シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

母子家庭が利用できる職業訓練 上手な活用方法は?

ライター 山木三千代

キャリアカウンセラーとして年間1,000人以上のシングルマザーの就職をお手伝いしています。私自身も4人の子育てと仕事を両立させながら収入をあげるため、多くの転職を経験。そのノウハウをお伝えします。

Photo mitiyo yamaki

Job training s

今回は母子家庭の職業訓練についてお伝えしたいと思います。

収入アップや安定した収入を目指し、資格取得やスキル向上を考える方も多いのではないでしょうか?
資格取得には時間と労力とお金がかかりますよね。時間と労力は何とかなりそうだけど金銭的な問題は解決できそうにない、そんな時に助けになるのが公的施策です。

母子家庭自立支援給付金事業

母子家庭自立支援教育訓練給付金

資格取得などのために講座を受講した経費の一部を支給してくれる制度です。雇用保険制度の一環として支給される一般教育訓練給付よりも支給額が高くなっています。
ただ、実施していない自治体も一部あります。お住まいの地域に「福祉事務所」があるかどうかを厚生労働省のWEBサイトで確認してみてください。

対象者

母子家庭の母又は父子家庭の父であって、児童(20歳に満たない者)を扶養し、以下の要件を全て満たす方。

  • 児童扶養手当の支給を受けているか又は同等の所得水準にあること
  • 雇用保険法による教育訓練給付の受給資格を有していないこと
  • 就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場の状況などから判断して、当該教育訓練が適職に就くために必要であると認められること

対象となる講座

  • 雇用保険制度の一般教育訓練給付の指定講座
  • 都道府県などの長が地域の実情に応じて指定した講座

支給額

対象講座の受講料の6割相当額(上限20万円)。ただし、6割相当額が12千円を超えない場合は支給されません。
雇用保険の受給資格があり、一般教育訓練給付(費用の2割:上限10万円)の支給を受ける場合は差額が支給されます。

申込方法

お住まいの地区の福祉事務所に「事前相談」に必ず行ってから受講してください。事前相談がない場合、制度が受けられないこともあるので注意が必要です。

※「母子家庭自立支援教育訓練給付金」はハローワークでは取り扱っていません。勘違いしている方も多いようなので、気をつけてくださいね。

厚生労働省 母子家庭の母等の自立支援関係事業の実施状況等(平成25年度実績)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000075225.pdf

教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム
http://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/SCM/SCM101Scr02X/SCM101Scr02XInit.form

高等職業訓練促進給付金

看護師や介護福祉士、保育士など国家資格を取得するための養成機関を受講している間、生活の負担軽減のために助成してくれる制度です。

一般市町村の実施率は94.1%となっていますが、実施していない自治体も一部あります。お住まいの地域に福祉事務所がない場合は、都道府県に直接問い合わせてみましょう。

対象者

養成機関において修業を開始した日以降において、次のいずれにも該当すること。

  • 児童扶養手当に支給を受けている又は同等の所得水準にあること
  • 養成機関において1年以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれること

対象資格

就職の際に有利となる資格であって、法令の定めにより1年以上のカリキュラムが必要とされている中から都道府県知事が定めることになっています。

例)看護師・准看護師・保育士・介護福祉士・理学療法士・作業療法士・調理師・製菓衛生師など

支給額・期間

修業する全期間において支給されます(上限3年)。

  • 住民税非課税世帯:月額100,000円
  • 住民税課税世帯:月額70,500円

修了支援

1年以上の養成機関において修業をすべて修了した後、支給されます。

  • 住民税非課税世帯:50,000円
  • 住民税課税世帯:25,000円

申込方法

お住まいの市町村の子育て関連窓口での事前相談が必ず必要です。多くの自治体では、保育園などの申込をする担当課に相談員がいます。
なお、戸籍謄本、住民票、所得証明などの書類も必要になります。申込前にきちんと確認しましょう。

専門実践教育訓練給付金

あまり知られていませんが、この制度と併用することができる「専門実践教育訓練給付金」制度もあります。雇用保険に2年以上加入していれば利用できる可能性が高いので、ご自身にとって有利な制度を選択してください。

対象の資格は、看護師・美容師・歯科衛生士・介護福祉士・社会福祉士を始め多岐に渡ります。指定校が少ないというマイナス要素はありますが、受講できる方にとっては大変よい制度だと思います。

ハローワーク 専門実践教育訓練の給付金のご案内(「専門実践教育訓練給付金」と「教育訓練支援給付金」の申請手続き)
https://www.hellowork.go.jp/dbps_data/_material_/localhost/doc/senmonkyouiku_kyufu.pdf

厚生労働省 専門実践教育訓練の指定講座を公表しました
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000149660.html

公共職業訓練(離職者訓練・求職者支援訓練)

高齢・障害・求職者雇用支援機構や都道府県が行う離職者向けの職業訓練です。ハローワークが受付窓口となっており、様々な訓練内容が用意されています。

入学資格

ハローワークで求職登録をしていること

離職者訓練と求職者支援訓練では、入学資格が少し異なる場合もあります。一般的に離職者訓練は雇用保険受給資格を持っている方、求職者支援訓練は雇用保険受給資格のない方をそれぞれ対象としています。

訓練相談窓口で受講の必要性が認められれば、対象でなくともそれぞれの訓練に申し込むこともできます。ハローワークの職業訓練窓口で相談してください。

受講費用

無料(教科書・教材費などが必要な場合もあります)

給付金

離職者訓練(雇用保険受給資格有)
雇用保険の日額+受講手当(500円:地域などにより変動有)+通所手当(1,000円:地域などにより変動有)が講座終了まで支給

求職者支援訓練
受講手当月額:100,000円
通所手当:訓練実施期間までの交通費(上限規定有)

※同居家族も含めた収入制限があります。

申込方法

ハローワークの職業訓練窓口で相談と申込をします。

厚生労働省 ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/rishokusha.html

自治体独自実施の職業訓練

都道府県や政令指定都市、中核市などで独自に実施している訓練もあるので、地元の情報にもアンテナを張っておきましょう。

例えば、東京都では子育て中のママのための「パソコン教室」が開催されており、託児付きで10~15時の5日間かけて基礎スキルを学べます。

就職用のメイクアップ講座や応募書類作成のセミナーも自治体主催で行われていることが多いようです。

厚生労働省:公共職業訓練コースの検索について
(各都道府県の訓練を検索できます)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/jarnal/tokusyu/2009_04.html

母子家庭の職業訓練 上手な活用方法

一言で「職業訓練」と言っても色々な内容があります。資格取得向けの訓練もあれば、スキルを習得するだけのコースもあります。どちらにしても、選択する際にはよく考えてほしいと思います。

受講を検討する際に必ず考えていただきたいのは、以下の3点です。

1.その資格を取得したあと、その資格を必要とする仕事の内容や働き方・収入などが、自分自身の希望や未来像と合っているかどうか?

例えば、人気の医療事務資格を取得して就職した場合、平均年収は地域によりますが180~300万円。昇給もあまりないようです。資格取得までの時間と労力を考えると、あまりお薦めできません。


2.その職業訓練修了により資格取得となるのか? 修了後、資格取得検定受験が必要なのか? 必要な場合の合格率が現実的なのかどうか?

保育士養成学校であれば卒業と同時に資格取得できますが、保育士国家資格受講のための訓練であれば国家試験を受ける必要があります。その試験の合格率は一次試験で10~20%となっています。このような点も見極めて受講してください。


3.職業訓練はいずれも「出席率」が非常に厳しく設定されており、基本的に休んだ場合の補講はありません

80%の出席がないと資格取得ができないだけではなく、途中で退校処分となる講座がほとんどです。「やむを得ない理由」での欠席に子どもの病気は入っていません。このため、保育園など以外で病気の子どもを預ける環境が必要となることもあるでしょう。

気になる職業訓練がある場合は相談を

シングルマザーの就職・転職には資格取得やスキルアップはとても有効な手段だと思います。
どの職業訓練もハローワークや福祉事務所での相談が基本となっているので、気になる方は専門の相談員に相談してみましょう。貴女に合ったスキルアップの方法を教えてくれるはずです。

子どもとの明るい未来を手に入れるために、この情報が役立つことを願っています。