多い職場で黙々と作業をするので、人間関係は楽なようです。ただし、体力的にはハードで腰痛や筋肉痛に悩まされる人も多くいるようです。

飲食店での接待

女性特有の仕事として、飲食店での接客業もあります。ガールズバーやキャバクラ、クラブなどさまざまなタイプがあります。
各業種の特性をよく理解し、客層や給料の相場、働く女性の年齢層などを調べた上で自分に合う職場を選びましょう。
コスメや衣装など、必要経費がかかることも考慮に入れる必要があります。

清掃員

性別や年齢不問のところが多いため、男女問わず幅広い年齢層の人が従事しています。一口に清掃といっても、オフィス、ビル、病院、商業施設、ホテルの客室など職場はさまざまです。
夜間は、なるべく女性の多い職場を選べば安心ですね。体を使う仕事の割には給料が低いですが、短時間作業も多くダブルワークに適しています。

警備員

夜間の警備は想像以上に過酷で危険を伴うため、多くの会社は男性を希望します。
特に現場系の仕事は危険な上に「夏は暑く、冬は寒い」という環境の厳しさもあります。
体を壊しては元も子もないので、どうしても夜間の警備職を希望する場合は、ビル管理系の仕事を探しましょう。

夜間勤務中における子どもの預け先

夜間勤務中、シングルマザーはどこに子どもを預けているのでしょうか?

認可保育園

保育園は、国の基準を満たすことで市区町村が認可した「認可保育園」(公立・私立)と、それ以外の「無認可保育園」に大別できます。

認可保育所の保育時間は、国の設置基準にもとづいて基本的に7~18時ですが、22時まで延長した認可夜間保育園も全国に80カ所ほどあります。
保育料は親の収入に合わせて段階別に設定され、無認可保育園に比べて安いのが特長です。

無認可保育園

認可保育園は、仕事や就学のために保育ができないと認められた保護者に限って入園の許可が下りますが、無認可保育園の場合はそういった基準を設けていません。つまり、定員に満たなければ入園は誰でも可能です。

自治体が認可した保育園のように補助金が出ないため保育料は割高ですが、保育の質は申し分ないところも多く、24時間対応している施設もあります。

家族や友人

同居あるいは近くに家族がいて自分が不在の間に子どもを見てもらえれば、非常に心強いといえます。預け費用も「感謝の気持ち」で済むかもしれません。ただし、孫を不憫に思い、親から夜働くことを責められる場合もあるでしょう。

信頼の置けるシングルマザー同士で子どもを預けあい協力する、というのもよい方法です。

ベビーシッター

24時間対応してくれるベビーシッターであれば、必要な時間に利用することができます。子どもも、施設や人の家に預けられるよりは、自宅で過ごす方が精神的に落ち着くでしょう。

まずは面談で子どもとの相性や信頼できそうな人かどうかを確認することが大切です。
料金は通常は時間単位なので、夜間や長時間の利用は高くつきますが、月額制にすると都度払いよりもお得になることがあります。

ファミリーサポート

地域の中の援助者が子育てに協力してくれる「ファミリーサポート制度」。援助を希望する保護者が会員登録し、その要望に応じて援助者を紹介してもらうシステムになっています。

預かり場所は原則援助者宅になるため、送迎が必要になります。
利用時間はおおむね6~22時となっていますが、市区町村によっては宿泊対応も可能です。

利用料金は1時間800~1,000円(時間や曜日で異なります)。ベビーシッターと比較すると、保育料はかなり安くなります。

夜間勤務中に子どもを預かってくれる仕事はあるの?

シングルマザーに対して「子育てしながら安心して働ける環境」を提供する企業や店舗が徐々に増えてきています。職種としては、旅館の仲居、看護師、介護士、ホステスなどです。

ここで、事業所内保育施設がある2社の事例を紹介しましょう。

温泉旅館「加賀屋」(石川県七尾市)

加賀屋は質の高いサービスで定評のある、日本を代表する老舗温泉旅館です。

加賀屋ではシングルマザーを積極的に雇用しており(客室係の約2割)、従業員が安心して働けるように20年以上前から事業所内保育施設「カンガルーハウス」を運営しています。

同じ建物に母子寮と保育所が併設され、夜間は夕食・入浴・就寝を済ませてからのお迎えになります。小学生には学童保育も提供しています。
 

鳥取大学医学部付属病院(鳥取県米子市)

鳥取大学医学部付属病院では、シングルマザー支援の一環として、24時間完全保育の「すぎのこ保育所」を併設しています。
すぎのこ保育所は、病児保育・病後児保育にも対応しているので、遠方から移住してきたシングルマザーの看護師さんも多数いるそうです。

まとめ

シングルマザーが夜勤を選択するとき、昼間の仕事よりもリスクが大きいことはどうしても否めません。
だからといって「夜勤はしない方がいい」というわけではなく、リスクを十分に理解した上で問題に対処すれば、昼間の仕事では得られないメリットを受けることもできるのです。

母親が「自分らしく働く」ことは子どもの幸せにもつながります。選択肢が多様化している現在、夜勤での仕事も含め、働くことで得られる「自分らしさ」とは何かを追求してみませんか?

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