シングルマザー(母子家庭)の暮らしを「ちょっとずつ」良くする

2016年版 母子家庭の生活保護事情

ライター 森本由紀

1児の母。12年の結婚生活を経て40代で離婚しシングルマザーに。現在は行政書士・カウンセラーとして活躍するかたわら、ライターとしても執筆活動を行っています。

Photo yuki morimoto

243 00

生活保護につきまとうマイナスイメージ

243-04

生活が苦しいシングルマザーなら頭をよぎることもある「生活保護」。けれど、実際には生活保護申請をためらってしまう人が多いのではないでしょうか? 不正受給のニュースを聞くと、生活保護をもらうだけで世間から批判されるような気にもなってしまいます。追い打ちをかけるように、政府は2017年頃までに住宅扶助費などの生活保護予算を削減する方向を打ち出しています。こうしたことから、現在は生活保護に対して後ろ向きに考える人が、ますます増えているようです。

そもそも生活保護とは?

日本では、国民の誰もが「健康で文化的な最低限度の生活」を送る権利があると定められています(日本国憲法25条)。けれど、働いたり資産を活用したりしても、最低限度の生活が送れない人もいるのが現実です。そうした人のために国が用意しているのが、生活保護制度。生活保護制度を利用することは、国民に与えられている正当な権利です。

わが国の生活保護利用率は低い

日本では生活保護があまり活用されておらず、生活保護受給資格を満たす人の2割程度しか利用していないと言われています。日本の生活保護利用率は、諸外国と比べても極めて低いのが実情です。

生活保護は本当に必要な人に行き届いていない

生活保護と言えば、近年は不正受給のイメージが横行しているため、ますます利用するのをためらう人が増えています。しかし、実際には不正受給額の割合は全体の1%に満たない程度。生活保護を受けるべき人が躊躇する必要はないのです。

参考:日本弁護士連合会 生活保護Q&Aパンフレット「今、ニッポンの生活保護制度はどうなっているの?」(PDF)
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatuhogo_qa.pdf

 

働いても十分な収入が得られなければ、生活保護を検討しましょう

243-02

生活保護を受ける=働かなくても良い、ということではありません。実際に、働いているけれど最低生活費に満たない収入しか得られないため、生活保護を利用している人はたくさんいます。シングルマザーの場合、生活が苦しいからとむやみに仕事のかけもちをして身体をこわすよりも、生活保護を受けながら子どもを立派に育てることを考えましょう。

持ち家や車があったら、生活保護の受給は無理なのでは?

生活保護を申請するとなると、「持ち家を売却しなければならないのでは?」「車を手ばなさなければならないのでは?」など、いろいろな制約を考えるかもしれません。けれど、状況により、家や車を残すことができる場合もあります。

親族に迷惑をかけることにならない?

生活保護を申請すると、扶養義務のある親族(親、兄弟姉妹など)に生活の援助できないかどうかたずねる「扶養照会」が行われます。扶養照会があっても親族側は援助を断ることができますから、必ず迷惑がかかるということはありません。なおシングルマザーの場合は、子どもの父親である元夫にも扶養照会されますが、DV離婚などで居場所を知られると危険な場合には照会を控えてもらうことができます。

参考:日本弁護士連合会「あなたも使える生活保護」(PDF)
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatsuhogo_qa_pam_150109.pdf

生活保護を考えたらまずは役所や相談機関へ行こう

243-03

自分で動いて情報収集することが大事

生活保護を迷っているなら、まずは自分で行動して情報を集めることをおすすめします。インターネットで情報収集しているだけでは、正確な情報は得られません。個別に相談に行き、自分の場合はどうなのかということをきちんと把握したうえで検討しましょう。

役所の窓口だけでなく、弁護士や相談機関も利用

勇気を出して役所に生活保護の相談に行ったけれど、窓口できちんと話を聞いてもらえなかったからと、申請をあきらめてしまう人もいます。生活保護については、法テラス(日本司法支援センター)や一部の弁護士会、生活保護支援ネットワークなど、役所の窓口以外にも無料相談できる機関があります。こうした機関も積極的に活用しましょう。

 

まとめ

生活保護を受けることは恥ずかしいことではありません。働けない事情がある人や、働いても最低限の生活費が得られない人は、生活保護の申請を考えましょう。シングルマザーの生活苦は、自分だけの問題ではありません。次世代を担う子どもを育てるという大切な役割があるのですから、自分の力でどうしようもない部分は無理せず、国に助けてもらうことを考えてください。


★支援・手当について一通りチェックしたい方こちらをチェック
児童扶養手当だけじゃない!シングルマザー(母子家庭)が頼れる支援制度をまとめてご紹介