シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

児童扶養手当 所得制限には正しい知識を持って適切な対応を!

ライター 加藤葉子

女性とシングルマザーのお金の専門家として、全国の女性よりお金の相談を受けているファイナンシャルプランナー。行政主催のマネー講座や女性ファイナンシャルプランナーの養成などでも活動中。シングルマザーで一児の母。

Photo yoko kato

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子どもが18歳となった最初の年度末、つまり高校卒業まで受給できる児童扶養手当。シングルマザーの命綱とも言われていますが、手続きが煩雑であったり、所得制限との兼ね合いで悩むことも多いと思います。

今回は、具体的な事例をあげながら受給に関する注意点や知恵をご紹介します。

児童扶養手当の受給額は毎年変動

平成29年4月時点の支給額は次のとおりです。

月額 全部支給 一部支給
児童1人の場合 42,290円 42,280~9,980円
児童2人目の加算額 9,990円 9,980~5,000円
児童3人目以降の加算額(1人につき) 5,990円 5,980~3,000円

児童扶養手当は所得と扶養している人数に応じて、全部支給、一部支給、全部停止(未支給)になります。

なお、「物価スライド制」という物価に連動した仕組みが採用されているため毎年調整され、4月にその年度の支給額が公表されます。

出典元:大阪府WEBサイト「児童扶養手当」
http://www.pref.osaka.lg.jp/kateishien/teate/jifu.html

児童扶養手当の所得制限はここをチェック

児童扶養手当の所得制限に該当するかどうかは、所得をベースに下記の計算式によって判断されます。

所得額
=年間収入金額-必要経費(給与所得控除額等)+養育費の8割-8万円(社会保険料相当額)-諸控除

「年間収入金額-必要経費(給与所得控除額等)」は、給与所得者のシングルマザーであれば、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」となり、赤枠で囲った部分となります。

また、自営業やパートなどを複数掛け持ちし確定申告をしているシングルマザーの場合は、所得税及び復興特別所得税申告書Bの「所得金額の合計」となり、赤枠で囲った部分となります。

所得制限は、基本的には子どもを育てているシングルマザーの所得で判断されますが、実家に住むなど他に同居する両親や兄弟に収入がある場合は注意が必要です。

所得制限については、同居する家族の分も含めて必ずお住まいの自治体に確認しましょう。

支給は年に3回 上手に家計管理を

離婚が成立し、お住まいの自治体で手続きを行った翌月から児童扶養手当の支給対象となります。

支払いは毎月ではなく、原則として年3回。
12月(8~11月分)、4月(12~3月分)、8月(4~7月分)に指定した金融機関の口座に振り込まれます。

「児童扶養手当を生活費に」と考えている人は、支払いが毎月ではないので注意しましょう。

シングルマザーの要望を考慮し兵庫県明石市では毎月支給の検討をはじめていますが、制度の改正はまだ決まっていません。

児童扶養手当の支給月に全額使ってしまわないように、生活費とは別の口座に振り込むか毎月引き出すなど、家計管理の工夫をしましょう。

出典元:毎日新聞 児童扶養手当 まとめ支給見直す動き 毎月支給で家計の安定を
https://mainichi.jp/articles/20170707/ddn/013/100/051000c

児童扶養手当の受給には申請手続きと現況届が必要

児童扶養手当は対象となるシングルマザーへ自動的に支給されるわけではなく、申請しなければ受給することができません。

1 申請手続き

申請手続き時には、以下のように多くの書類を揃える必要があります。

  • 児童扶養手当認定請求書(様式)
  • 請求者と対象児童の戸籍謄本または抄本
  • 世帯全員の住民票
  • その他必要な書類(印鑑、振込先の口座のわかるものなど)

お住まいの市町村によっても異なるので窓口で確認の上、手続きを行ってくださいね。事前に電話で確認しておくとスムーズです。

2 毎年8月の現況届

また、毎年8月に「児童扶養手当現況届」を提出する必要があります。
手続きをしないと、受給できなくなる(あるいは遅れる)可能性があるので忘れないように注意しましょう。

現況届は、児童扶養手当の支給金額算出に必要な前年の所得や養育費、同居家族などの確認を行うためのものです。7月にお住まいの自治体からお知らせが届きます。

児童扶養手当の現況届は直接窓口に提出する必要があります。
平日昼間に働いているシングルマザーを考慮し土日や時間を延長する自治体も増えているようですが……、早めに提出するすることをおススメします。

これ以上働いたら対象外に!仕事をセーブすべき?

「これ以上働くと所得制限で受給対象からはずれてしまう!」「手当が減るなら、頑張って働く必要はない?」など、働き方をコントロールした方がよいのでは? と考えてしまうシングルマザーから質問を受けることもあります。

児童扶養手当の所得制限は他の手当より厳しいと考えているので、悩む気持ちもよくわかります。
ただ、今後のキャリアアップや家計のことを考えると、仕事を制限することは「もったいない!」と感じます。

そこで、シングルマザーに知っていただきたい対策方法をお伝えしたいと思います。

「所得制限が気になる!」という方への対策例

  • 年間20万円未満の副業をする
  • 個人型確定拠出年金に加入する
  • 自営業(個人事業主)は小規模企業共済に加入する

たとえば、パートで働いているシングルマザーが知り合いの仕事の手伝いで15万円の謝礼をもらったとします。

謝礼も立派な収入なので本来ならば確定申告をしなければなりませんが、年間20万円未満であれば確定申告をする必要はないのです。

つまり、家計に対してプラスの収入であっても申告書類上の所得には影響しないため、児童扶養手当は減額されません。

また、個人型確定拠出年金や小規模企業共済は所得制限の計算式の「諸控除」に該当します。

確定拠出年金については、「確定拠出年金どうする? 母子家庭が加入するメリットとデメリット」で紹介しているので参考にしてくださいね。

上記は一例です。まずは情報収集からはじめましょう。

養育費を貰うと・・・

「養育費を貰うとと手当が減ってしまう……」

養育費の約8割が児童扶養手当の所得として計算されるため、児童扶養手当との兼ね合いで養育費に対して消極的になっているシングルマザーもいます。

しかし、養育費は子どもの権利でもあるのです。

離婚した相手に支払い能力があるなら、家計面や子どもへの影響を考え養育費は支払ってもらいましょう。

色々な事情はあるかと思いますが、児童扶養手当の支給の減額を避けるという理由で子どもの権利である養育費を諦めないでくださいね。

まとめ

児童扶養手当はシングルマザーにとって心強い味方です。上手に活用しながら自分なりに工夫をして安定した生活基盤を作りましょう。

所得制限については色々悩むところもあると思いますが、正しい知識を身につけ今後の生活に何がプラスになるか考えながら働き方を選択していきましょう。