シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

気になる!ひとり親家庭(母子家庭)の住宅事情

ライター 加藤良子

小学生の一人娘と完全に自分のことを人間だと思っているワンコと気ままな二人+一匹暮らしを楽しんでいるシングルマザーです。将来は日本を飛び出して二人で暖かい所に住むのが夢!シングルマザーならではの喜びや悩みを皆様と共有していきたいと思います

Photo ryoko kato

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生活の基盤となるのが住居。自分自身の仕事や子どもの教育について考えると何がベストなのか悩む方も多いのではないでしょうか? 今回は、ひとり親家庭(母子家庭)の住宅事情について、一緒にみていきましょう。

ひとり親家庭の住宅事情 

離婚後の住居の選択肢

  1. 実家に戻って同居
  2. 離婚前の住居に継続して住む
  3. 公営住宅
  4. 賃貸住宅(UR賃貸住宅、シェアハウスなどを含む)
  5. 住宅を購入

ひとり親家庭の大半が賃貸住宅

厚生労働省によるひとり親世帯(母子世帯)の住宅事情の調査では

  • 持ち家を所有している世帯:29.8%(うち11.2%は本人名義)
  • 公営住宅:18.1%
  • 公社・公団住宅:2.5%
  • 借家:32.6%
  • 実家での同居:11.0%

という割合になっています。
ひとり親世帯では賃貸物件(借家、公団、公営)に住むという選択をしている人が大半ということになります。

筆者の周りにいるシングルマザーでは

  • 実家住まい:2人
  • 離婚前の家に住んでいる:3人
  • 賃貸物件住まい:6人

でした。

ひと昔前は離婚したら実家に戻るという流れが一般的でしたが、ひとり親に対する補助金などの住宅支援が充実し、また女性の社会進出も増えてきたこともあり、賃貸物件や家を購入するという選択肢も加わったと考えられます。
また、最近は賃貸物件の種類も増え、UR賃貸物件やシェアハウスといったひとり親家庭にメリットがある住宅も増えています。

平成23年度 全国母子世帯など調査結果報告
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-katei/boshi-setai_h23/dl/h23_06.pdf 

UR賃貸物件とは?

UR賃貸物件とは、以前は公団住宅(団地)と呼ばれていた物件で、2004年に発足した独立行政法人「都市再生機構(UR都市機構)」が管理している賃貸物件です。

敷金2ヵ月分が必要ですが、礼金、仲介手数料、更新料は発生しません。また、条件を満たしていれば「子育て割」「そのママ割」など子育て世帯に嬉しい割引制度もあるので、経済的にも助かります。

入居は抽選ではなく先着順になりますが、ひとり親世帯の場合は一定の基準を満たしていれば特例の適用を受けることができます。

UR賃貸住宅
https://www.ur-net.go.jp/chintai/

シェアハウスとは?

シェアハウスは、自分の個室とは別にリビングやキッチンなど共有スペースを持った賃貸住宅です。最近はシングルマザー用のシェアハウスも増えています。

同じ境遇の仲間が近くにいると精神的に助かることも多く安心して生活できる、という体験談を聞くこともあります。シェアハウス内で子ども同士が遊ぶことも可能です。

通常よりも家賃が安いことが多く、経済的にも助かります。

ただし、ルールを守らない人や生理的に合わない人がいるなど、他人同士が同じ住居内で暮らすシェアハウス特有の問題が発生することもあります。神経質な性格の人にはあまり向いていないでしょう。

ひとり親家庭 住み方別のメリット・デメリット 

実家で同居する場合

一番のメリットは、やはり経済面です。ケースバイケースですが、家賃を支払っていない方が大半のようです。

家族にお金を入れている場合ももちろんありますが、基本的には賃貸物件の家賃よりは安く済むことが多いでしょう。公共料金や通信費などの必要経費だけでなく、食費も割安で済むと考えられます。

自分以外に子どもの面倒を見てくれる人がいるということも大きなメリットです。時間に融通が効くため、仕事を選ぶ際の選択肢も広がります。

ただ、実家に同居する場合は「児童扶養手当」を受給することができない可能性が高くなります。

また、実家に戻った場合は、世間体が気になるという意見も多いようです。世間体を気にしすぎて親との関係がギクシャクしてしまうこともあるようです。

自分のペースで生活できずストレスが溜まる、という意見もよく聞きます。心地よく生活するためには話し合いも必要になるでしょう。

離婚前の住居に継続して住む場合

シンママが離婚前の住居に継続して住むケースでは、子どもは転校する必要がなくご近所付き合いも変わらないため安心して生活できます。

ただ、近所の人すべてが離婚に好意的とは限りません。離婚に関して変な噂を流されたり、子どもに不用意に話をされたりする可能性もあります。

経済面はどうでしょうか? 引っ越しによる初期費用は不要ですが、ローンが完済していない持ち家の場合は複雑になります。
残りのローンを誰が払うのかによって金銭的な負担が大きく異なります。ローンの支払いに関連して、面倒な手続きが必要になる可能性もあります。

公営住宅に住む場合

公営住宅は家賃が安いという点が大きなメリットです。収入によって家賃の値段が決まるため、ひとり親世帯には非常に住みやすいといえます。

ただし、入居の可否は抽選制度を採用しており、タイミングや抽選結果によっては住むことができない場合もあります。特に人気がある物件に関しては倍率も高くなります。

賃貸住宅の場合

何よりのメリットは誰にも干渉されることなく、自分のペースで生活できることです。

実家暮らしの場合、食事の支度をしてもらえるかもしれませんが、時間や量、内容などに口出しできないことも多いようです。自分と子どもだけであれば、生活リズムを崩すこともなく、状況に応じて簡単に済ませることもできます。

「他に誰もいない」という環境は子どもとの関係を密接にします。仕事で忙しくても、子育ての中心は自分自身となるため、子どもとのコミュニケーションは必然的に多くなるでしょう。

一方、賃料が大きな負担となります。

また、子どもの預け先が見つからない場合、仕事内容や勤務時間に制約を受けることになります。
仕事・子育て・家事に追われて自分の時間が確保できずストレスを溜めてしまうケースも多々あるようです。

家を購入する場合

安定した収入とまとまった貯金がある場合、住宅を購入するという選択肢も考えられます。賃貸住宅とは違い「財産」として残るというのが大きなメリットです。

ローンを支払い続けるために苦労をするかもしれないという不安材料はありますが、定年するまでに完済するようにローンを組めば自分の財産になり、子どもに残すこともできます。

ひとり親が受けられる住宅支援

住宅助成(住宅補助)制度

「住宅手当」「民間住宅家賃助成制度」など自治体によって名称は異なります。また、制度自体が設けられていない場合もあるため、お住まいの地域で各自治体に確認する必要があります。

住宅助成(住宅補助)制度とは、賃貸住宅に住む場合に、月々の家賃を補助してくれる制度です。
支給金額や支給期間は自治体によって様々ですが「子どもが成人するまでの期間に月々5,000~15,000円の補助」が目安になります。

給付条件も自治体によって異なりますが、以下のような条件が設定されていることが多いようです。

  • 自治体内に住民票があり半年以上居住している
  • 自治体内の民間の賃貸住宅に住んでおり家賃を支払っている
  • ひとり親家庭で20歳未満の子どもがいる
  • 母親もしくは父親の前年の所得が一定額未満である
  • 親が離婚、どちらかが死亡または生死不明、もしくは親から1年以上遺棄されている児童がいる

[東京都武蔵野市の例]
月額1万円(家賃が1万円以下の場合は支払家賃相当額)の助成を受けることができ、支払いスケジュールは8月(4~7月分)、12(8~11月分)、4月(12~3月分)となっています。

東京都武蔵野市「ひとり親家庭住宅助成制度」
http://www.city.musashino.lg.jp/kurashi_guide/shisetsu_jigyo/1006714/hitorioya_teate_josei/1006731.html

公営住宅の当選の優遇制度

公営住宅に入居するには抽選に当選する必要がありますが、ひとり親世帯を優遇してくれる自治体もあります。優遇制度の有無はお住まいの地域の自治体に確認してみましょう。

都営住宅の場合、5月と11月に実施される募集では、当選率が一般の7倍になります。また、8月と2月に実施されるポイント方式の抽選においては、困窮度が高いほど優先してくれる制度が設けられています。

都営住宅申し込み資格
http://www.to-kousya.or.jp/toeibosyu/sikaku/sikaku2_8/p_kazoku.html

母子生活支援施設

母子指導員による就労支援や、少年指導員による学習指導があるため、新しい生活を始めるまでの仮住まいとして安心して生活することができる施設です。以前は「母子寮」と呼ばれていました。18歳未満の子どもがいる母子家庭が対象で利用料は所得によって異なります。

最近は、DVなどで危険が生じる可能性のある母子が保護されるケースが多くなっています。

社会福祉法人 全国社会福祉協議会・全国母子生活支援施設協議会
http://zenbokyou.jp/boshi/index.html 

ひとり親でも住宅ローンを組める?

答えは「YES」です。シングルマザーという理由で住宅ローンが組めないということはないので安心してください。

ローン審査は通る?

シングルマザーであることは、ローン審査にはあまり影響しません。ローン審査では「借りる金額を返済できるだけの収入の有無」「購入する物件の担保価値」が重視されます。

住宅ローン借り入れ金額の目安としては、年収の5倍以内に抑えるのが無難とされています。

金融機関によっては独自の審査基準を設けていますが、「住宅金融支援機構」の長期固定金利住宅ローン「フラット35」などは自分の借り入れ可能金額を算定してくれるサービスがあります。自分自身の借り入れ可能額が気になる方は、是非利用してみましょう。

住宅金融支援機構の長期固定金利住宅ローン「フラット35」のローンシュミレーション
http://www.flat35.com/simulation/simu_03_2_sp.html 

ローン審査に通るためのポイント

ローン審査時に最も重要視される「継続して返済できるかどうか?」を判断するためには以下のポイントが重要になります。

  1. 借入時の年齢(最低年齢20歳)と返済時の年齢(上限年齢80歳)
  2. 年収(手取り)
  3. 勤続年数(最低でも2、3年以上は必要)
  4. 業種・雇用形態(離職率が高いかどうか? 契約社員・派遣社員よりは正社員の方が有利)
  5. 債務状況・返済履歴(住宅ローン以外の借り入れがある場合)
  6. 融資可能額・返済負担率(現在の年収で計算)

信用情報の確認

住宅ローンをはじめ、各種ローンを組む際には、必ず信用情報機関に管理されている個人の信用情報データをチェックされます。
クレジットカードを持っていなかったりローンを組んだことがないという人でも、携帯電話を契約してさえいればデータが登録されています。

信用情報は自分自身で確認することも可能なので、心配な方は住宅ローン審査の前に問い合わせてみましょう。

株式会社日本信用情報機構(JICC)
https://www.jicc.co.jp/

株式会社シー・アイ・シー(CIC)
http://www.cic.co.jp/

最後に

シングルマザーは一家の大黒柱として生活を支えるために、特に生活基盤となる住宅に関しては経済的、精神的な問題も考慮しながら慎重に決める必要がありますよね。

まずは自分の収入に見合った生活となるような、子どもにとって良い環境を与えることができる住居を決めることをお勧めします。

ひとり親家庭の様々な住宅事情をお伝えしましたが、同じ境遇であるシングルマザーのみなさんはどう思いますか? 悩みを共有するためにも是非ご意見をいただけると嬉しいです。