シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

雇用助成金とは?母子家庭と関連はあるの?

ライター 山木三千代

キャリアカウンセラーとして年間1,000人以上のシングルマザーの就職をお手伝いしています。私自身も4人の子育てと仕事を両立させながら収入をあげるため、多くの転職を経験。そのノウハウをお伝えします。

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母子家庭の母(父子家庭の父)を雇うと会社にお金が入るらしい……、と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか? それは「雇用助成金」のことを指します。

雇用助成金は事業所への助成金なので、シングルマザーには支給されません。今回の記事は転職就職に関する基礎知識の一つとして読んでくださいね。

雇用助成金とは

雇用助成金は、事業所が従業員の雇用を守るため、雇用を促進するために設けられた施策です。助成金は多数あり、頻繁に改定もされています。

詳細は厚生労働省のWEBサイトに掲載されていますが、身近な助成金を一部抜粋してみましょう。

1.雇用調整助成金

特別な景気の変動や特別な経済上の事情が生じた場合に、事業所が雇用を守るために実施する休業や職業訓練のために、事業所に助成される施策。

例えば、地震などの大災害による急激な景気低迷や事業縮小がやむなく実施されたときに、従業員を解雇するのではなく、一時的に休業したり職業訓練を受けるための助成金です。

2.特定求職者雇用開発助成

特定就職困難者コース

母子家庭の母(父子家庭の父)や高齢者などを雇用するにあたって、一定の要件を満たしている事業所が受けられる助成金です。

長期不安定雇用者雇用開発コース

過去10年間に5回以上の転職を繰り返した人を雇用するにあたって、一定の要件を満たしている事業所が受けられる助成金です。

トライアル雇用助成金(一般コース)

一定の雇用困難な状態にある方が、正社員で未経験の仕事に就くことを希望している場合、その雇用にあたって事業所が受けられる助成金です。以前は母子家庭の母や既卒者などに分かれていましたが、現在はこの助成金に統一されています。

3.両立支援助成金

事業所内保育施設コース

事業所内の保育施設を設置・運営するための助成金です。

4.キャリアアップ助成金

正社員化コース

有期雇用の従業員を正規雇用労働者に転換する際に、要件を満たすことで事業所が受けられる助成金です。

人材育成コース

有期契約労働者(契約社員・パート・アルバイトなど)に職業訓練を実施する際に、要件を満たすことで事業所が受けられる助成金です。

厚生労働省 事業主の方のための雇用関係助成金
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index.html

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

雇用助成金の中で、シングルマザーに一番関係が深いのは「特定求職者雇用開発助成金」です。

ハローワークなどで求人に応募する際に、「採用されたら母子家庭の母であることを企業さんにお伝えしてもよろしいですか?」などと確認されたことはありませんか? 

特定求職者雇用開発助成金は、母子家庭の母(父子家庭の父)や障がい者、高齢者などを雇用する事業所に、一定の要件を満たすことで支給される助成金です。

現時点での特定求職者雇用開発助成金は下記の7コースです。

特定就職困難者コース 高年齢者・障害者・母子家庭の母等の就職困難者を雇い入れる場合
生涯現役コース 65歳以上の高年齢者を雇い入れる場合
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース 発達障害者または難治性疾患患者を雇い入れる場合
3年以内既卒者等採用定着コース 学校等の既卒者、中退者が応募可能な新卒求人・募集を行い、新たに雇い入れる場合
障害者初回雇用コース 障害者を初めて雇い入れる場合
長期不安定雇用者雇用開発コース 長期にわたり不安定雇用を繰り返す者を雇い入れる場合
生活保護受給者等雇用開発コース 自治体からハローワークに就労支援の要請があった生活保護受給者等を雇い入れる場合。

要件や支給金額について

事業所が満たすべき要件や求職者の条件も、きちんと決まっており、全ての要件を満たした場合に支給されることになっています。

対象となる要件

  1. ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
  2. 雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であると認められること

事業所の支給要件

  1. 3年以内に不正受給をしていないこと
  2. 前年度の労働保険料を納付していること
  3. 1年以内に労働関係法規の違反がないこと
  4. 性風俗関連営業等でないこと
  5. 暴力団関係事業所でないこと
  6. 支給決定時に倒産していないこと
  7. 不正があった際に事業主名の公表に同意していること

支給額

(母子家庭の母を雇い入れた時に受け取れる助成金)

  • 短時間労働者以外:60万円(2期に分けて30万円ずつ 3ヶ月・6ヵ月)
  • 短時間労働者:40万円(2期に分けて20万円ずつ)

コースによってこの他にも色々な要件があります。
厚生労働省などのWEBサイトで確認してみてくださいね。

助成金を利用している企業の求人

特定求職者雇用開発助成金を利用している求人情報は特別に出ているわけではなく、上記の要件を全て満たしていれば全ての事業所の求人が助成金の対象になります。この助成金を利用している事業所は多数あります。

ただ、助成金の支給を目的として母子家庭の母が採用されることは残念ながらあまりないようです。
助成金が支給されることを目的として雇用する企業=良い企業と連想しないですよね? この助成金のことはあまり意識せず求人情報を探しましょう。

厚生労働省 各雇用関係助成金に共通の要件等
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000158757.pdf

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

正社員での経験がない、学校卒業後就業できていないなど様々な理由で、安定的な就職が困難な求職者について、一定の期間(3ヶ月が主)試用雇用を実施することで適性や可能性を見極めてから正規雇用につなげる際に支給される助成金です。

支給要件

1.ハローワークで紹介された日に下記の全てに該当しないこと

  • 安定した職業に就いている者
  • 自営業をしていない者、かつ1週間当たりの実働時間が30時間以上の者
  • 学校に在籍にしている者
  • トライアル雇用期間中の者

2.次のどれかに該当すること

  • 紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望している
  • 紹介日において学校を卒業以降3年以内である者であって、卒業後安定した職業に就いていない
  • 紹介日前2年以内に、2回以上離職又は転職を繰り返している
  • 紹介日前において離職している期間が1年を超えている
  • 妊娠、出産又は育児を理由として離職した者であって、紹介日前において安定した職業に就いていない期間(離職前の期間は含めない。)が1年を超えている
  • 紹介日において就職支援に当たって特別の配慮を有する(ここに母子家庭の母が含まれます)

支給額

(母子家庭の母の場合)
1人1か月5万円×3ヶ月

トライアル雇用を利用した求人

トライアル雇用はハローワークの紹介でのみが助成金の対象となります。上記以外にも、明細な規定が多くあります。

応募する側にとっても非常に細かい規定があり、応募する際にいくつかの書類の提出や記入が必要となっています。

雇用後は3ヶ月間の有期雇用契約となり、その間に仕事に向いているかどうかを見極める時期が設定されます。

その後の正規雇用への移行は必ず約束されたものではなく、3ヶ月で雇用が終了しても事業所へのペナルティーはありません。

事業所は3ヶ月間のトライアル計画書を作成し、その計画に則ってトライアル雇用者を教育、育成することが必要とされているので、助成金を受けるには多くの手間もかかります。

トライアル助成金の支給額はあまり高くはありません。また、事業所の助成金の特長として、一部を除き併用して受け取ることができません。
支給額を比べるとわかりますが、先出の特定求職者雇用開発助成金の方が支給金額は大幅に高く手間がかからないので、トライアルを利用する事業所はあまりないようです。

ただ、未経験者でも一般の求人にも応募できます。未経験=トライアル雇用と必ずしも結びつける必要はありません。

補足:キャリアアップ助成金

シングルマザーに関連する雇用助成金を中心にお伝えしましたが、「キャリアアップ助成金」を上手に活用して従業員のスキルアップや健康管理をしている事業所もあります。シングルマザーに限定された助成金ではありませんが、「働きやすい環境を整えている」目安になるでしょう。

この助成金も利用しているかどうかは確認できませんが、面接などでは会社の教育システムなどを質問してみてくださいね。

厚生労働省 キャリアアップ助成金
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html