親の離婚 子どもの気持ちは?環境が変わっても健やかに育ってほしい
ライター 飯野馨巳(なおみ)
夫婦問題専門カウンセラー歴11年。4年以上悩み、子どもが3歳で離婚→好条件で円満離婚をし養育費をもらい続けている。離婚後子どもが黒い絵を描くように。この全ての経験を活かし、相談者の気持ちがわかるカウンセラーとして活動中。

離婚を考えているママにとって、子どものことが一番の気がかりではないでしょうか?
今回は子どもが3才の時に離婚をした私の経験も踏まえて、離婚時の子どもの気持ち、そしてその影響についてお伝えしたいと思います。
離婚が子どもに与える影響は?
プラス面
離婚は子どもにとってよくないのでは? と考えるママは多いと思いますが、実は悪いことばかりではありません。
夫婦喧嘩の時に子どもが自分に意識が向くように話しかけてきた、という経験はありませんか? 子どもにとって親の喧嘩を見るのは辛いことです。喧嘩状態を長く続けるのは子どもにとって決してよい環境ではありません。
いつも親の顔色ばかり気にしている状況から解放されるのは、子どもにとって悪いことではない、とも考えられます。
また、ママがいつも忙しくしていることを子どもはきちんと見ています。子どもは基本的にママの応援団なので、「ママの力になりたい」「自分がしっかりしなくては」と、優しく、そして自立心が育つこともあります。
親の離婚という試練を経験した故に、人の痛みがわかるようになることもあります。
【私の息子(3歳)の場合】
私が仕事で疲れてお米を深夜に研ぐ日が続いたある日、息子が「お米を研いでセットしておいてあげるから寝ていいよ」と嬉しい言葉をかけてくれて、その後しばらくの間、息子がお米を研いでくれました。
子どもはママが仕事をしないと生活ができない現実も理解しています。だからこそ、「助けてあげたい」という気持ちが芽生えるのではないでしょうか。
マイナス面
離婚した家庭に対してネガティブな印象を持っている人は意外といるので、子どもが心ない言葉で傷つくこともあります。
また、「寂しい」「不安」などの気持ちを感じながら過ごしている子どもも少なくありません。
学校で問題を起こした子どもと話をすると、「自分を見てほしい」「かまってほしい」と思っていると感じることがあります。「殻に閉じこもってしまい自分を発揮できない」「自尊心が低い」という子どももいます。
ただ、離婚は子どもにとってマイナス面も確かにありますが、コミュニケーションを取るなどちょっとした気遣いで改善できることの方が多いので、あまり神経質になる必要はないでしょう。
【私の息子(3歳)の場合】
離婚後、私の息子は「他の子どもをひがむ」ようになってしまいました。
家族で楽しそうにしているのを見かけると理由もなく殴りかかるようになることもあり、真っ黒い絵を描くようにもなりました。
「どうして、こんな風になってしまったの?」と私は本当に悩みました。
「本当はパパと一緒にいたい」けど「どうにもならない現実」も理解しているので気持ちを必死に抑えている……。そのストレスが「ひがむ」「黒い絵を描く」ようになってしまったのではないか、という結論に至りました。
このような思いも寄らないことが離婚後に起こる場合があります。
一番大切なのは、何か問題が起きた時に、目を背けずその都度対応していくことだと私は思っています。
ちなみに、私がある行動を取ったところ息子は元の心をとり戻りました。
どのようなことをしたかは、「子どもへの接し方」のところでお話したいと思います。
親の離婚を子どもはどう感じているの?
子どもの気持ちは、それまでの家庭環境や年齢によって大きく異なります。
モラルハラスメントも含めママが暴力を受けている、もしくは子どもが暴力を受けている場合については、年齢に関係なく離婚に対して前向きに考える子どもが多いでしょう。
基本的には親の離婚を望まない子どもの方が多く、特に小さい子どもの場合は「親が離婚をしたのは、自分が悪かったのではないか」と責めてしまうこともあります。
ただ、親の離婚を望まなかった子どもも、時間が経つにつれ受けていていくようになる傾向があるようです。
また、子どもにとって学校や住む場所が変わることは大きな問題です。新しい生活への不安を抱えている子どもは本当に多い、と感じています。
父親を失うことに不安を感じている子どもも少なくありません。
子どもは別れて暮らす父親からも優しくしてほしいと願っていますが、両親の喧嘩を見ているので、ママの気持ちを察してそのことを口に出して言えない子どももいます。
子どもの気持ちを聞き出し、そして、環境への配慮をすることが大切でしょう。
【私の息子(3歳)の場合】
私が離婚のことを息子に話をした時のことです。泣きながら「ママとパパは、仲良しでなくてもいいからバイバイしないでほしい」と言われました。
3歳の子どもにも「離婚はしないでほしい」というしっかりとした意思はあったのです。その後毎晩、私は息子と寝る前にベッドの中で話し合いをしました。
「ママ! 僕、考えたんだけどね。家の中であまりお話をしないようにすればいいんじゃないの?」など、息子なりに一所懸命に考えた解決方法を寝る前に私に話してきました。
この息子とのやりとりにかなりの時間をかけました。そして、ある日、涙を流しながら「パパとママはバイバイしていいよ」と言ってくれたのです。
息子が小学校の中学年の頃「ママがあの時に僕に話をしてくれてよかった。もし話をしてくれなかったらママのことを嫌いになっていたかもしれない」と言ったことを覚えています。
離婚時の家庭の事情によって子どもの気持ちは色々異なりますが、その時に、親として「子どもと、どう向き合ったのか」が離婚後の子どもに影響するのではないでしょうか。
離婚後の子どもの接し方で注意したいこと
面会交流
離婚後の父親との面接交流権について子どもはどう思っているのでしょうか?
離婚前の父親との関係からも影響を受けます。虐待を受けていた子どもは会いたくないと考える傾向にありますが、多くの子どもは離婚をした後も父親に会いたいと思っています。
また、父親が本当は子どもと会いたいと思っていないことが伝わってしまうと、子どもをかえって傷つけることにもなります。
家庭問題情報センターの調査によると
- 面接交流権があった41人のうち31人が「良かった」
- 父親と会っていた子どもが「自分を愛してくれているのが肌で感じられた」「精神的な支えになった」
と答えています。
「子どもが父親と会いたくないと言っているので会わせない方がよいですか?」と相談を受けることがありますが、私はこの質問への回答にはいつも神経を使います。
なぜなら、子どもの本音の時も確かにあるのですが、ママの気持ちを察して本当の気持ちを伝えていないこともあるからです。
子どもにとっては、たった一人の父親です。
離婚をした時には特に思わなくても、成長するにつれ、「今どうしているのだろうか?」など、考えるようになる子ども少なくありません。
別れた父親が自分のことを「愛していないのでは?」と考えてしまう子どももいます。
離婚後の父親との関係は、子どもと話し合い、子どもの気持ちを優先して決めることが大切になるでしょう。
【私の息子(3歳)の場合】
ここで「離婚が子どもに与える影響」の章で述べた、「他の子をひがむようになり、黒い絵を描くようになった」息子に私が取った対応方法をお伝えしたいと思います。
父親と自由に連絡を取れる環境を整えました。電話のワンタッチダイヤル機能1番に父親の番号を入れ、息子が一人でいつでも連絡ができるようにしたのです。
息子は父親に頻繁に電話をするようになり、予定が合えば毎日でも父親と会うようになりました。
私は事情があるから離婚をしているわけです。それなのに毎日のように顔を会わせないといけない状況になり、精神的に本当に辛かったです。
ただ、私も時間が経つにつれ、子育てをするパートナーとして離婚をした夫を考えるようになり、今では進学のことなど相談し合える関係になりました。
息子は元の息子に戻り、黒い絵も描かなくなりました。
親同士の悪口
両親が離婚をした子どもの多くは「親同士の悪口は聞きたくない」と思っています。
大きい子どもであれば、両親が離婚をした事情もある程度理解できると思うのですが、それでも、子どもにとってはどちらも親なので、ネガティブなことは聞きたくないと思っています。
夫婦問題のカウンセリングをしていると、親子関係が、その方、もしくはお相手の今に影響を与えていると感じることがあります。
自分の子どもの幸せを考えた場合、父親のネガティブなことは口にしないほうがよいでしょう。
子どもとのコミュニケーション
シングルマザーは、仕事、家事、子育てとやらなければいけないことが数多くあります。家にいても忙しく動きまわっていることが多いのではないでしょうか?
子どもがママに話しかけても、何かをしながら話を聞いてしまうこともあります。
私もそうでした。そのような状態が続くと、学校のことなど少しずつ話をしなくなってしまい、「子どもが今何をして、どんなことを思っているのか」わからなくなってしまいます。
シングルマザーは本当に忙しいと思いますが、できる限り子どもとのコミュニケーションの時間を作るよう心がけましょう。
参考元:離婚した親と子どもの声を聴く 公益社団法人 家庭問題情報センター
http://www1.odn.ne.jp/fpic/enquete/report.html
まとめ
両親の離婚は子どもにとって大きな問題です。子どもの思いを聞き、「親としてどう配慮してあげるべきか」を考えてあげることが大切だと考えます。
「離婚」が子どもにとってネガティブなものになるか、ポジティブなものになるのかママの意識しだいだと思います。
ママがいつも前向きに頑張っている姿を見せてあげられれば、きっとママの応援団になってくれるでしょう。