シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

無職のシングルマザー キャリアアップの方法は?

ライター 山木三千代

キャリアカウンセラーとして年間1,000人以上のシングルマザーの就職をお手伝いしています。私自身も4人の子育てと仕事を両立させながら収入をあげるため、多くの転職を経験。そのノウハウをお伝えします。

Photo mitiyo yamaki

No118s

昭和時代のお母さんの多くは専業主婦でした。この記事の読者のお母さまも専業主婦だった方が多いのではないでしょうか?

今もお子さんの年齢が小さいほど専業主婦率は高いようですが、専業主婦は減少し働くママが増えています。

また、男性の給料だけで一家を支えるのが難しくなっている、という状況もあります。
自殺者の7割が男性、引きこもりも7割が男性という、先進国では珍しい男性のストレス値の高い社会であることも浮き彫りになってきています。

男女ともに働く環境や家庭を維持することが大変なようです。

このような時代も反映してか、「専業主婦で10年以上子育てに頑張ってきたのに、夫からある日突然離婚を突き付けられた」という相談が最近増えてきていると感じています。

専業主婦でブランクがあり子どももまだ手のかかる年齢の場合、シングルマザーとして必要な経済力が全くない、ということになります。

そのような状態で、子育てをしながらでは働きやすいとは決して言えない今の社会に放り出された方の、不安や孤独、恐怖心は想像を絶するものでしょう。

夫からの離婚でなくても、DVや夫の不貞、金銭問題などで結婚生活の継続が難しいことも少なくありません。専業主婦の場合、DV被害を受けても経済的理由をもとに離婚しない人が7割以上と言われています。

ただ、「どうしていいかわからない」「仕事がないので離婚できない」などの理由で、ご自分の人生をあきらめてはいけません。

厳しい状況から力強く立ち上がったシングルマザーも多くいます。

40代10年間の仕事のブランクのあったAさんの場合

大学卒業後、大手金融機関に勤務。結婚願望がなかったので、役職もついてバリバリ働いていました。30代後半になってか、結婚話が突然持ち上がり、妊娠出産。

高齢出産での子育ては、それなりに充実していました。夫が家庭に入ることを望んでおり、金銭的余裕もあったので自然に専業主婦に。

結婚から約8年たったある日、夫から離婚を突き付けられました。退職して10年。働くなんて考えたこともなかったのに、離婚なんて……。子どもと二人の生活費を稼ぐことなど、絶対にできないと思いました。

行政の窓口相談に行っても、これといった解決策は得られませんでした。泣いてばかりの毎日が続きます。

でも、「働かないわけにはいかない!」と、気持ちを切り替えて友達に相談。まずは、子どもを幼稚園から保育園に転園させるように勧められます。

「え? 楽しく通っている幼稚園をやめさせるなんてできない。かわいそう!」と彼女は思ったそうです。その時、「じゃあ、ママが働けなくて子どもと路頭に迷うことになっても、かわいそうじゃないのね?」と聞かれたそうです。

どちらかを比較して選択しなければならない立場にいることに、気づいていなかったんですね。

Aさんは迷うことなく保育園探しを始めました。幸いにも近所の保育園に入ることができ、仕事を始められるようになりました。

あれから3年。今では、時短ながら正社員として働いています。

20代中卒で水商売の経験しかなかったBさんの場合

まだ20代のBさんは、夫のDVから着の身着のまま逃げてきました。若いころ働いていた水商売で知り合った同じ年の夫は、典型的なDV夫でした。

高校も卒業できず水商売しかしたことのなかったので、Bさんは「働けるはずがない」と思い込んでいました。「雇ってくれる会社なんかないですよね?」と相談に来て泣いていました。

「まだまだ若いのだから、これからいくらでも取り返せますよ」との言葉を信じてくださり、就職活動を開始しました。

ただ、職業経験がないので選択肢を見つけることが一人ではできません。イメージできる仕事もテレビで見たことのあるようなものばかりです。

そのような状況だったので、Bさんには社会を体験することからステップを踏んでもらうことにしました。

仕事探しを企業のアルバイトのみに絞りました。「企業で週3日・1日5時間くらいの仕事ができるなら、どんな仕事でもチャレンジしてみる」ことを最初の目標にしました。

具体的には、テレアポやデータ入力、介護助手や配達などの業務を中心に探しました。就業の簡単な接客は選ばないようにしました。

近所の会社でテレアポの仕事が見つかりましたが、「1日5時間・週3日」でも、初めての経験は辛かったようです。

1年続けてパソコン操作にも慣れ、ビジネス的な言葉遣いで電話対応ができるようになったBさんは、事務職に転職、フルタイムで働いています。

これからもスキルアップして、「正社員で働けるようになりたい」と日々努力を続けています。

40代15年以上の仕事のブランクのあったCさんの場合

40代になってから突然離婚することになったCさん。それまでは、「絵にかいたような専業主婦ぶりだった」と本人が話していたほど何不自由なく暮らしていたそうです。

夫の会社が傾いたことで家庭内でも行き違いが多くなり、離婚を選択することに。

実家に戻ることができたので、ご両親に助けてもらいながら新しいスタートを切りました。子どももお金のかかる年齢でしたが、養育費はしっかりもらえることになりました。

生活にすぐに困ることはなく「今までの生活レベルを落としたくはない」ので、給料もよくそれなりの企業の正社員にしか応募するつもりはありませんでした。

書類を送っては返送される、ということが約1年続きました。この時になってやっと「これでは就職できないのでは?」と不安になったようです。

40代でブランクが15年以上ある状態での就職はそう簡単ではありません。そのことをCさんは知らなかったのです。初めてそのことを実感し再スタートしました。

まずは、自分のプライドとセルフイメージを一旦捨てることから始めました。

働けることを最優先にしたときに、介護の仕事なら自分の年齢でも採用されると知り、迷うことなく応募しました。

時間的にも体力的にも、いきなり「フルタイム、夜勤あり」では難しいので、「パートで日勤のみ」の職場で勤務を開始しました。

思っていたよりも「仕事ができる自分」に驚いており、今は介護福祉士の資格取得ができる実務経験3年を目指して頑張っています

最後に

いかがでしたか? 三名とも、私がご相談を受けた専業主婦から離婚した人の実話(一部修正してあります)です。

この方たちに共通しているのは、何だと思いますか? 

それは「柔軟性」です。「視野の広さ」とも言えると思いますが、自分のこだわりは一旦横に置き、最善の道を選択するために自分自身を変化させる力です。

専業主婦から始めるシングルマザーは本当に大変です。ただ、大変ですが、できないことではありません

自分自身を変化させられれば、「以前どうだったか」はあまり関係ないようです。目の前にやってくるピンチにもチャンスにも、自分自身を柔軟に上手く合わせていける方には必ず「運」も味方します。

この記事が、離婚を「せっかくのチャンスだから」と考えて、大きく前進していく方のヒントとなればと思っています。一人でも多くの方に新しいチャンスが訪れますように。